【R18】禁じられた想いに蓋をし逃げる娘と、それを決して許さない義父のお話

望月 或

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言いつけを破った元娘にお仕置きをする元義父のお話

9.そして、私達は再び




「ユーティス、ホンット無事で良かったよー! ごめんね、店長のこと信用出来るなんて言って……。あんな最低最悪のことしてた人だったなんて気付なかった私が悪いの! 本当にごめんなさい!!」
「ううん、シェリアは全然悪くないよ? 私が彼を信じてしまったから……。でももう大丈夫だから。シェリアは何も気にすることなんてないよ? だから謝らないで?」
「ユーティスー!」


 私に泣きつくシェリアの頭を、大丈夫の気持ちを込めてよしよしと撫でる。

「そう言えば食堂はどうなるんだろう? この村唯一のご飯が外で食べられる場所だったから、無くなっちゃうと不便だよね……」
「あぁ、それは大丈夫よ。あの食堂は残った私達従業員が引き継ぐことにしたの。料理やデザートは殆ど店長以外の従業員が作っていたし、きっと……ううん、絶対に何とかなるわ!」
「そっか、良かった! 無理せずにやってね?」
「うん、ありがとう! ユーティスはこの村を離れるのね? 突然のことだからビックリしたわ。何か事情があるのよね……?」
「うん……。理由を話せなくてごめんね。手紙も書けないけど、必ずまた会いに来るから!」
「うん、待ってるわ! 約束だからね?」

 私はシェリアと強く抱き合った。そんな私達を、ゼノは何も言わず温かく見守ってくれた。


「――よし、そろそろ行くか。ユティ、眠そうだけど大丈夫か? 歩きながら寝るんじゃねぇぞ」
「だ、誰の所為だと……」


 結局明け方まで寝かせてくれなかったのは誰!?
 身体中痛いし、喉はガラガラだし、お腹は誰かさんの所為ですごく重たいし……!
 途中、晩ご飯は食べさせてくれたけど……。く、口移しを要求してくるし……っ!
 
 思い出してしまい、顔を赤くさせながらゼノをキッと睨むと、彼は可笑しそうに顔を綻ばせる。


「ホント悪かったって。お詫びに道中おぶっていくからさ。――あぁ、お姫様抱っこの方がいいか?」
「どちらも結構です!!」
「……フフッ。本当にあなた達は仲良いわねぇ」

 シェリアがクスクスと笑うと、私とゼノは顔を見合わせ、笑い合う。

「だってオレ達おしどり夫婦だし。な?」
「ふふっ、そうだね?」
「はいはいご馳走さま。二人を見ているとお腹が超満腹よ。昨日なんか、ゼノさんがユーティスをお姫様抱っこしながら何度もキスしてるところを見たって人がチラホラいたわよ」
「……えっ!?」

 そ、それってもしかして……!?

「――あぁ、家に帰る途中のあの時か。あっちゃー、バッチリ見られてたのかー。いやー参った参った。はっはっは」
「何で棒読みなの!? 何で嬉しそうなの!? うぅっ、すっごく恥ずかしい……っ」
「――ってことは本当のことなのね……。さすがに公衆の面前でそれは良くないわねぇ。子供が見てなくて良かったわ」

 シェリアが呆れたように肩を竦める。
 私はペコペコと謝り、恥ずかし過ぎて逃げるように彼女に大きく手を振って別れを告げ、先にその場から離れた。


「ふふっ、全くあの子は……。――ゼノさんも色々とありがとうございました。村長のお願いで、誘拐事件の犯人捜しに協力してくれて。あと、近くの森に住む魔物達が全滅していなくなったって、村長すごく喜んでましたよ。ゼノさんが全て倒してくれたんでしょう? 本当にありがとうございます」
「あぁ、そんなの全然大したことねぇよ。村長によろしく伝えてくれ。――そうそう、シェリアの嬢ちゃん。もしかしたら、蒼色の長い髪と瞳をした男がこの村を訪ねて、オレ達のことを訊いてくるかもしれねぇ。そしたら、『もうオレのことはスッパリ諦めろ。オレは今十分に幸せだ。だから邪魔すんなよ』って伝えてくれるか? もし来たらでいいぜ」
「……? はい、分かりました」
「ありがとな。じゃ、元気でな」


 ゼノは小さく笑いヒラリとシェリアに手を振ると、私のもとに駆け寄ってくる。


「……ゼノ。その蒼い髪をした人って、もしかして……」
「――あぁ。アイツ執念深いし、こうと決めたら考えを曲げず一直線なヤツだからな。伝言を聞いてオレ達の捜索を諦めてくれればいいが……。ま、無理だろうなぁ」


 ゼノは深く溜息をつくと、突然私をお姫様抱っこした。


「えっ!? ぜ、ゼノッ!?」
「周りに誰も人はいねぇから大丈夫だ。昨日は大分無理させちまったからな。暫く眠っててもいいぜ?」
「で、でも重いよ……? ゼノは大丈夫なの……?」
「軽過ぎて心配になるレベルだっての。オレはお前から気力と精力貰ったからすっげー元気だ。――ほら、いいから眠りな? おやすみ、オレの可愛い奥さん」
「……うん、ありがとう。実はかなり眠たいのを我慢してたの。――おやすみ、私の大好きな旦那様。ずっとずーっと愛してるよ」


 私は寝ぼけ眼の状態でそう言うと、首を伸ばしてゼノの唇にキスをし、目を閉じその胸に身体を預けた。
 彼の温もりと、歩く振動の微かな揺れが心地良い。昨晩の寝不足の所為で、すぐに睡魔が襲ってくる。


「…………おい、ちょっと待て。お前からキスしてきたのってこれが初めてじゃねぇか!? しかも最上級の告白付きだと!? 今言って今するかソレ!? 完璧な生殺しじゃねぇか!! ――チッ、今日の夜は覚えてろよ、ユティ。また朝まで寝かせねぇからな」


 何やらとんでもなく怖い呟きが耳に入ってきたが、聞こえないことにして私は一時の眠りについた――



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