無彩色なキミに恋をして。

氷萌

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さよならの理由を知らないまま…

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”スーツ姿の若いイケメン”
抽象的な表現だけど
女性が大半を占めるこの会社では
それだけでも十分すぎるパワーワード。

特にその人物がから来た人なら
どういう相手なのか興味が沸くもの。
だからそういう情報は見事なくらいあっという間に社内に広がった。


ただ…
わたしは関心が持てなかった。

なんなら『どうして燈冴くんじゃないんだろ』って
見ず知らずの他人を相手に
別の嫉妬すら覚えたくらい。

仕事に直接関係ないなら
どこの誰だか知らなくても差し支えないなって
知ろうとも思わなかったんだ。


それなのにわたしの意思とは関係なく
まるで磁石みたいに勝手に引き寄せてくれる。


望んでいるのは
燈冴くんだけなのに――――――



「うーん…
 真面目に勉強しないとな…」

休憩室で数冊のテキストを眺めて
突き付けられる現実に頭を抱えたのは、昼休みの事。

日々の仕事にいっぱいいっぱいで
去年はほとんど進まなかった試験勉強。
…というのは言い訳か。
わたしはまだ仕事に活かせるレベルの資格が乏しくて、実力で認められるためにも
人一倍努力しないといけないのに…。

燈冴くんの事で頭がいっぱいになってる場合じゃなくて、今年はしっかりやらなきゃと意欲高めにシャーペンをカチカチ。


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