隣人はクールな同期でした。

氷萌

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第3章 姫の心は囚われていました。

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「アイツはたぶん…
 母親の傍にいたいって思ってんだろうな、今でも。
 だからそんなバカな事を考えたんだろ。
 今日はずっとそんな感じだったから…」


だからか…
職場で泣いてたあの時の姿
煌月はなんとなくでも気付いていたんだ。
言葉にしなくても
ちゃんとわかってんじゃん…


「ねぇ煌月。
今日はもう遅いし早乙女さんまだ目が覚めないから
今晩だけウチで預かる。
だからアンタは自分の部屋に戻って」

「けどそいつ
 目が覚めたら暴れるかもしれねぇよ。
 今荒れてるみたいだし…」

「んー…そんな気はする」


だけど叩き起こすのは可哀想だし
少し様子を見てたほうがいいと思うんだよねー。


「目が覚めたら連絡するよ」

「…あぁ。
 それとこの話は…」

「大丈夫。
 彼女が自分から話さない限り
 この件には触れない。
アタシは何も聞かなかったし何も知らない。
でしょ?」

「さすが七星。
 いろいろ助かる」

「どういたしまして」


言えるワケないでしょうに。
1番心を開いてる煌月だけが知ってる事実を
アタシなんかが聞いたって知ったら
逆の立場だったら逆上しちゃうっしょ。

それに。
アタシが何かしてあげられるような案件じゃないしね。
まぁ煌月の悩みくらいなら聞いてあげられるか。


「じゃぁ、あとは頼んだな」

「了解。
 アンタもゆっくり休みなね?」

「お前もな」


煌月を玄関先で見送って(隣だけどさ)
眠る早乙女さんの様子を見てから
アタシも寝る準備をした―――
 
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