私から何でも奪い取る妹は、夫でさえも奪い取る ―妹の身代わり嫁の私、離縁させて頂きます―

望月 或

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12.ボクの愛しい妻 * ※エンディニオ視点

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 最初に見たフィンリーの印象は、『地味で陰気臭い可愛げのない女』だった。
 ずっと下を向き、ボクと顔を合わせようともしない。あの可愛いプリヴィとは正反対だ。姉妹なのに何でこんなに違うんだ。
 これがボクの妻になるのかと思うとイライラした。
 

「ボクの邪魔だけはするなよ? ワガママも口答えも許さない。ボクに従順で大人しくしてろよ」


 ボクが放った言葉に、この女は「畏まりました」と言って頭を下げた。
 湧き上がる苛立ちを舌打ちで誤魔化し、ボクはこの女を放って布団を被った。部屋から出て行った気配があったが知るもんか。
 もう少し早く縁談を申し込んでいれば、プリヴィはボクの妻になっていたのに……。
 
 ボクは悔しさと残念さとで奥歯を噛み締め、布団の中で大きく溜め息をついたのだった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 あの女がうちの屋敷の使用人達の間で評判がいいと知ったのは、彼女が嫁いできて三ヶ月くらいのことだった。
 ボクは自分の小遣い稼ぎの為に屋敷を空けることが多いのだが、その間の子爵業をあの女が的確にこなしているらしい。
 それに、使用人達全員に人当たりが良く、執事のサイノと弟のデニオスもあの女に対して称賛の言葉を口にしていた。

 ボクはいつしか、あの女を目に追うようになった。
 使用人達と話している時に見せる意外と可愛い笑顔に、いつの間にか見惚れている自分がいた。


 その笑顔を自分にも向けて欲しい――


 ボクのそんな欲求がムクムクと湧き上がり、日に日に強くなっていく。
 だが、彼女はボクの姿を見付けると、逃げるように反対側に駆けて行ってしまう。お蔭で彼女と全然話せない。

 夫婦なんだから、話し掛けてきて欲しいのに。

 慌てたように走り去る彼女の背中を見る度に、心の中に焦燥感が募っていった。


 そしていい加減我慢の限界にきたボクは、彼女が嫁いできて四ヶ月位経った日の夜、ボクの部屋に呼び出した。
 彼女はビクビクしながら入ってきて、ボクにそろそろと下を向きながら目線を合わせてきた。
 ボクは吸い込まれるように彼女に近付き、その顔を近くで覗き込む。


 ……可愛かった。美人と言っていい。恐らくプリヴィよりも……。
 どうして今まで気付かなかったのか――


 その震える小さな薄紅色の唇に、どうしようもなくキスがしたくなり、半ば無理矢理唇を合わせた。
 ふにりと温かい最高の触感に、ボクは堪らず舌を差し込み彼女の口内を夢中で貪っていた。
 ボクのキスが気持ち良かったのか、彼女の目尻に浮かぶ涙に、情欲が一気に身体中に湧き上がる。

 彼女をベッドに押し倒し、脱がせるのももどかしくネグリジェを思い切り破り取ると、ボクは彼女の身体を隅々まで堪能した。
 彼女の身体は本当に最高だった。全体が柔らかく吸い付くように触り心地が良く、快楽の所為か涙を流し続けるその姿も可愛くて、とても魅力的で。
 彼女の声も砂糖菓子のように甘く響き、その度に下半身が強く疼く。

 今まで抱いてきたどの女よりも彼女は飛び抜けていて。
 ボクは夢中になって腰を振り、快感で泣き叫ぶ彼女の中に精を吐き出した。


「私も愛しています、エンディニオ様……」


 ボクが愛を囁くと、泣きながら返ってきた彼女のその言葉に、歓喜でゾクゾクと身体中が震えて。
 ボクは、今まで彼女を抱かなかったのを心底後悔した。
 けれど、ボク達は“夫婦”だ。今まで抱けなかった分、これから沢山抱けばいい――



 ボク達はその日から一緒に寝るようになり、疲れていない夜は彼女の身体を思うがままに貪った。
 彼女の喘ぎながら涙を流す姿は、ボクの心を何度も揺さぶって、益々愛しさが増して。

「愛してる」

 と囁くと、顔を赤らめて「私も……」と喘ぎの間で呟くのが可愛くて堪らなくて。
 泣き続ける愛しの妻にキスの嵐を降らせ、ボクは思い切り彼女の中に精を放出していった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 愛しい妻を抱いているうち、困ったことにボクの“性癖”が疼いて我慢出来なくなっていた。
 けれど、これは絶対にフィンリーには言えない。彼女の前では、『男らしい』ボクを見せたいから。
 そういうボクを、彼女は愛しているはずだから。


 その“性癖”の疼きを誤魔化す為、一人酒場で飲んでいたら、声を掛けてきた女がいた。

 ……プリヴィだった。

 彼女は勝手にボクの隣に座り、許可もしていないのに一緒に飲み始めた。
 流れで訊くと、一人旅行でこの町に来たらしい。


「しばらくこの町に滞在するんですぅ。よろしくお願いしますね、お義兄様♡」


 と、彼女はボクをジッと見つめ、上目遣いでそう言った。
 昔一目惚れした彼女がすぐ隣にいても、ボクの心はもうときめかなかった。
 だって、彼女よりフィンリーの方が可愛くて美人だと知ってしまったから。


 ボクの心はもう、フィンリーだけに染まっているから――


 プリヴィに酒を勧められ、何杯も飲んでいるうちに、酔った勢いで彼女にボクの“性癖”のことを話してしまった。
 すると、彼女は口の端をニィ、と持ち上げ、愉しそうな笑みでこう言った。


「お姉ちゃんに言えないのなら、あたしで良ければお姉ちゃんの代わりにお相手しますよ?」


 と……。





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