透明な存在

しゅれい

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別れ

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海斗は色々な話を聞いてくれた…美羽にも言えないようなことも…





本当にありがとう…
俺、他の人にも相談してみるよ…




俺は涙を拭いて帰り道を歩き出した。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「………ただいま…」




俺が小さな声で言って、玄関に入るといつもはない母さんの靴があった。



今日は母さん、仕事が休みなのかな?



少し嬉しい気持ちになって、駆け足でリビングに向かった。



「母さん!今日は休みなの!?」




リビングのドアを開けると、そこには壁に寄り掛かって座り込んでいる美羽がいた。



顔は真っ青で、震えていた。




「……美羽どうしたの?母さんは?」




美羽は俺の方を一切見ずに、風呂場の方を指差した。



俺は風呂場に向かう。途中で赤い雫がついているのを見ながら……



すごく嫌な予感がした。
もう母さんはいない…そんな気もした…




どうかそんな予感は外れてくれ…





小さく祈る。だけどその願いは叶わなかった。






風呂場に行くと、







洗い場に倒れている母さんがいた。







腹には包丁が刺さっていて、排水口に流れる血。何ヶ所か殴られていた痕があった。





「………母さっ………!」





刺した人はすぐにわかった。父さんだ。
憎しみと悲しみが心の中を染めていった…





「……ゆっ、優羽っ!!」





美羽が駆け寄ってきて俺にしがみ付く。




「どうしよ…お母さんが…お母さんがぁ!!!」




美羽が泣き喚く。


ただ俺も一緒に泣くしかなかった。



そのあとはよく覚えていない…たしか俺と美羽は近所の人のところまで走って行って助けを求めて、それでおばさんが警察に連絡をしてくれたんだと思う。





俺と美羽は、警察の人に話を聞かれた。
けれど、2人とも話すことが出来なくてただ首を振るだけだった。





警察が家の中を調べたところ、母さんは家に帰ってきて大きなバッグに荷物を入れていた形跡があったらしい。



バッグの中には、服や生活に必要なものが入っていたらしい。



その途中で何者かに殴られて、風呂場に連れて行かれ包丁で刺された。間違いなく刺した奴は父さんだろう…




母さんは家を出て行こうとした…それで怒り狂った父さんに刺されて死んだ。




一つ疑問が残る。






………ねぇ、母さん俺たちは……?







刺されて死んだのは俺たちが発見する2時間前と推定された。






2時間も前だったら、俺たちは普通に学校にいる。







………1人で出て行こうとした…?












事件は闇に包まれていった…ただ一つの疑問を残して……

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