【本編完結】番って便利な言葉ね

朝山みどり

文字の大きさ
10 / 69

10 奴隷を買う

しおりを挟む
「おい、俺を買ってくれ。おまえのように弱そうなやつを守ってやる。俺は強いぞ。おまけに安い」

 そんなに傷だらけなのに、随分威勢のいいことで!!


「いくら?」と執事さんのほうを見ると

「金貨三枚。返品は受けない」

「奴隷って。その主人には逆らえないのでは?」と聞くと

「逆らえないのは逆らうと苦痛が与えられるからだ。堪えて逆らおうとするやつも、いる。こいつのようにな・・・だが、こいつほど逆らうやつもあまりいない」

「おまえの言う事は聞くぞ」と奴隷は言うと、重ねて

「そこの檻に入っている犬も一緒に買ってくれ」と言った。

「犬?・・・・・犬が好きなのか?」と聞くと、執事さんが

「あぁ奴隷のくせに犬を・・・・ふざけやがって、いまいましい」執事さん口調が荒くなってる。

「犬は死にかけてるがな」と執事さんが言うので、よく見てみたが、そうだなと思った。


「頼む、せめて手当をしてやりたい・・・・俺の腕の中で、最後を・・・・頼む」強そうでえらそうなやつが、こんなになるとは、犬一匹で・・・・・なにかあるのか?と思ったら口が勝手に


「わかった。買う。犬はいくらだ?」と言っていた。ダメだよ、好奇心は命を縮めるのに・・・・


「おまけにしてやる」そう来たか、すかさず


「ありがとう。犬の体をおおう布もつけて欲しいな」と言うと執事さんは

「承知しました。手続きを致します。参りましょう」

 と執事の言葉に戻った。


 事務室で待っていると、犬を抱いた奴隷をつれて執事さんが入って来た。


 書類にサインをして代金を払うと奴隷の首輪にわたしの血をたらした。

「売りたい時は奴隷商に行けば首輪を無効に出来ます。奴隷を解放したい時も奴隷商、もしくは役所で手続き出来ます。ほかに奴隷が欲しいときは、この奴隷と一緒にくれば少しお安くなります。ではお買い上げありがとうございます」

「はい」

「おっと忘れる所でした。奴隷が死亡した場合首輪は自動的に外れます。回収できた時はこちらにお持ち下さい。次の奴隷を格安で提供します」

「はい・・・・・回収できないときは?」

「残念ながら・・・なんとも」

「はい、どうも」と答えると執事さんにドアを開けて貰って外に出た。



 宿に戻らずに人のいない所を探したわたしは、公園の隅の木の切り株に奴隷を座らせた。

「いいからあなたが座って」そして自家用のポーションを出して渡した。

「飲ませてみて」

 犬はぐったりとしていたので、奴隷が犬を仰向けに抱いてわたしが瓶から少しずつポーションを注ぎ込んだ。

 犬の状態は酷くて、右前足は付け根から、後ろ足の半分も切られていた。




 様子をみていると「ワオ」と犬が鳴いた。意識が戻ったようだ。出血も止まったようだ。そこでまたポーションを少しずつ口に入れると飲んでいる。

 だんだん、目に力が出て来た。そしたら、今度は眠そうになって寝てしまった。気絶じゃないよね。

 体力ない所に治療も大変だったかな?あとは目が覚めてからだ。



 残ったポーションは奴隷に飲ませた。

 見る見る傷が治った。奴隷は汚いので、少し洗おうと水の塊を出した。

「その水を使って体を洗って水が汚れたらまた出すからどんどん使って。犬はわたしが抱いてるから」

 そういうとためらう奴隷から、犬を奪い取ってリュックに入れた。

 着ている服ごと奴隷は体を洗っている。服も買わないといけないわね。




しおりを挟む
感想 322

あなたにおすすめの小説

逃した番は他国に嫁ぐ

基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」 婚約者との茶会。 和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。 獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。 だから、グリシアも頷いた。 「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」 グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。 こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。

あなたの運命になりたかった

夕立悠理
恋愛
──あなたの、『運命』になりたかった。  コーデリアには、竜族の恋人ジャレッドがいる。竜族には、それぞれ、番という存在があり、それは運命で定められた結ばれるべき相手だ。けれど、コーデリアは、ジャレッドの番ではなかった。それでも、二人は愛し合い、ジャレッドは、コーデリアにプロポーズする。幸せの絶頂にいたコーデリア。しかし、その翌日、ジャレッドの番だという女性が現れて──。 ※一話あたりの文字数がとても少ないです。 ※小説家になろう様にも投稿しています

番を辞めますさようなら

京佳
恋愛
番である婚約者に冷遇され続けた私は彼の裏切りを目撃した。心が壊れた私は彼の番で居続ける事を放棄した。私ではなく別の人と幸せになって下さい。さようなら… 愛されなかった番。後悔ざまぁ。すれ違いエンド。ゆるゆる設定。 ※沢山のお気に入り&いいねをありがとうございます。感謝感謝♡

忌むべき番

藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」 メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。 彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。 ※ 8/4 誤字修正しました。 ※ なろうにも投稿しています。

間違えられた番様は、消えました。

夕立悠理
恋愛
※小説家になろう様でも投稿を始めました!お好きなサイトでお読みください※ 竜王の治める国ソフームには、運命の番という存在がある。 運命の番――前世で深く愛しあい、来世も恋人になろうと誓い合った相手のことをさす。特に竜王にとっての「運命の番」は特別で、国に繁栄を与える存在でもある。 「ロイゼ、君は私の運命の番じゃない。だから、選べない」 ずっと慕っていた竜王にそう告げられた、ロイゼ・イーデン。しかし、ロイゼは、知っていた。 ロイゼこそが、竜王の『運命の番』だと。 「エルマ、私の愛しい番」 けれどそれを知らない竜王は、今日もロイゼの親友に愛を囁く。 いつの間にか、ロイゼの呼び名は、ロイゼから番の親友、そして最後は嘘つきに変わっていた。 名前を失くしたロイゼは、消えることにした。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

運命の番?棄てたのは貴方です

ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。 番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。 ※自己設定満載ですので気を付けてください。 ※性描写はないですが、一線を越える個所もあります ※多少の残酷表現あります。 以上2点からセルフレイティング

処理中です...