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06 はい、近づきません
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「あっレイ。話があったのに。聞いてくれないのね。怒っているの?」とお姉様が言うと
「レイチャル。いい加減にしろ」とマイケルが言った。
わたしは二人の声を無視して食堂に向かった。
怒ってるかって?怒ってるに決まっている。わたしは、定食を勢いよく詰め込むと、急いで教室も戻った。
この件はこう、噂された。
レイチャルがすがる系統では、レイチャルを気の毒に思ったクリスティーンはお昼に誘った。
だが、罰は必要だとして、食事をさせなかった。お腹が空いたレイチャルは肩を落として教室に戻った。
クリスティーンあばずれ系統では、二人はレイチャルを連れ出して、自分たちが美味しく食事する所を見せつけた。
そういえば、クレープカフェでは、一番安いのをレイチャルに食べさせて、自分たちは豪華なクレープを、食べさせあっていたらしいよ。
噂は面白い。わたしは意識して噂を知らない振りをする。それが噂を助長する一番いい方法だからだ。
この腹の立つ昼食は、姉が父に言いつけたことで家族の知る所となり、わたしが非難され、叱られた。
「クリスティーンの好意を無にしたそうだな」どこが好意ですか?
「ほんとに仕様がないわね。姉の為にならないことばかりやって」婚約者を貸してますよ。
「上のお姉様に気を使わせてばかりですね」クソガキに言われたくないわ。今後宿題は自分でやりなさい。
「いつまで、不貞腐れているんだ。これからは迷惑にならないように、二人に近づくな」と父が言った。喜んで。その通りにします。二人に近づきません。
「はい、お父様。今のお言葉をしっかりと胸に刻みます。明日マイケル様がいらしたらこの言葉を申し上げます。お父様がおっしゃった通り近づきません」
「そうしてくれ」とお父様が言ってやっと開放された。
翌日、迎えに来たマイケルに向かってわたしは
「お父様があなたに近づくなと命令して来たの。だからうちの馬車で行くわ」と行った。
これはわたしとしては賭けのつもりだった。
「婚約者じゃないか君のお父様はおかしいよ」とマイケルが言うと思った。
だが、マイケルは頷いただけで、姉に手を差し出した。
それからも学院では噂は大げさなものになっていったが、わたしは噂に関しては沈黙を守った。
そんな噂は知らない。だから、当てこすりで
「愛し合う二人に割り込むってどんな心境ですか?」と言われた時はキョトンとして
「どんな心境って愛し合う二人ってどこにいますか?」と答えた。
「愛の冷めた相手にすがるって虚しいもんでしょうね」と言われた時は
「どうなんでしょうか?冷めた相手にすがりたいのですか?わたしは無理かな。冷めてるならね」と答えた。
お姉様とマイケルは学院が休みの度に二人で出歩いている。
一度、ダグラス侯爵が父を訪ねて来て
「なんだか、うちのマイケルとクリスティーン嬢が二人だけで出歩いていると聞いたんだが」と言って来た。
「クリスティーンが外出するのに、護衛と侍女だけでは頼りないからとマイケル殿が気を使ってくれているのを見かけた人がいるみたいですね。マイケル殿はレイチャルの婚約者ですから、お互いに安心ですからね」と父が答えてダグラス侯爵は納得したみたいだ。
父の理屈は間違ってない。ただ、マイケルとお姉様のやることはその範囲を超えているとわたしは思う。
少なくとも世間はそう見ている。学院の生徒もそう見ている。
「レイチャル。いい加減にしろ」とマイケルが言った。
わたしは二人の声を無視して食堂に向かった。
怒ってるかって?怒ってるに決まっている。わたしは、定食を勢いよく詰め込むと、急いで教室も戻った。
この件はこう、噂された。
レイチャルがすがる系統では、レイチャルを気の毒に思ったクリスティーンはお昼に誘った。
だが、罰は必要だとして、食事をさせなかった。お腹が空いたレイチャルは肩を落として教室に戻った。
クリスティーンあばずれ系統では、二人はレイチャルを連れ出して、自分たちが美味しく食事する所を見せつけた。
そういえば、クレープカフェでは、一番安いのをレイチャルに食べさせて、自分たちは豪華なクレープを、食べさせあっていたらしいよ。
噂は面白い。わたしは意識して噂を知らない振りをする。それが噂を助長する一番いい方法だからだ。
この腹の立つ昼食は、姉が父に言いつけたことで家族の知る所となり、わたしが非難され、叱られた。
「クリスティーンの好意を無にしたそうだな」どこが好意ですか?
「ほんとに仕様がないわね。姉の為にならないことばかりやって」婚約者を貸してますよ。
「上のお姉様に気を使わせてばかりですね」クソガキに言われたくないわ。今後宿題は自分でやりなさい。
「いつまで、不貞腐れているんだ。これからは迷惑にならないように、二人に近づくな」と父が言った。喜んで。その通りにします。二人に近づきません。
「はい、お父様。今のお言葉をしっかりと胸に刻みます。明日マイケル様がいらしたらこの言葉を申し上げます。お父様がおっしゃった通り近づきません」
「そうしてくれ」とお父様が言ってやっと開放された。
翌日、迎えに来たマイケルに向かってわたしは
「お父様があなたに近づくなと命令して来たの。だからうちの馬車で行くわ」と行った。
これはわたしとしては賭けのつもりだった。
「婚約者じゃないか君のお父様はおかしいよ」とマイケルが言うと思った。
だが、マイケルは頷いただけで、姉に手を差し出した。
それからも学院では噂は大げさなものになっていったが、わたしは噂に関しては沈黙を守った。
そんな噂は知らない。だから、当てこすりで
「愛し合う二人に割り込むってどんな心境ですか?」と言われた時はキョトンとして
「どんな心境って愛し合う二人ってどこにいますか?」と答えた。
「愛の冷めた相手にすがるって虚しいもんでしょうね」と言われた時は
「どうなんでしょうか?冷めた相手にすがりたいのですか?わたしは無理かな。冷めてるならね」と答えた。
お姉様とマイケルは学院が休みの度に二人で出歩いている。
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「なんだか、うちのマイケルとクリスティーン嬢が二人だけで出歩いていると聞いたんだが」と言って来た。
「クリスティーンが外出するのに、護衛と侍女だけでは頼りないからとマイケル殿が気を使ってくれているのを見かけた人がいるみたいですね。マイケル殿はレイチャルの婚約者ですから、お互いに安心ですからね」と父が答えてダグラス侯爵は納得したみたいだ。
父の理屈は間違ってない。ただ、マイケルとお姉様のやることはその範囲を超えているとわたしは思う。
少なくとも世間はそう見ている。学院の生徒もそう見ている。
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