24 / 31
24 試験日
しおりを挟む
今日は、レベッカの飛び級試験の日だ。
リチャードは馬車から降りて、レベッカの馬車の到着を待っていた。
リチャードは同じ馬車での通学を提案したが
「リチャード様、それは無理だと存じます」と丁寧に断られた。
それで仕方なく別々に通っている。
だが、今日は試験監督も務める関係から一緒に教室に行きたかった。
レベッカの乗る馬車がついた。とドアが開いてレベッカが身軽に降りて来た。
『そう、これはレベッカがやっているのだ。どうしてもっと早く気がつかなかったのか?レベッカは魔法が使える所を見せていたのだ。なのに・・・』と考え始めたが、リチャードは今考えることじゃない。と気持ちを切り替えた。
「おはようございます。リチャード様」
「おはよう、レベッカ」
二人は並んで歩き出した。
教室に入った。レベッカは真ん中に用意された席についた。
試験監督は四名。四年Aクラスの担任。魔法のサマンサ・フォード。学院長。リチャードだった。
レベッカのペンは止まることなく動く。最後の問題を書き終えるとペンを置いて見直しをすると
「終わりました」と言った。時間は十分ほど残っている。
レベッカは答案用紙を机に置いて手を膝に乗せていた。
四人の監督は机に近寄り答案用紙を確認した。
四年の担任が
「この場で採点をします。すぐに結果が出ますから、良ければレベッカさん待っていて下さい」と言った。
すると学院長が
「それはまずい。別室で検討しなくては・・・」と言うと
「なにを検討するのですか?」と魔法教師のサマンサが学院長に聞いた。
その間にも担任は採点をしていく。
「素晴らしいですね。レベッカさん、合格です」
「やったね。レベッカ、さすがだ」
「お兄様が教えてくださったからですわ」
「レベッカ。兄様と言ってくれるんだね」
「もちろんですわ。お兄様が教えてくださったからです」
そう言ったレベッカに微笑みかけられて、リチャードは嬉しかった。グルークリフのお姫様が帰って来たと思った。
「おっと、こうしてはいられない。早速、帰って試験勉強だ」と溢れる涙を誤魔化すようにおどけて言うと
「まぁ、お兄様、これからはライバルですね」
「そうだね。うかうかしていられない」とリチャードは返すと
教師に向かった言った。
「これで失礼します。試験をさせてくださいまして、ありがとうございます」
レベッカも
「ありがとうございました」と頭を下げた。
2人は仲良く並んで部屋を出て行った。
学院長がつぶやいた
「そんな馬鹿な無能だと言う評判ではないか。ゴネリルがそう言ってたんだ」
「明日からレベッカさんは四年生ですが、Aクラスになりますね。この成績ですと」と四年Aクラスの担任が言った。
「そんな・・・彼女を無能と言いふらしていたゴネリルはどうなる?」と学院長が言うと
「そうでしたね。ゴネリルさんはあちらこちらで、ついつい愚痴をこぼしてましたね」と四年のAクラスの担任が言った。
「確か、学院長の姪御さんですね」とルイーズが言うと
「あぁ努力家の自慢の姪っ子だが」と学院長は言ったが、誰も返事をしなかった。
その日の夕食の時、リチャードがこう発表した。
「今日、レベッカが飛び級試験に合格して、四年生になりました」
「四年」「レベッカが」「飛び級?」「あれが?」「飛び級!四年」と三人が一頻り騒ぐのを待ってリチャードがあらためて言った。
「レベッカは飛び級試験を受けて四年生になりました。わたしと同じAクラスになると思います」
「なんですって?あの子は・・・なにも出来ないとゴネリルさんが・・・」と公爵夫人が言うと
「チトラと組んでいるとレベッカは言ってましたね」とリチャードが言った。
レベッカは黙って微笑んでいた。
ステラが両親に訴えた。
「ゴネリル先生はいい先生です。だからレベッカは飛び級出来たのでしょう?」とステラが言った。
事実ステラは、いつもゴネリルに褒められているし、学院の成績もいい。
レベッカは
「わたくしは飛び級試験に合格しました。でもゴネリルさんは関係ないですよ。
ステラはわたし程度のことは出来ますね。今までは同じ学年でしたもの。わたくしが一年遅れになったのは、表向きは病弱。ほんとは無能を外に出したくないからでよろしいですね。公爵夫人」
「ゴネリルさんがわたくしが無能だと触れ回っていたのはご存知ですか?触れ回ったのはゴネリルさんだけじゃないですけど・・・」とステラを見てレベッカは笑った。
「ゴネリルさんを首にするのはステラ様がいやでしょうからこのままで」とレベッカは静かに言った。
「それとレベッカに頼みがある。わたしたちの呼び方を戻してくれないか?」とリチャードが言うと
「そう、そうして頂戴。お母様と呼んで欲しいの」と公爵夫人が言うと
「そうして欲しい。そして食事も一緒に」と公爵も言った。
「承知いたしました。お父様。お母様」とレベッカは言った。
レベッカが四年Aクラスに現れた日の周囲の混乱は見ものだった。
最初に一年Eクラスに行って、今日から四年になると言った時は飛び級はあっさり受け入れられた。四年になることは驚かれたが、言われてみればそうだよねと、皆、納得した。
リチャードは馬車から降りて、レベッカの馬車の到着を待っていた。
リチャードは同じ馬車での通学を提案したが
「リチャード様、それは無理だと存じます」と丁寧に断られた。
それで仕方なく別々に通っている。
だが、今日は試験監督も務める関係から一緒に教室に行きたかった。
レベッカの乗る馬車がついた。とドアが開いてレベッカが身軽に降りて来た。
『そう、これはレベッカがやっているのだ。どうしてもっと早く気がつかなかったのか?レベッカは魔法が使える所を見せていたのだ。なのに・・・』と考え始めたが、リチャードは今考えることじゃない。と気持ちを切り替えた。
「おはようございます。リチャード様」
「おはよう、レベッカ」
二人は並んで歩き出した。
教室に入った。レベッカは真ん中に用意された席についた。
試験監督は四名。四年Aクラスの担任。魔法のサマンサ・フォード。学院長。リチャードだった。
レベッカのペンは止まることなく動く。最後の問題を書き終えるとペンを置いて見直しをすると
「終わりました」と言った。時間は十分ほど残っている。
レベッカは答案用紙を机に置いて手を膝に乗せていた。
四人の監督は机に近寄り答案用紙を確認した。
四年の担任が
「この場で採点をします。すぐに結果が出ますから、良ければレベッカさん待っていて下さい」と言った。
すると学院長が
「それはまずい。別室で検討しなくては・・・」と言うと
「なにを検討するのですか?」と魔法教師のサマンサが学院長に聞いた。
その間にも担任は採点をしていく。
「素晴らしいですね。レベッカさん、合格です」
「やったね。レベッカ、さすがだ」
「お兄様が教えてくださったからですわ」
「レベッカ。兄様と言ってくれるんだね」
「もちろんですわ。お兄様が教えてくださったからです」
そう言ったレベッカに微笑みかけられて、リチャードは嬉しかった。グルークリフのお姫様が帰って来たと思った。
「おっと、こうしてはいられない。早速、帰って試験勉強だ」と溢れる涙を誤魔化すようにおどけて言うと
「まぁ、お兄様、これからはライバルですね」
「そうだね。うかうかしていられない」とリチャードは返すと
教師に向かった言った。
「これで失礼します。試験をさせてくださいまして、ありがとうございます」
レベッカも
「ありがとうございました」と頭を下げた。
2人は仲良く並んで部屋を出て行った。
学院長がつぶやいた
「そんな馬鹿な無能だと言う評判ではないか。ゴネリルがそう言ってたんだ」
「明日からレベッカさんは四年生ですが、Aクラスになりますね。この成績ですと」と四年Aクラスの担任が言った。
「そんな・・・彼女を無能と言いふらしていたゴネリルはどうなる?」と学院長が言うと
「そうでしたね。ゴネリルさんはあちらこちらで、ついつい愚痴をこぼしてましたね」と四年のAクラスの担任が言った。
「確か、学院長の姪御さんですね」とルイーズが言うと
「あぁ努力家の自慢の姪っ子だが」と学院長は言ったが、誰も返事をしなかった。
その日の夕食の時、リチャードがこう発表した。
「今日、レベッカが飛び級試験に合格して、四年生になりました」
「四年」「レベッカが」「飛び級?」「あれが?」「飛び級!四年」と三人が一頻り騒ぐのを待ってリチャードがあらためて言った。
「レベッカは飛び級試験を受けて四年生になりました。わたしと同じAクラスになると思います」
「なんですって?あの子は・・・なにも出来ないとゴネリルさんが・・・」と公爵夫人が言うと
「チトラと組んでいるとレベッカは言ってましたね」とリチャードが言った。
レベッカは黙って微笑んでいた。
ステラが両親に訴えた。
「ゴネリル先生はいい先生です。だからレベッカは飛び級出来たのでしょう?」とステラが言った。
事実ステラは、いつもゴネリルに褒められているし、学院の成績もいい。
レベッカは
「わたくしは飛び級試験に合格しました。でもゴネリルさんは関係ないですよ。
ステラはわたし程度のことは出来ますね。今までは同じ学年でしたもの。わたくしが一年遅れになったのは、表向きは病弱。ほんとは無能を外に出したくないからでよろしいですね。公爵夫人」
「ゴネリルさんがわたくしが無能だと触れ回っていたのはご存知ですか?触れ回ったのはゴネリルさんだけじゃないですけど・・・」とステラを見てレベッカは笑った。
「ゴネリルさんを首にするのはステラ様がいやでしょうからこのままで」とレベッカは静かに言った。
「それとレベッカに頼みがある。わたしたちの呼び方を戻してくれないか?」とリチャードが言うと
「そう、そうして頂戴。お母様と呼んで欲しいの」と公爵夫人が言うと
「そうして欲しい。そして食事も一緒に」と公爵も言った。
「承知いたしました。お父様。お母様」とレベッカは言った。
レベッカが四年Aクラスに現れた日の周囲の混乱は見ものだった。
最初に一年Eクラスに行って、今日から四年になると言った時は飛び級はあっさり受け入れられた。四年になることは驚かれたが、言われてみればそうだよねと、皆、納得した。
170
あなたにおすすめの小説
婚約破棄から50年後
あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。
そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
はっきり言ってカケラも興味はございません
みおな
恋愛
私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。
病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。
まぁ、好きになさればよろしいわ。
私には関係ないことですから。
完結 冗談で済ますつもりでしょうが、そうはいきません。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の幼馴染はいつもわがまま放題。それを放置する。
結婚式でもやらかして私の挙式はメチャクチャに
「ほんの冗談さ」と王子は軽くあしらうが、そこに一人の男性が現れて……
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
私のことはお気になさらず
みおな
恋愛
侯爵令嬢のティアは、婚約者である公爵家の嫡男ケレスが幼馴染である伯爵令嬢と今日も仲睦まじくしているのを見て決意した。
そんなに彼女が好きなのなら、お二人が婚約すればよろしいのよ。
私のことはお気になさらず。
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
*らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる