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第十四話
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ダイスが教えてくれたので、ジークと話をした。最初は渋っていたが教えてくれた。
やはりシスレー家は当てにしていた収穫が最低だったようで、お金に困っているそうだ。
だから言ったのに・・・とわたしがいくら思ってもだめだ。遅い。
そしてテリウス様が借りたお金は収穫の二年分だ。結婚式の払いがこれだけなのだろうか?
橋の修理なんかを予備費としていたのを使ったのだろう。
ジークは悪いようにしないと言っているが、事業は慈善ではない。
だが、わたしがここで気をもんでもお金は出てこない。
見ているだけしか出来ない。だが、領民を助けることはできないだろうか?
せめて冬が越せるように、食料と薪を援助出来ないだろうか?
ジークに頼めば聞いてくれるだろうが、わたしの力で援助したい。
わたしは考えた。
◇◇◇
王都の貴族をびっくりさせる披露宴が終わった。
すごいな伯爵家。蓄えでこんなことができるとは。本家はこれを独り占めしていたんだな・・・
朝食をゆっくり食べて執務室に入った。
代々の領主が使っていた家具は捨てて買い換えた。
真新しい家具に座って、運ばれてきた書類を見た。うん?請求書?あぁそうだな。当然回ってくるな。
次々に支払い書に署名したが、なんだこのワインの請求書は?追加分?酔っ払いどもが・・・たしか義祖父は手持ちで払うとか言ってなかったか?
その請求書は義祖父の所に回した。
ドレスの請求書はこれだな。すぐにこの『ベヲミ』の担当者を呼ぶよう言いつけた。
担当者はすぐにやって来た。用意しておいた金を渡して、領収書を貰うとお金を半分返して貰った。
「どうでした?あのドレス?」
「うん、妻は満足していた。これからも贔屓にさせて貰う」
「お願いしますよ」と担当者は言うと帰って行った。
金を机の秘密の引き出しにしまいながら、顔がにやついて仕方ない。
これからは業者はすべて入れ替える。黙っていても税金が入って来る。特権階級って言うのは凄いな。
給料をちまちま管理するのとは違う。領地経営なんて御大層な事をよくも言ってくれてたな。
簡単じゃないか!
義祖父が馬車で出かけた。また王城で老人仲間に会うのか?
毎日、楽しそうで羨ましい。
「テリウス様」とノックもなしもラーラが入って来た。可愛いのにも飽きたな。
「テリウス様、わたしお茶会を開きたいです。うんと豪華なお茶会!みんなを呼ぶの。きっと羨ましがります。可哀想だからお義姉様も呼んであげようと思います」
「いいよ、好きにしたらいい」
「ありがとうございます。やっぱりテリウス様と結婚して良かった」
「こちらこそですよ。ラーラ」
「ふふふ」
「そうだ。ラーラ、業者を入れ替えるからね」
「そうなんですか?」とラーラは反応しなかった。それで
「まぁ業者が変わってもやることは一緒だね」
「ですよね。さっそく。お菓子の試食で街に行きます。最高のお店を見つけます」
とラーラは部屋を出て行った。
◇◇◇
『ファムドレーヴ』『マメゾン』共に順調に走っている。
わたしは、アイデアを好きに言うだけだったが、それを見事に形にして貰った。
今日は、あのレモンパイの店に来ている。あの時、もしかしてと思った通りこの店もジークのお店だった。
わたしはこの店でも好きなことを言っている。
紅茶はそんなにいいものを出さないかわりに無料にしてお代わり自由にした。
そしてレモンパイに力を入れて、レモンの産地をメニューに入れた。
季節によって仕入れによって使う産地が変わる。そしてメニューに可愛い絵を入れた。
わたしは近隣の農家を訪ねてレモンを仕入れている。小麦は領主の許可がないと自由に売れないが、庭の果実は自由だ。本当はレモンを沢山栽培している所があればいいが、そんな所はない。
でも、ただのレモンでなく、サウスノバ領のダイナーさんのレモンとメニューに書いてあると三割は美味しく感じる。わたしは・・・
そして特別の考えをここでも入れた。自分専用のカップを預かる仕組みを作ったのだ。
華奢で可愛い棚を作ってもらってそこに預かったカップを並べたのだ。
カップは個人の持ち込みが割れたら大変なので、隣りのわたし個人経営の雑貨屋で買って貰う。
実は、ここの売り上げを伸ばすには?から始まった。
そのカップを借りている棚に入れて置いて、自分で棚から出してお茶を注いで飲む。
棚には借り手の名前が入っている。入っていてもここは平民向きのお店だから。お店だけど。ここに来るお嬢さんたちは、ニューリッシュが多い。
特別が好きだから、自分の名前を棚に入れたいのだ。
そして、自分の屋敷の庭で作ったレモンを持ち込んでレモンパイを作りそれをメニューに入れてくれと言い出した。
最初に聞いた時は・・・感動した。その手があったかって・・・
レモンは適切な値段で仕入れさせて貰いました。
そんなことをしながら、頭の隅にシスレー領への援助はこの方式で、出来るかなと考えていた。
レモンの収穫の季節が終わって、貯蔵したレモンのレモンパイに変わる頃、寒さがやって来た。
ここを任せられてしばらくした時、シスレー伯爵夫人になったラーラが訪ねて来た。
伯爵はテリウス様が継いだのだろう。ラーラは夫人となっていた。
お茶会にここのレモンパイを使いたいから、たくさん届けろと言って来た。
「それは無理ですね。足りないくらいなので」と答えると
騒ぎ出したので、屋敷に連絡して迎えに来て貰った。
「お茶会を邪魔するつもり?」と言い出して、面倒だった。時間を無駄にしてしまった。
やはりシスレー家は当てにしていた収穫が最低だったようで、お金に困っているそうだ。
だから言ったのに・・・とわたしがいくら思ってもだめだ。遅い。
そしてテリウス様が借りたお金は収穫の二年分だ。結婚式の払いがこれだけなのだろうか?
橋の修理なんかを予備費としていたのを使ったのだろう。
ジークは悪いようにしないと言っているが、事業は慈善ではない。
だが、わたしがここで気をもんでもお金は出てこない。
見ているだけしか出来ない。だが、領民を助けることはできないだろうか?
せめて冬が越せるように、食料と薪を援助出来ないだろうか?
ジークに頼めば聞いてくれるだろうが、わたしの力で援助したい。
わたしは考えた。
◇◇◇
王都の貴族をびっくりさせる披露宴が終わった。
すごいな伯爵家。蓄えでこんなことができるとは。本家はこれを独り占めしていたんだな・・・
朝食をゆっくり食べて執務室に入った。
代々の領主が使っていた家具は捨てて買い換えた。
真新しい家具に座って、運ばれてきた書類を見た。うん?請求書?あぁそうだな。当然回ってくるな。
次々に支払い書に署名したが、なんだこのワインの請求書は?追加分?酔っ払いどもが・・・たしか義祖父は手持ちで払うとか言ってなかったか?
その請求書は義祖父の所に回した。
ドレスの請求書はこれだな。すぐにこの『ベヲミ』の担当者を呼ぶよう言いつけた。
担当者はすぐにやって来た。用意しておいた金を渡して、領収書を貰うとお金を半分返して貰った。
「どうでした?あのドレス?」
「うん、妻は満足していた。これからも贔屓にさせて貰う」
「お願いしますよ」と担当者は言うと帰って行った。
金を机の秘密の引き出しにしまいながら、顔がにやついて仕方ない。
これからは業者はすべて入れ替える。黙っていても税金が入って来る。特権階級って言うのは凄いな。
給料をちまちま管理するのとは違う。領地経営なんて御大層な事をよくも言ってくれてたな。
簡単じゃないか!
義祖父が馬車で出かけた。また王城で老人仲間に会うのか?
毎日、楽しそうで羨ましい。
「テリウス様」とノックもなしもラーラが入って来た。可愛いのにも飽きたな。
「テリウス様、わたしお茶会を開きたいです。うんと豪華なお茶会!みんなを呼ぶの。きっと羨ましがります。可哀想だからお義姉様も呼んであげようと思います」
「いいよ、好きにしたらいい」
「ありがとうございます。やっぱりテリウス様と結婚して良かった」
「こちらこそですよ。ラーラ」
「ふふふ」
「そうだ。ラーラ、業者を入れ替えるからね」
「そうなんですか?」とラーラは反応しなかった。それで
「まぁ業者が変わってもやることは一緒だね」
「ですよね。さっそく。お菓子の試食で街に行きます。最高のお店を見つけます」
とラーラは部屋を出て行った。
◇◇◇
『ファムドレーヴ』『マメゾン』共に順調に走っている。
わたしは、アイデアを好きに言うだけだったが、それを見事に形にして貰った。
今日は、あのレモンパイの店に来ている。あの時、もしかしてと思った通りこの店もジークのお店だった。
わたしはこの店でも好きなことを言っている。
紅茶はそんなにいいものを出さないかわりに無料にしてお代わり自由にした。
そしてレモンパイに力を入れて、レモンの産地をメニューに入れた。
季節によって仕入れによって使う産地が変わる。そしてメニューに可愛い絵を入れた。
わたしは近隣の農家を訪ねてレモンを仕入れている。小麦は領主の許可がないと自由に売れないが、庭の果実は自由だ。本当はレモンを沢山栽培している所があればいいが、そんな所はない。
でも、ただのレモンでなく、サウスノバ領のダイナーさんのレモンとメニューに書いてあると三割は美味しく感じる。わたしは・・・
そして特別の考えをここでも入れた。自分専用のカップを預かる仕組みを作ったのだ。
華奢で可愛い棚を作ってもらってそこに預かったカップを並べたのだ。
カップは個人の持ち込みが割れたら大変なので、隣りのわたし個人経営の雑貨屋で買って貰う。
実は、ここの売り上げを伸ばすには?から始まった。
そのカップを借りている棚に入れて置いて、自分で棚から出してお茶を注いで飲む。
棚には借り手の名前が入っている。入っていてもここは平民向きのお店だから。お店だけど。ここに来るお嬢さんたちは、ニューリッシュが多い。
特別が好きだから、自分の名前を棚に入れたいのだ。
そして、自分の屋敷の庭で作ったレモンを持ち込んでレモンパイを作りそれをメニューに入れてくれと言い出した。
最初に聞いた時は・・・感動した。その手があったかって・・・
レモンは適切な値段で仕入れさせて貰いました。
そんなことをしながら、頭の隅にシスレー領への援助はこの方式で、出来るかなと考えていた。
レモンの収穫の季節が終わって、貯蔵したレモンのレモンパイに変わる頃、寒さがやって来た。
ここを任せられてしばらくした時、シスレー伯爵夫人になったラーラが訪ねて来た。
伯爵はテリウス様が継いだのだろう。ラーラは夫人となっていた。
お茶会にここのレモンパイを使いたいから、たくさん届けろと言って来た。
「それは無理ですね。足りないくらいなので」と答えると
騒ぎ出したので、屋敷に連絡して迎えに来て貰った。
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