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コウキとミスズ(承転)
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「そもそも、後衛の人間をソロでいかせる方がどうかしてるんすよ!騎士団の万年人手不足!」
職場に対する文句を言いながら、閃光弾で目くらましをし、その隙に距離を取る。
そして、相手の視界が回復する前に的確に打ち込む。
「しかもこの岩の魔物、突耐性あるじゃないっすか!リュウトだったら死んでるっすよこの仕事!」
ライバル視しているリュウトをだしにする台詞を吐いているあたり、随分と余裕がある様子である。
岩陰に隠れて、弾丸を補填する。別に弾丸がなくてもマナを打ち出して発砲できるのだが、実弾にマナを纏わせた方が火力が上がるのでコウキは好んで利用して……否、コウキレベルだと弾があっても無くても威力に大した影響はない。ただ、補充する動きがかっこいいから利用している。
「っ、発砲!」
無詠唱で発動しているのにも係わらず、言わなくてもいいことを言ってしまうのがコウキの性である。
バチバチと電撃を纏いながら、弾丸は岩の魔物の頭部と思われる部位に直撃する。感嘆する程の射撃精度だ。しかし、魔物は臆することなく腕のような岩の塊をコウキに振り下ろす。
「やっべ!!外れか!!」
避けることはせず、コウキは防御体制を取る。下手に避けてまともに食らうより、素直に受け待ちした方がダメージが少ない、というのがコウキの持論である。
来る!と思ったその時、一撃で岩の魔物が瓦解する。
「危なかったな騎士団のスナイパー」
どこぞで見たことがある切れ目の美人。体躯に見合わぬ大剣は赤く熱を帯びている。普通の人間の腕ならばとても扱えない代物だ。肉体強化でもしているのだろうか。
「別に助けに入らなくても倒せたっす……」
コウキは居心地が悪そうにミスズから目をそらし、銃に付いた砂塵を手で払う。
「ふむ、そうだろうな。貴様の火力なら、あと三発当たれば倒ただろう。だが、結果的にわたしが入ったことで消耗が減ったんだ。素直に礼を言うべきではないだろうか」
「確かに、そうっすね。ミスズが割って入ってくれたおかげで時間が短縮できたっす。どうもありがとう」
「貴様の素直なところ好きだぞ」
満足気に頷きながらミスズは言う。
「ええ!申し訳ないっすけど、ミスズのことをそういう風には」
「馬鹿者。そういう意味で言ったわけではない」
「好きじゃない人に好きだって言うのやめたほうがいいっすよ」
「なんだ貴様は。ピュアか?それとも言葉のニュアンスがわからないのか?」
「ミスズって淡々としているし、リク並みに表情が硬いっすから……。いや、リクの方がましっすね。リクは変化が小さいだけでちゃんと表情ありますからね」
「本人の前でいうのは失礼ではないか?」
実はミスズ、自分が表情に乏しいことを密かに気にしていたのだ。週に一回、鏡の前で笑顔の練習をしているが、これがなかなか難しい。
「うっ、わ、悪かった。ノゾミにもデリカシーがないってよく怒られるんすよね……。キョウスケや姉御は世をよくわかっていないので言わないんすけど……」
「ノゾミ?」
「思えば、ノゾミとミスズって雰囲気なんとなく似てるっすよね」
知らない人の話を続けながら、ひとり納得した顔をしているコウキにミスズは得も言われぬ感情を抱く。ただ、昔の文献にマシンガントークという言葉があった、あれはコウキのことを言うのかもしれないなどと考えていたのは確かだ。
それにしても、距離が近い。もうすぐで触れ合う
「……近い!近いぞ!スナイパー!」
「え?」
「くそが」
大剣でのオーバードライブは一撃は重いが、高熱を帯びてしまうため連続使用ができない。そんな一撃必殺の技を相殺されてしまい、ミスズは小さく舌打ちをする。
「凄まじいな。カウンターでもしてやろうかと思ったのに、相殺でやっとだ」
受け止めた当の本人は目を丸くしている。
大斧と大剣は相性が悪い。その上、目の前にいる男は、防御型のくせに盾ではなく大斧を使っている気狂いだ。
「パラディンが大斧を使っているなんて聞いたことがない。パラディンからデストロイヤーあたりに変更したらどうだ?」
リクは何も答えない。
「無駄な対話はお断りってわけか?無愛想な男はモテないぞ」
「
「…………」
職場に対する文句を言いながら、閃光弾で目くらましをし、その隙に距離を取る。
そして、相手の視界が回復する前に的確に打ち込む。
「しかもこの岩の魔物、突耐性あるじゃないっすか!リュウトだったら死んでるっすよこの仕事!」
ライバル視しているリュウトをだしにする台詞を吐いているあたり、随分と余裕がある様子である。
岩陰に隠れて、弾丸を補填する。別に弾丸がなくてもマナを打ち出して発砲できるのだが、実弾にマナを纏わせた方が火力が上がるのでコウキは好んで利用して……否、コウキレベルだと弾があっても無くても威力に大した影響はない。ただ、補充する動きがかっこいいから利用している。
「っ、発砲!」
無詠唱で発動しているのにも係わらず、言わなくてもいいことを言ってしまうのがコウキの性である。
バチバチと電撃を纏いながら、弾丸は岩の魔物の頭部と思われる部位に直撃する。感嘆する程の射撃精度だ。しかし、魔物は臆することなく腕のような岩の塊をコウキに振り下ろす。
「やっべ!!外れか!!」
避けることはせず、コウキは防御体制を取る。下手に避けてまともに食らうより、素直に受け待ちした方がダメージが少ない、というのがコウキの持論である。
来る!と思ったその時、一撃で岩の魔物が瓦解する。
「危なかったな騎士団のスナイパー」
どこぞで見たことがある切れ目の美人。体躯に見合わぬ大剣は赤く熱を帯びている。普通の人間の腕ならばとても扱えない代物だ。肉体強化でもしているのだろうか。
「別に助けに入らなくても倒せたっす……」
コウキは居心地が悪そうにミスズから目をそらし、銃に付いた砂塵を手で払う。
「ふむ、そうだろうな。貴様の火力なら、あと三発当たれば倒ただろう。だが、結果的にわたしが入ったことで消耗が減ったんだ。素直に礼を言うべきではないだろうか」
「確かに、そうっすね。ミスズが割って入ってくれたおかげで時間が短縮できたっす。どうもありがとう」
「貴様の素直なところ好きだぞ」
満足気に頷きながらミスズは言う。
「ええ!申し訳ないっすけど、ミスズのことをそういう風には」
「馬鹿者。そういう意味で言ったわけではない」
「好きじゃない人に好きだって言うのやめたほうがいいっすよ」
「なんだ貴様は。ピュアか?それとも言葉のニュアンスがわからないのか?」
「ミスズって淡々としているし、リク並みに表情が硬いっすから……。いや、リクの方がましっすね。リクは変化が小さいだけでちゃんと表情ありますからね」
「本人の前でいうのは失礼ではないか?」
実はミスズ、自分が表情に乏しいことを密かに気にしていたのだ。週に一回、鏡の前で笑顔の練習をしているが、これがなかなか難しい。
「うっ、わ、悪かった。ノゾミにもデリカシーがないってよく怒られるんすよね……。キョウスケや姉御は世をよくわかっていないので言わないんすけど……」
「ノゾミ?」
「思えば、ノゾミとミスズって雰囲気なんとなく似てるっすよね」
知らない人の話を続けながら、ひとり納得した顔をしているコウキにミスズは得も言われぬ感情を抱く。ただ、昔の文献にマシンガントークという言葉があった、あれはコウキのことを言うのかもしれないなどと考えていたのは確かだ。
それにしても、距離が近い。もうすぐで触れ合う
「……近い!近いぞ!スナイパー!」
「え?」
「くそが」
大剣でのオーバードライブは一撃は重いが、高熱を帯びてしまうため連続使用ができない。そんな一撃必殺の技を相殺されてしまい、ミスズは小さく舌打ちをする。
「凄まじいな。カウンターでもしてやろうかと思ったのに、相殺でやっとだ」
受け止めた当の本人は目を丸くしている。
大斧と大剣は相性が悪い。その上、目の前にいる男は、防御型のくせに盾ではなく大斧を使っている気狂いだ。
「パラディンが大斧を使っているなんて聞いたことがない。パラディンからデストロイヤーあたりに変更したらどうだ?」
リクは何も答えない。
「無駄な対話はお断りってわけか?無愛想な男はモテないぞ」
「
「…………」
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