無彩色なキミに恋をして。

氷萌

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最終章:無彩色な貴方に恋をしました。

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 そこには覚悟しか感じなかった。

『そうか……』と口を噤む父は膝の上で両手を組んで顎につけ、どうするべきか……と、悩み沈黙が走る。
 背後から見ていたわたしも父の正面に立つ燈冴くんも、その返答を固唾を呑んで見守っていた。

 そして。


 沈黙が破られたーーーーー



「これからが大変だと思うが、私の支えになってくれるか?燈冴くん」

 前向きな返事にわたしの方が嬉しくなって、思わず顔が綻ぶ。
それは燈冴くんも同じ。

「漣社長の秘書として10年、今後は右腕として務めていく所存です」

 深々と頭を下げる彼の姿からは緊張からの安堵のようなものも感じる。
 こんな場面に立ち会えた事も、わたしは嬉しく思えた瞬間。


 だけど、それだけじゃなかった。



「それと、だな」

 コホンと一言、咳払いする父の言葉を合図に、燈冴くんが頭を上げると……


「緋奈星の事も、頼む」


 全然、想像もしなかったセリフを発したんだ。


「えッ……おとう……さん?」

「緋奈星は私にとってはまだまだ子供だ。これから長い人生で様々な苦難に遭うだろう。そのとき支えてくれる相手が必要だ。燈冴くんになら、任せたい」

『だから頼む』と頭を下げる父の姿に、感涙してしまったわたしは、口を抑えて溢れる涙を止める事が出来ず、燈冴くんもまた目を見開いて驚いている。



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