ある日突然異世界へ(本編完結.番外編展開中)

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王立騎士団

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アルフレッドの所属する王立騎士団は8部隊ある。
アルフレッドは第1部隊所属している。

第1部隊は貴族の中で特に優秀とされた人物で構成されている。
仕事も王族の護衛や重要案件に関わる事が多い。
第2~第4部隊は貴族で構成されており、第5~第8部隊は貴族と平民が混じって構成されている。
平民は実力があれば入る事が可能だ。

年に2回トーナメント式の試合が行われておりそれを基準に部隊編成が考えられている。

この試合はイベント的な要素も高いため身内や婚約者を呼ぶ事が出来る。
しかし国の軍事的な機密を扱う場所でもあるため誰でも入れる訳ではない。
招待されたもの以外は入る事が出来ないようになっている。

アルフレッドは今回始めて女性を招待する申請書を出した為、周囲に驚かれたと同時にそれが誰なのか?とザワザワしているらしい。

内情を知るのは同じ第1部隊のエドワードのみ。
当日の注目度は高いだろうと予想される。

アルフレッドは気付いていないが…。

ユーリは最近毎日忙しくアロマ商品を作っている。
納品数が増えて今まで以上に大変になってはきたが、作業にも慣れてきたのでなんとか頑張れている。
マリーもサリーも上手にサポートしてくれている。

来月アルに王立騎士団のトーナメント戦の観戦に誘われた事を話すと、サリーが作業しながら色々と教えてくれる。

「ユーリ様、アルフレッド様は王立騎士団の中でも第1部隊に所属していらっしゃってですね、それはそれはすごいんですよ!」
珍しくちょっと興奮気味にサリーが教えてくれる。
「そうなんですね。そう言えば、任されているお仕事も大変そうでしたものね。」
王子様の護衛とかやっぱり信用されてないと任されないだろうし。
「今回ユーリ様がお呼ばれしたトーナメント戦は年に2回行われていますが、アルフレッド様はいつも上位入賞されているようです。」
「そうなのね。アルは強いんだ。…サリーたちは見たこと無いの?」
「ユーリ様、このトーナメント戦は一般公開されているわけではないので誰でも行ける訳では無いのです。つまり身内や婚約者の方が入れるんです!」
「婚約者?」
「はい!ユーリ様は婚約者のポジションですね。」
その設定はまだ続いているのね?
「しかしですね、それ以外でも唯一行く事が出来るケースが1つだけあるんです!」
マリーが張り切って言う。
「貴族の方には大抵侍女が付きますでしょう?」
ニッコリ笑ってサリーが言う。
つまり連れて行ってと言う話ね?
「もちろん。アルさえ良ければ…私1人では心細いのでお願いします。」
「やった~!」
マリーが盛大に喜んでいる。
「まだアルフレッド様の許可を取っていませんよ?」
サリーは大抵冷静ね。

そんな話をしながらも気付けば今日の作業は終わってました!




ある日の夜、アルが久しぶりに部屋に来る。
「ユーリ、ちょっといい?」
「えぇ、どうぞ。」
ソファーへ案内する。
「先日殿下様に作ってもらったアロマを昨日お渡ししたんだが、今朝すごい勢いで俺の所にやってきて絶賛していたよ。なんでも今朝の体調がすこぶる良いそうだ。」
「それは良かったです。てっきりお肌に合わなかったのかと、ちょっと緊張しました。」
「ユーリのアロマは体調が悪ければ悪いほど効果を感じるんだよ。」
そうだったんだ。やっぱり妖精の加護のおかげかしら?
「とりあえずお気に召したようで安心しました。」
「まぁ良かったよ…」
あれ?アルの表情が暗い?
「アル?どうしましたか?」
「いや、殿下がユーリに関心を持ってしまって…トーナメント戦の日に殿下が来るそうで、その時にユーリに会いたいそうだ。」
王子様が?会いたい?
「えぇ~!そんな、私王族と会うようなマナーも知らないし…」
「殿下は言い出したらきかないから…諦めてくれ。俺がつい殿下にユーリを自慢してしまった所為だな。すまない。」
アルが頭を下げる!
「アル!頭を上げて!全然悪くないよ!マナーはまたマリーやサリーに教えて貰うわ!」
アルが頭を下げる事ないわ!アロマを宣伝してくれたんだもの。
しかし王子様と面会だなんて、私大丈夫かしら?


あっトーナメント!
「アル、トーナメントの日だけど、マリーとサリーも一緒に行って良いかしら?私1人では心細いし…」
アルはちょっと考えて、
「そうだな。ユーリを1人には出来ないし…明日申請書に追加しておくよ。」

無事に3人での会場入りの許可がおりました!
「ユーリ様!ありがとうございます!」


さっそく2人にトーナメントを一緒に観戦出来ると伝えると喜んでます。
良かったわ。
「それとね、王子様がその日来るらしくて…どうやら私と会いたいとおっしゃられているそうなんです…」
「えっ?」
2人の目が大きく見開かれる。
やはりそういう反応をするという事は…やっぱり普通じゃありえない話なんだよね…

「私、マナーとかわからないから、是非教えて下さい。」
「も、もちろんです!ユーリ様に恥はかかせられませんから!」
とサリー。

早速午後から特訓が始まりました。
日本人ならお辞儀なところだけど…ここはやはり違うよね。
片足引いてドレスをちょっとつまむ動作?
ヨーロッパ風かな?
練習してるけどなかなか様にならない!!
何度も何度も練習して…
「ユーリ様。自然になってきましたよ!」
やっと合格点が貰えた。
やはり王子様に会うって大変だわね。

後は挨拶ね。
ルールがありそうだし…失敗しそうだわ。
アルに先に謝っておこう。
そうして忙しい日々は過ぎて行き、今日は待ちに待ったトーナメント大会当日です!
いくつかアロマグッズをバックに入れておきましょう。
念のためです!

支度は2人が張り切ってしてくれました。
今日は淡い菫色のドレスです。
髪の毛も巻いてハーフアップに。
なんか気合い入りすぎじゃないですか?

朝はいつものようにアルをお見送りします。

「アル、行ってらっしゃいませ。怪我に気をつけて下さいね。」
「あぁ、ユーリ今日は一段と綺麗だな!ユーリが応援してくれているのに怪我出来ないよな。頑張ってくるよ。」
素敵な笑顔でした。照れます。


そして馬車の中です。
「ユーリ様、いよいよですね!私、もうドキドキしっぱなしです!」
マリーが頬を紅潮させて言う。
私はあまり格闘技とか詳しくないけど大丈夫かしら?
「マリー、貴女はユーリ様の付き添いですよ?お忘れなきように。」
サリーが嗜める。
「はい。すみません…ついはしゃいでしまいました。」
マリーがシュンとしたのがわかる。
「サリー、良いのよ!こう言うのはみんなで楽しむに限るから。」
「はい!ありがとうございます。」

3人でおしゃべりしていたのであっと言う間に着きそうです。
段々見えてきました!
頑丈そうな入口が見えます。
馬車が、ちょっと渋滞しているようです。
守衛さんらしき方に誘導され今は順番待ちです。
窓からはチェックが済んだ方々が門の中へ入っていくのが見えました。
皆様なかなか派手なお衣装なようです。
きっと私が行っても浮かないと思います。
ホッとしました。
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