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衝撃
しおりを挟む「ねぇ、鳥沢可哀想だよ話してあげようよ…」
クラスの女子が言った。
「なに言ってんだよ、優羽は親から暴力されてるんだ。俺たちも暴力されたら大変だろ!」
女子は男子に言われて黙ってしまった。
なんで俺がいるクラスの中で話すんだよ…いくら小声でも聞こえるじゃんか…
学校に行きたくない。誰も口聞いてなんかくれないし、陰口ばかりだ。もういやだ…
キーンコーンカーンコーン…
授業終わりのチャイムが鳴った、俺はすぐに立ち上がりランドセルを背負って教室から出た。
みんなの視線を後にして…
「優羽帰るの早くね?」
………うるさい
「帰っても殴られるだけだろ?」
………お前に
「急ぐ意味あんのかよ?」
……関係ないだろっ!
走る途中で聞こえた言葉に全部言い返してやりたかった。
お前らになにがわかるんだよ、中途半端に同情しないでくれよ。
そんなことはできないだから全部、胸の内側にしまった。
「鳥沢!?」
日高が俺を見つけて追いかけてきた。
俺は一瞬立ち止まる。
「……一緒に帰ろ……?」
日高が不安そうな顔をしていう。俺は日高の目を見てすぐ逸らした。
「おい~なんだなんだ~?」
クラスから男子が覗く。
俺を見てギョッとした顔をした。
「ごめん、俺帰るわ…」
でたのは弱々しい声だった。
日高が俺に近付いて俺の腕の裾をつかんだ。
「鳥沢……」
俺は日高の方を一切見ずに
「…ごめん…日高…」
そう言って、手を振り払ってまた走り出した
「日高、鳥沢なんかに構うなよ…」
1人の男子が日高に言った。
「なんでそんなこというの!?鳥沢はなにも悪くない!」
日高の言葉に男子は言葉を失った。
今日は美羽は習い事はなかった、だから一緒に帰る予定のはずだった。頭ではわかっていただけどクラスにいたくなくて
今すぐにでも海斗に逢いたくて、話したくて…
走って走って公園に着くと、海斗の姿があった。
逢えない日でも海斗は1人で公園にいた。
「海斗ーーーー!」
俺は叫んだ。すると海斗が振り向いて優しく笑って手を振った。
心にあった暗い闇が明るく照らされたようなそんな感じがした。
俺の頬に一筋の涙が伝った…
海斗はハッと驚いて、
「おいおい~どうしたんだよ~」
笑って俺の話を聞いてくれた。
ーーーーーー……
しばらく経って、公園を走ってくる女子が見えた。
「優羽ーー!!!」
美羽だった。
「もう!心配したのよ!なんで勝手に公園に来てるの?今日は一緒に帰ろうって約束だったでしょ!?」
「美羽ごめん…。どうしても…クラスに居たくなかったんだ。あ、いつも話していた海斗だよ。」
俺が海斗をみて言った。
美羽は海斗をみて固まった。
海斗も同様、固まっている。
「どうしたんだよ、2人とも…」
「優羽…」
美羽は俺を見つめ、不安そうな顔をした。
「どうしたんだよ、美羽…?」
すると海斗が、
「こんにちは初めまして、海斗です。」
にっこりと笑って言った。
「……初めまして、姉の美羽です。いつもありがとうね…優羽と遊んでくれて…」
そして、誰も喋らない空気が流れてから
「……優羽、私先に帰るね…」
美羽が静かにそう言って、帰って行った。
…美羽は俺と一緒に帰ろうと思ってここに来たんじゃなかったのか??
俺はそう疑問に思ったが口には出さず、美羽を見送った。
ーーー…しばらく経って、海斗が少し真剣な顔になって
「ねぇ、優羽…俺、実は……」
その時だった。
近くを走った男の子が
「また、1人で喋ってるよ…」
そう言って去っていった。
「…………え………?」
……1人で、喋って……る………?
俺はずっと海斗と一緒に話して……
その時、ハッ…と嫌な予感がした
海斗を見る
「ごめん。」
海斗は悲しそうな顔をして、
「俺、ずっと黙ってたことがあったんだ…」
「………お前………」
「俺……
幽霊…………なんだ………。」
ああ….
聞きたくなかった……
黙っている俺に海斗は続けた。
「優羽は幽霊が嫌い?」
「………」
「嫌いな感じがしたから、俺自分のこと言えなかった。」
海斗が俯向く。
「なんで、俺に話しかけたんだよ?」
「優羽だけじゃないよ…ここに来る子供全員に話しかけたんだよ。だけど、みんな俺のこと見えなくて…」
海斗は笑って
「だけど優羽は、返事を返してくれた…すごく嬉しかったんだ…」
「なんで、ずっと公園にいたんだ?」
「俺ねずっと生きていた時、体が弱くて病院に入院していたんだ。その時からずっと…公園で遊んでみたかったんだ…」
海斗は目を閉じて、胸に手を当てた。
「黙っていて本当にごめんね、優羽」
「俺は幽霊が嫌いだ、人を馬鹿にして怖がらせてとり憑いたりして…でも海斗は俺の話を聞いてくれた。」
俺は目頭が熱くなるのを感じながら、海斗をみた。
もう…海斗には会えない今日が最後
そんな気がしたから
「ありがとう、優羽。俺の願いを叶えてくれて」
「海斗……」
「これからどこに行くかは僕わからないけど、また優羽に会えると信じてるから…」
そう言って消えていった、海斗は幽霊とかには見えなかった。
ゆらゆらと綺麗な透明。そう透明な存在だと俺は思ったんだーー……-
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