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6章:迫られた選択
3
しおりを挟む社長の豪邸に居候を始めて3か月。
全体的な空間の広さには慣れないが
『食事をしっかり摂れ』との社長命令から
台所を借りて自炊をするようになった。
―――日曜
その日は珍しく社長も仕事が休みで
自宅でのひと時を過ごしていた。
「お前それ、まさか…」
「ん?ドーナツですけど?」
『見てわかりません?』と首を傾げながら
手作りしたドーナツを見せてくるイトカに
社長は憎悪の眼差しを注ぐ。
「絶対ワザとだろ。
悪意しか感じないぞ」
「やだなぁー社長ったら。
婚約者としての愛情ですよ、愛情。
甘いモノ食べて
少しは優しくなってくださいよー」
『俺を殺すつもりだな』と
ブツブツ言いながら珈琲を飲む社長に
『デザートにどうぞ』なんて嫌味を言いながら
穏やかに平和そのものなやり取りをしていたのに…
テーブルに置いてあった社長の携帯が震え――
「…またか」
着信相手を確認すると
急に顔をしかめ、そう言い残し
携帯を持ったまま台所を出ていってしまった。
こんな事が数日の間に度々あり
その都度、社長の様子が妙な事に
イトカは胸騒ぎを覚えていた―――
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