ある日突然異世界へ(本編完結.番外編展開中)

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王家御用達?!

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「マリアさん。こんにちは~納品に来ました。」
商品を持ってお店に入るとニコニコしたマリアさんが出迎えてくれた。

「ユーリ嬢いらっしゃい。待っていたわよ!前回の商品はまた完売しているわよ!」
棚を見ると綺麗に無くなっていた。
「隣町からも買いに来るお客さんがいたよ?なんでも熱が出る病気がはやっていてもエアーフレッシュナーを使っているとうつらないって評判らしいよ。」
「本当に?それは良かったわ~!」
あのインフルエンザみたいのに効いているようで本当に良かったわ。

「今回はハンドクリームも少し量を増やして納品しますね!そうそう、マリアさん、王子様にアロマのプレゼントをしたいのですが何か良い精油はありませんか?」
「ユーリ嬢王子様に献上するのかい?お知り合いなの?」
マリアさんすごく驚いてますね。前のめり気味にきてます!
「マリアさん落ち着いて下さい!私は直接はお会いしたことはありませんよ!アルの関係でプレゼントする話になりまして…」
「それはそれはすごいことだよ!もしも気に入っていただけたら…そういう事なら…そうだね~あれだわ!フランキンセンス!」
「えっ!フランキンセンスがあるんですか?」
だってフランキンセンスは確か古代から使われてたわよね?神様に捧げたりしていたはず。とても神秘的な精油でなかなか手に入りにくいものなんじゃないかしら?
「あるよ。つい最近入手したんだよね。」
「流石マリアさん!これならきっと王子様にも献上出来るわね!」
メインの精油が手に入って本当に良かったわ!

帰りに雑貨屋では次回の分の容器とちょっと素敵な容器をいくつか買って準備万端です!
夕方アルが6日振りに帰ってきました。
みんなでお出迎えです。
「父上、母上ただいま帰りました。」
「アルフレッド、おかえりなさい。」
お母様も嬉しそうです。
そして私の番。
「アル!おかえりなさい。」
「ユーリ!ただいま。」
アルはそれはそれは素敵な笑顔で挨拶を返してくれました。
照れてしまいます。
気が付けばエントランスに2人きりにされていました。
そしてギュッとされています。
「あの、王子様はあれから大丈夫でしたか?」
照れ隠しに話題を振る私。
「あぁ、問題ないよ。ユーリのお陰で助かったよ。」
あ~アロマオイルが役にたって本当に良かった!

「アル、王子様に本当に私の作る物をプレゼントして良いのかしら?」
「もちろんだよ。殿下に話したら喜んでいたから。」
「いつお渡し出来るかしら?今日王子のに相応しい精油を入手出来たからいつでも作れるわよ!」
「流石ユーリだね。じゃあ来週にでも持っていけるようによろしく。」
「はい。…アル…あの、、、そろそろ離して欲しいかなぁ~」
「ユーリは嫌なの?」
「いやあの、嫌とかじゃなく…先ほどから柱の影から…」
そうなのよ。気付けばマリーとサリーが柱の影からニヤニヤしながら見ているんだもの!
「マリー、サリー、御前達は俺を邪魔するのか?」
アルったらなんて事を!
「滅相もございません!」
「大変失礼いたしました!」
そう言って2人は去ってしまった。
…気不味い。この空気どうしたら良いのかしら?
「ユーリ。おいで。」
そう言ってアルの部屋へ連れて行かれます。
なんだかアルが随分積極的で戸惑います。

「座って。」
ソファーに促されました。
「ユーリ。お土産があるんだ。」
そう言ってアルは懐から箱を出して開けてくれます。
「わぁ~綺麗!」
中には吸い込まれそうな深い青の中に金が散りばめられた綺麗な宝石がいくつか付いたネックレスとイヤリングが入ってます!
「ユーリに似合うと思って。気に入ってくれるかな?」
「神秘的な色ね。こんなに素敵なプレゼントもらって良いのかしら?」
「もちろんだよ。君の為に買ったんだから!喜んでくれたら俺も嬉しいよ。」
そう言ってニッコリ笑うアル。
「ありがとう。大事にしますね!アル、長旅の後でお疲れだと思いますので、私はそろそろ退出しますね。おやすみなさい。」
「もう行ってしまうのか?また明日な!」
ちょっと寂しそうに言うのは反則です!


私は頂いた箱を大事に抱えてちょっと小走りに自室に戻ります。笑
アルからもらったネックレスとイヤリングを持って自室に戻ると、マリーとサリーが神妙な顔で待っていた。
「あの、ユーリ様…先ほどはすみませんでした。」
「悪気は無かったんです。」

2人ともものすごい緊張している様子。
「もう良いわよ。ちょっと恥ずかしかっただけよ。」
そう言うと2人はホッとした顔をしていた。

「2人とも、これを見てくれる?アルから頂いたのよ。」
2人にネックレスとイヤリングを見せる。
「ラピスラズリですね!素敵なお色ですね。」
とマリー。
「ユーリ様ラピスラズリの意味はご存知ですか?」
サリーの質問に私は首を横に振る。
「わからないわ。どんな意味があるの?」

「ラピスラズリには4つの宝石言葉があるそうですよ。
聖業、健康、愛和、永遠の誓いです。
聖なる石とも呼ばれていますよ!そんな宝石をプレゼントされるなんて素敵ですよね~。」
サリーが満面の笑みで教えてくれる。
「ユーリ様にぴったりですね!」
マリーも意味深な顔で言う。
なんだか最近こんなパターンばっかりじゃない?
「もう!2人ともからかわないでよ~!」

今夜はまるで、女子高生のようなノリの楽しい夜でした。


次の日からはまたアロマグッズ製作の日々です。
大変かと思いきや、とっても充実しています。

毎日私のお部屋は精油たちの良い香りに包まれています。

「今日は王子様へのプレゼントも作りましょう。」
次回分の製品がある程度出来あがった段階で今回のメインです!
「いよいよですね!」
マリーはワクワクしているようです。
「まずはやっぱりトリートメントオイルかな?」
そう言って調合していきます。
まずはオイル選びから。
ホホバオイルがいいかな?身体も顔にも使えるしね。
精油はフランキンセンスにローズウッドがいいわね。
王子様のお肌に合うと良いけど…

後は…どんな物が欲しいのかしら?実用的な物?
男性が気に入る物ってなんだろう?
本人を知らないから難しいわね。

ついつい黙って考えてしまったので、気がつくとマリーたちが心配して私を見ていた。
「ユーリ様、大丈夫ですか?」
「えぇ、ちょっと行き詰まってしまっ「アル、今良いかしら?」
仕上がった物を持ってアルの部屋を訪れる。
「大丈夫だよ。あれ?それは?」
「王子様へのプレゼントです。今仕上がったので持ってきました。こんな感じで良いですか?」
そう言いながらカゴを差し出す。
「想像以上だよ!ユーリの作品はちゃんと殿下に届けるよ。」
アルがニコっと笑う。ちょっとドキッとする私。
「よろしくお願いします。気に入って頂ければ良いのですが…」
そして先日の出来事を思い出して、早々に帰ろうとすると、アルが私の手を引っ張る。
「ユーリ、お茶でも一緒に飲もう?」

これは逃げられない。と言うかお茶のお誘いよね?とりあえずソファーに座る。

「マリー、ユーリにお茶を選んでもらって。俺の分も。」
するとすぐにマリーが何が良いか聞きに来てくれる。
アルと飲むお茶…ハーブティーでも良いかな?柑橘系好きだし…
「オレンジピールのハーブティーをお願い。」
「承知しました!」
マリーはハーブティーに関心があるようで最近詳しくなってきている。
そのおかげでストックのハーブティーの種類も増えて色々な味を楽しめています。
「マリーありがとう。」
「いえいえ。」
お礼を伝えると嬉しそうにはにかむマリーが可愛くてたまりません。
「ユーリはマリーやサリーとすっかり仲良しだな。俺よりも…」
いじけたように言うアル。そうよね。主人より新参者の私が仲良くし過ぎちゃ面白くないわよね。
「申しわけありません!アルを差し置いて2人と仲良くなってしまって…」
「ユーリ様、それは違う…」
マリーはその後口籠り、アルは何故か頭を抱えている。
私変な事言ったかしら?

ちょっと変な空気になったけれども、オレンジピールのハーブティーを飲んでいたら2人とも元に戻ってくれました。
「ユーリは天然なのか?鈍いのか?」
いきなり失礼な事を言われました。
「アル、私は普通だと思いますが?」
「そうか…」
いつの間にかマリーはいなくなっていた。
「ユーリ、最近無理してないかい?」
穏やかな口調でアルが聞いてくる。

「無理ですか?多分大丈夫だと思いますが…」
「ならいいんだ。慣れない生活の中、仕事を始めてしばらく経つだろう?そろそろ疲労も出る頃かと心配していたんだ。」
あぁこの人は自分も忙しいのにこんなにも私の心配をしてくれるのね。
「ありがとうございます。マリーとサリーがいてくれているので、毎日楽しく充実した日々を過ごせています。それに…アルがこうして気にかけてくれているので…」
なんだか自分で言ってて恥ずかしくなっちゃったわ。
「それは良かった。」
アルの右手が私の頬を撫でる。
手の感触に顔が熱くなる。
「アル…」
なんて言って良いかわからないよ。余りにも切ない表情なんだもの。
しばらくお互い喋らず見つめ合う。
先に沈黙を破ったのはアルだった。

「ユーリ、実は来月騎士団でちょっとしたイベントがあるんだけど…来るか?」
「イベントですか?」
「トーナメント式の試合をやるんだ。身内や本人が誘った人のみ入れるんだけど…」
もしかしてアルの試合も見れるのかしら?
「是非、是非行かせてください!」
「ユーリが来てくれるんじゃ、俺も気合い入れて頑張るよ!」
アルがはにかんでいる!ちょっと可愛いです。
私も精一杯応援しようと思います!

「お怪我しない程度に頑張って下さいね!」
「怪我したらユーリに治してもらわなきゃだもんな。気をつけるよ。」
「アルの為ならいつでも駆けつけますよ。」
前回の怪我を思い出すと悲しくなるから敢えて明るく返答する。
「その時はよろしく頼むよ。」
アルも察してか軽く返事が返ってくる。
「じゃあそろそろお部屋に戻りますね。」
そう言ってソファーを立ち上がる。アルがドアまで送ってくれたので振り返ると、キュッと抱きしめられてチュッとおでこにキスされていた!
「ユーリおやすみ」
アルが綺麗に笑うから見惚れて何にも言えず。
「おやすみなさい。」
がやっとでした。


次の日は午前中昨日の出来事をあまり考え過ぎない程度に忙しく商品作りに没頭しました。
思い出すと1人で赤面しちゃうから(笑)

おかげで作業が進み予定の製品が全て出来あがりました。
そんな訳で、今回はいつもより早いですが、午後からマリーとマリアさんのお店に行きました。

「マリアさんこんにちは。早めに来てしまいましたが売れ行きはどうですか?」
「ユーリ嬢!良かったわ。もう昨日で完売していたよ。」
棚を見ると何にもない!
「これは商品をもっと増やさなければかしら?」
「出来ればそうしてくれるかしら?」
すごい話になってきたわね!
「ユーリ様、良かったですね!」
マリーも嬉しそうだわ。
「ユーリ嬢、これで王子様がプレゼントを気に入ったら王家御用達も夢じゃありませんよ。そうしたらこんなものではないでしょう。覚悟していて下さいね。棚のスペース広げますよ!」
笑いながらマリアさんが言う。
「そうなったら嬉しい話ですね。マリアさんも忙しくなりますよ~」
私も乗っかって言う。
妄想は広がるばかりです。(笑)
今回は仕入れも増やして買って帰りました。
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