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彼の為に決断する元娘と、彼女を決して逃さない元義父のお話【ハッピーエンドルート】
6.彼の為に固めた“決意”
「――ゼノ、サンドイッチ作ったからお夜食に持って行って? レイラさんが新鮮なものを選んでくれたから、絶対に美味しいよ。お腹空いたら食べてね」
「おっ、ありがとな。さすがオレの可愛い奥さん、気が利くなぁ。レイラの店主にも感謝だな」
ニッと笑うゼノの顔を、今は直視出来ない……。
それでも頑張って彼の方を見て笑顔を作り、仕事に行く彼を見送る。
「いってらっしゃい、ゼノ。本当に気を付けてね?」
「――あぁ、このサンドイッチがあれば朝まで頑張れるぜ。いってくるな」
ゼノは身を屈ませ私に短いキスをすると、手をヒラリと振り家から出て行った。
「……はぁ……」
私は長い溜め息を吐き、その場にペタリと座り込む。
色んな感情が心の中に渦巻いていてグチャグチャだ。
「……分かってる。分かってるんだ。私がいなくなれば、全て解決するって――」
そうすればゼノは逃亡生活をしなくていいし、ジャスティさんの言う通り、私達は婚姻の届出をしていないから、王女様とすぐに結婚出来て想いが叶うし、良い所に住めるし、高い地位やお金だって貰えるし、生涯安泰だし……。
……あぁ、こうやって並べたら良いこと尽くめだ……。
ゼノはとても優しいから私を見捨てることが出来なくて、今まで全て“同情心”で私と一緒にいてくれたんだ。
『愛してる』の言葉も、私を抱いたことも、彼のことが好きな私が喜ぶと思って、“同情心”で、全部――
……心の奥底では、王女様のことを想って――
そこまで考えて、私の心が抉られたようにひどく痛む。
その痛みに耐えられず、涙がポロポロと零れ出てきた。
「ふっ……う、くっ、うぅ……っ。イヤだなぁ……。……そんなの、すごくイヤだなぁ……」
暫くその場でうずくまり泣きじゃくった私は、のろのろと立ち上がり、啜り泣きながら晩ご飯を食べ、むせび泣きながらシャワーを浴び、忍び泣きながらベッドに入る。
その間ずっと、ゼノとの今までの想い出を振り返っていた。
彼との“親子”での生活。“夫婦”になってからの生活。彼のふとした仕草や行動。彼が私にくれた沢山の言葉。彼と初めて一つになった時の、戸惑いと罪悪感と歓喜の気持ち――
彼のことを考えている間、私の中にある想いはただ一つだけだった。
「私は、ゼノに幸せになって欲しい。それが私の“一番”の願いであり、幸せでもあるから。――だから……うん。決めた」
私は決心をし、涙をグイッと裾で拭うと静かに瞳を閉じた――
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