ある日突然異世界へ(本編完結.番外編展開中)

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目覚める?

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部屋のドアを開けると、花の香りが感じられる。
テーブルの上には、朝は無かった綺麗なお花が飾られた大きな花瓶が置かれている。
その横には箱が置いてある。
中を開けてみると…
精油やオイルなど、アロマテラピーをするのに必要な道具一式が詰まっているのだ!
「なんで…」
思わず口から疑問が出る。
「ユーリ様。アルフレッド様からのプレゼントですよ。」
マリーがニコニコしながらあらわれる。
「えっ?アルが?」
もう驚いたわ!いつの間に!
後でお礼を言わないとね!
「ユーリ様、香りの元はとってもたくさんあるんですね!」
マリーは初めて見るらしい。
紙にオレンジスイートとユーカリとレモンを垂らす。
部屋に香りが広がる。
「どうかしら?この組み合わせは空気の清浄作用もあるのよ~。」
マリーは一生懸命香りを吸い込んでいる。
「とってもいい香りです!しかもなんだか気分も良くなりました!」
なんだかマリーがイキイキしている。
気に入ってくれて良かったわ!
さて、せっかくだしマッサージオイルとか入浴剤とか作ってみようかしら?
それにアルにも何かしてあげたい!
何か困っていることがあればピッタリの精油が選べるんだけどな~。

「ユーリ様、これはどんな効果があるんですか?」
今調合しているマッサージオイルの入った瓶を指して聞いてくる。
「これは眠れない時に効くのよ!ラバンサラとラベンダーが入ってるのよ~これをね、みぞおちの部分に塗って寝るとよく眠れるのよ!」
「凄いですね!そう言えばサリーが寝付きが悪いって言ってたような……」
「あら、じゃあぜひ試して欲しいわね!」
そんな話をしているとちょうどサリーがお茶を持って入ってきた。
マリーがちょっと興奮気味にアロマオイルの話をする。どうやら先ほどの芳香浴でアロマの魅力に気付いたみたいです。
なんだかとっても嬉しくなる。

「ユーリ様、こちら試させて頂いてもよろしいのですか?」

サリーが遠慮がちに聞いてくる。
「もちろんよ!是非使ってみてね。」

3人で楽しい時間を過ごしているとドアがノックされる。
「ユーリ、そろそろ迎えに来たよ。」

アルの声だ!もう夕飯の時間?

あっという間に時間が過ぎていた。
ドアが開きそこには笑顔のアルがいる。

「ユーリの部屋は柑橘系のいい匂いがするな!」
「アル!沢山の精油をありがとうございます!我慢出来ずにお礼を言う前に使ってしまいました。」
「もちろんいいよ!喜んでくれて何よりだよ。」
アルは気を悪くする事なく喜んでくれている。
なんだかほっこりするわ。
そう言えばこれから食事よね!
消化器系に良い匂いをかいでから行きましょうかね!
「アル、この匂いはどうかしら?」
そう言ってハンカチにオレンジ・スイートの精油を垂らす。
はぁ~幸せ!多分これは嫌いな人いないんじゃない?ってくらいいい匂い。
アルはどうかしら?
「いい匂いだね。うんなんだかお腹が減ってきたよ!今日は仕事じゃ無かったからあんまりお腹も空いていないと思ってたけど。」
「ホントに?凄い効果ね!これはオレンジ・スイートって言って食欲増進作用があるのよ。それだけじゃなくてリフレッシュしたり安眠にも効果ありよ!」
思わず自慢げに言ってしまった。(笑)
でも……なんか元の世界の精油よりも効果が良すぎない?
ふとそんな気がする。

グゥ

お腹が鳴る。あっ、私もお腹が空いてきたみたい。
「ユーリ、食事に行こう!おかげで沢山食べれそうだな。」
今夜もアルのお父様とお母様と一緒に夕御飯。

今夜の話題はやっぱりお出掛け話。

「ユーリ、アルフレッドはちゃんと貴方をエスコート出来たかしら?普段仏頂面の息子だから心配だわ。」
アルが仏頂面?むしろそっちの方がイメージ出来ない!
「とっても楽しめましたよ。甘いパンケーキを一緒に食べてお花たちの香りを楽しみながら過ごし」
「ユーリ!それ以上は……」
お2人にお出かけの話をしていると途中で遮るようにアルが止める。顔が赤いみたい?大丈夫かしら?
「ユーリ、それは本当か?息子にエスコートが出来るとは思ってなかったよ!」
お父様は楽しそうに笑っている。お母様も驚いた後
 ニコニコしている。
「甘いものを食べてるアルフレッドは久しく見ていないわ。嫌いではなかったのね?」
「父上も母上もからかうのはもうよしてくれ。」
アルは両親のからかいに苦い顔をしていた。
「迷惑かけてしまいごめんなさい。」
小さい声でつぶやく。アルはハッとして
「ユーリのせいじゃないから!」
とすぐに反応してくれる。
夕食後アルに部屋まで送ってもらったあと、精油を使ってアロマキャンドル作りをする。
興味津々の2人にも手伝ってもらう。

「まずはお湯を用意して、湯煎でろうそくのロウを溶かします。今日は眠る前用に使う物を作ろうと思います。」

「ロウソクって湯煎で溶けるんですね!」
マリーが驚いてる。

「少し冷ましてから精油を入れます。そうね~ラベンダーとフランキンセンスにアルの好きそうなオレンジスイートを入れてみようかな。」
「いい香り!部屋中に香るのがいいですね!」
サリーがうっとりした表情で言う。

ガラスの浅い瓶を5個用意して、ドライフラワーにしたラベンダーの花弁を少し入れる。
「さてそろそろ瓶に流し込むわよ~」
芯になるものをロウに浸して中央に スタンバイして流し込む。
「後は固まるのを待つだけよ。」「火を灯す のが楽しみです!」
マリーはホントに楽しんでいる様子。

「待っている間に湯浴みに行きましょう。」
サリーが用意をしてくれる。
どうせなら浴室で芳香浴したいわね。
サリーにお湯の入った容器を用意してもらう。
そこにローズを3滴垂らす。
華やかなローズの香りが広がる。
「いい香りですね!幸せな気持ちになります。」
サリーが素直に感想をいってくれるのが嬉しい。
「花の女王と呼ばれるローズはね、心身ともにリラックスされてくれるし、まさしく幸福感を感じる香りなのよ。それに女性ホルモンを整えてくれるのよ。」

今日は1日アロマ三昧だったなぁ~。
お湯に浸かりながら1日を振り返る。
「ユーリ様、なんだかユーリ様と一緒にいるだけで元気になれる気がします。」
 サリーが嬉しい事を言ってくれる。
「サリー今夜はきっとよく眠れるわよ~。」
湯浴みから上がるとキャンドルはしっかり固まっているみたい。
明日アルとお母様にもプレゼントしたいわね。
「サリーとマリーは今夜寝る前に使ってみる?」
「「使わせていただきます!」」
2人ピッタリね。(笑)
「明日感想聞かせてね。」
さて、そろそろ私も眠くなってきたみたい。
「2人とも、1日ありがとう。そろそろ寝るわね。おやすみなさい。」
ベッドに入った私はあっという間に寝落ちしました。



「おはようございます。」
サリーが笑顔で挨拶してくれる。
軽く身体を伸ばしながら挨拶を返す私。

「ユーリ様、お陰様でとてもよく眠れました!今朝は本当に体調も良くてびっくりです!」
「サリー!それはよかったわ。今日はお肌もいい調子みたいね。」
サリーの顔がとっても血色が良く見える。ローズが良かったかしら?私も今日は化粧ノリが良いみたい。
サッと精油の瓶を手に取る。
「これから忙しくなるから元気を出すためにもローズマリーの香りがいいわね!」
ハンカチにちょっと垂らして深呼吸する。
サリーもどうやら気に入ったみたいです。
「アルは今日からお仕事よね?そろそろ行くのかしら?」
「お見送りに行きますか?きっと喜びますよ。」
サリーがニコニコしながら言うから赤面しちゃったじゃない!

こっちに来て数日なのに、私も随分順応性高いわよね。気が付けばかっこいい人が婚約者(偽物だけど)がいて、お世話してくれる侍女が2人もいて、おまけに大好きなアロマテラピー三昧!
もう逆に帰りたくないかも(笑)
そんな事を考えていたら…
「ユーリ様、アルフレッド様がそろそろ行かれますよ?」
マリーが教えに来てくれる。

「アル、気を付けて行って来て下さいね。帰ってきたらプレゼントがあります。」

帰ってきたら昨日作ったアロマキャンドルを渡そう!
「ユーリ!楽しみに帰るよ!見送りありがとう。」
そう言って素敵な笑顔を見せてくれました。
やだ、なんだか心臓がドキドキしてきちゃったじゃない!
アルはそう言って颯爽と出勤していきました。
私はしばらく赤い顔をしていたと思います。

軽く朝食をいただいたあとは、この国のお勉強。
なんにも知らないからね。

今日はサリーが教えてくれるみたいです。
「ユーリ様、まずはこの国に関してです。私たちの住む国は地の力を持つ妖精の加護を受けていてアースと言います。」
アースって地球の英語と一緒なのね!
てか妖精?何か引っかかる。
「ここは妖精がいる世界なのね。」
「エルフの加護を受けているんですよ。」
エルフ?あっ、もしかして夢で見た?
「サリー、ヒーラーって何かな?」
「ユーリ様、ヒーラーをご存知なんですか?」
サリーが驚いている。ふとそんな言葉を夢で確か聞いたのよね?
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