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第3章「創世」
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早速俺は、鉱石掘りのために近所の洞窟の中に単身乗り込んでいった。
俺の武器も防具も初期装備に戻ってしまっていたが、レベルと経験値が結構高くなっているので、洞窟のモンスターなんぞにむざむざと殺されるようなことはなかった。
俺は大量の鉄鉱石と金鉱石を採掘し、鉄と金のインゴッドを精錬した。
そして工作箱で武器や防具をすべて鉄製の物に作り変えて装備した。
次に俺は石と金塊から集積回路を作り、その集積回路と鉄とガラスを組み合わせてスマホを2台作って美衣奈にも1台持たせた。
最後に鉄からバリカンを作って羊の羊毛を刈ると、材木と羊毛を組み合わせてようやく『ベッド』を練成したのだった。
「遂に念願の『ベッド』を手に入れたぞお!」
出来立てホヤホヤのベッドを2つ、豆腐小屋の中に並べて設置すると、俺は美衣奈の手を引っ張った。
「さあ、ベッドを試してみよう!寝よう!寝よう!」
「ちょ、ちょっと!まだ、外が明るいですよお」
「そっかあ!夜にならないとベッドで眠れないんだったな。ずっと雑魚寝ばっかりだから忘れていたよ」
その後俺は美衣奈の作ってくれたケーキをほおばりながら、「早く夜にならないかなあ」と窓から夕陽が沈んでゆくのをじっと見つめていた。
金色の夕焼け雲がだんだん灰に変わり、やがて紺色の空に星がうっすらと光り始めた。
「夜が来たああ!さあ、寝るぞおお!」
俺はジャンプしてベッドの中に潜り込むと、そのまま深い眠りについた。
次に俺が目を覚ましたら、朝になっていた。
「おっ!?ベッドに寝たら時間をぶっ飛ばして、夜が朝になったぞ!」
「おはようございます」
美衣奈は椅子に腰かけ、赤ん坊に母乳を与えているところだった。
「なんだ、もう起きていたのか?」
「ミイちゃんがお腹が空いたって泣くものですから」
「どうだ!ベッドに寝たらすぐに夜が朝になっただろう!」
「―――それがですねぇ、実はミイちゃんが夜泣きしたので、私、夜中に一度起きたのです。あなたは一人で気持ちよさそうにベッドで熟睡してましたが、夜が朝に急に変わったりしませんでしたよ?」
「えっ!?そうだったのか!?」
これは一体どうしたわけなのか?
俺がエメラルドタブレットから入手した知識と違っているぞ。
その後、俺は念話で地底の香菜子達と連絡を取って、原因が分かった。
この異世界にいる人間が全員一斉にベッドに寝ないと、夜が朝に変わってくれないのだ。
俺一人がベッドで寝ても、異世界の時間は普段通りにしか流れないのだった。
「全員が一斉にベッドに寝るなんてあり得ない!ベッドなんか何の役にも立たねぇぞ!」
俺が不貞腐れていると、香菜子が一応、慰めの言葉をくれた。
(ベッドに眠ったら、その人のリスポーン地点がそのベッドに変更されるわ。今度あなたが死んだら、今いるベッドの上に蘇るのよ。これだけでもベッドを手に入れる価値が充分あるわ)
「なるほどな………。だったら、そっちに行く時に人数分のベッドを作って持っていくよ。万が一、地上に戻る時に死んじまっても、地底の拠点にリスポーンできるからな」
(それはいい考えだわ。元々、私たちのリスポーン地点は地表だし、広範囲にバラバラですものね。でも、地上に戻る時に私達が死ぬ危険性があるの?)
「前回、俺が大穴を降りた時にはワイバーンの群れに襲われた。気球で上昇する時もモンスターに襲われるリスクはあるだろうな」
(それは不安ねぇ。モンスターに襲われても、あなたしか戦える人間がいないのに)
「ちょ、ちょっと待てよ!俺以外にもそっちにはお前と桃歌、瑠奈、美乃里、そして菜々と萌々姉妹。全部で6人も錬金術師がいるじゃないか?」
(戦闘用術式を使える人って誰もいないわ。あなた以外誰一人としてモンスターと戦える人間はいないわよ)
「ええっ!?せっかく魔法の弓矢やグラディウスがあるんだ。そこは自分らでも修行して戦おうよ」
(嫌よ、そんな野蛮なこと!戦闘はあなたに任せるわ。私だけじゃない、これはみんなの一致した意見よ)
「だったら、俺はお前らを守りながら、地上と地底を何往復もしないといけないのか!?」
(それも時間がかかるから困るわ。私たちのストレスももう限界なのよ。こんな真っ暗な地底にいつまでもいたくないわ)
「いや、そんな無茶言われても……」
(何が無茶よ!この不衛生で陰気な穴倉の底で、か弱い女性と生まれて間もない幼子があなたの助けを待っているのよ!私たちを救えるのはあなただけなのよ。少しは自分の立場を自覚してよね)
「はい…………」
俺の武器も防具も初期装備に戻ってしまっていたが、レベルと経験値が結構高くなっているので、洞窟のモンスターなんぞにむざむざと殺されるようなことはなかった。
俺は大量の鉄鉱石と金鉱石を採掘し、鉄と金のインゴッドを精錬した。
そして工作箱で武器や防具をすべて鉄製の物に作り変えて装備した。
次に俺は石と金塊から集積回路を作り、その集積回路と鉄とガラスを組み合わせてスマホを2台作って美衣奈にも1台持たせた。
最後に鉄からバリカンを作って羊の羊毛を刈ると、材木と羊毛を組み合わせてようやく『ベッド』を練成したのだった。
「遂に念願の『ベッド』を手に入れたぞお!」
出来立てホヤホヤのベッドを2つ、豆腐小屋の中に並べて設置すると、俺は美衣奈の手を引っ張った。
「さあ、ベッドを試してみよう!寝よう!寝よう!」
「ちょ、ちょっと!まだ、外が明るいですよお」
「そっかあ!夜にならないとベッドで眠れないんだったな。ずっと雑魚寝ばっかりだから忘れていたよ」
その後俺は美衣奈の作ってくれたケーキをほおばりながら、「早く夜にならないかなあ」と窓から夕陽が沈んでゆくのをじっと見つめていた。
金色の夕焼け雲がだんだん灰に変わり、やがて紺色の空に星がうっすらと光り始めた。
「夜が来たああ!さあ、寝るぞおお!」
俺はジャンプしてベッドの中に潜り込むと、そのまま深い眠りについた。
次に俺が目を覚ましたら、朝になっていた。
「おっ!?ベッドに寝たら時間をぶっ飛ばして、夜が朝になったぞ!」
「おはようございます」
美衣奈は椅子に腰かけ、赤ん坊に母乳を与えているところだった。
「なんだ、もう起きていたのか?」
「ミイちゃんがお腹が空いたって泣くものですから」
「どうだ!ベッドに寝たらすぐに夜が朝になっただろう!」
「―――それがですねぇ、実はミイちゃんが夜泣きしたので、私、夜中に一度起きたのです。あなたは一人で気持ちよさそうにベッドで熟睡してましたが、夜が朝に急に変わったりしませんでしたよ?」
「えっ!?そうだったのか!?」
これは一体どうしたわけなのか?
俺がエメラルドタブレットから入手した知識と違っているぞ。
その後、俺は念話で地底の香菜子達と連絡を取って、原因が分かった。
この異世界にいる人間が全員一斉にベッドに寝ないと、夜が朝に変わってくれないのだ。
俺一人がベッドで寝ても、異世界の時間は普段通りにしか流れないのだった。
「全員が一斉にベッドに寝るなんてあり得ない!ベッドなんか何の役にも立たねぇぞ!」
俺が不貞腐れていると、香菜子が一応、慰めの言葉をくれた。
(ベッドに眠ったら、その人のリスポーン地点がそのベッドに変更されるわ。今度あなたが死んだら、今いるベッドの上に蘇るのよ。これだけでもベッドを手に入れる価値が充分あるわ)
「なるほどな………。だったら、そっちに行く時に人数分のベッドを作って持っていくよ。万が一、地上に戻る時に死んじまっても、地底の拠点にリスポーンできるからな」
(それはいい考えだわ。元々、私たちのリスポーン地点は地表だし、広範囲にバラバラですものね。でも、地上に戻る時に私達が死ぬ危険性があるの?)
「前回、俺が大穴を降りた時にはワイバーンの群れに襲われた。気球で上昇する時もモンスターに襲われるリスクはあるだろうな」
(それは不安ねぇ。モンスターに襲われても、あなたしか戦える人間がいないのに)
「ちょ、ちょっと待てよ!俺以外にもそっちにはお前と桃歌、瑠奈、美乃里、そして菜々と萌々姉妹。全部で6人も錬金術師がいるじゃないか?」
(戦闘用術式を使える人って誰もいないわ。あなた以外誰一人としてモンスターと戦える人間はいないわよ)
「ええっ!?せっかく魔法の弓矢やグラディウスがあるんだ。そこは自分らでも修行して戦おうよ」
(嫌よ、そんな野蛮なこと!戦闘はあなたに任せるわ。私だけじゃない、これはみんなの一致した意見よ)
「だったら、俺はお前らを守りながら、地上と地底を何往復もしないといけないのか!?」
(それも時間がかかるから困るわ。私たちのストレスももう限界なのよ。こんな真っ暗な地底にいつまでもいたくないわ)
「いや、そんな無茶言われても……」
(何が無茶よ!この不衛生で陰気な穴倉の底で、か弱い女性と生まれて間もない幼子があなたの助けを待っているのよ!私たちを救えるのはあなただけなのよ。少しは自分の立場を自覚してよね)
「はい…………」
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