4 / 48
04 原稿
一回目です
原稿は、侍女がロザモンドの紋章が記された紙に清書した。
その時、エリザベートが無意識に署名した名前の通りに書き写したらしい。そしてロザモンドもそれをそのまま読んだようだ。
エリザベートと・・・・・
客は一瞬、ざわめいたが礼儀正しく黙っていたし表立ってうわさになることはなかった。しかし静かに確実に広まって行った。
そして式から一年程のある日、王太子殿下が、エリザベートの部屋にやって来た。
「おまえはそんなにロザモンドが憎いのか・・・・式を欠席したお詫びに原稿を書きたいと、願ったおまえに絆されたロザモンドが原稿を書く事を許したのをいい事に、ロザモンドが間違えるようにわざと自分の名前を署名した原稿を渡したそうだな?」
「わたくしの署名?原稿?どの原稿?いつの?」
「とぼけるな!おまえの魂胆はわかっている」
「いいか。お前はお飾り。お前は執務の為に娶った。せめて役に立て」そういうと、机の上のペンやインク壺や書類を払い落とすと部屋を出て行った。
そばにいた侍従は始終にやにやと笑いながらエリザベートを見ていた。
エリザベートはのろのろと書類を拾った。ペンは壊れている。インクも全部こぼれた。
彼女は文官の事務所に行くとペンとインク壺を貰った。部屋を出るとき笑い声が部屋に広がって行った。
あなたたちの仕事もわたくしに、まわしているくせに・・・・とエリザベートは思った。
第二妃への予算をゼロに訂正してから書類に署名したのは、我ながら馬鹿だったと思いながら部屋に戻った。
予算があればインクもペンも買えたのに・・・・いじましい事とエリザベートは自分で可笑しかった。
部屋に戻るときケイトとすれ違ったが、見向きもしないで通りすぎて行った。
インクで汚れた書類を再度貰う為に各所に頭を下げに行っていたら、夜も更けていた。
暖房もない部屋は寒いが、どうにか終わらせた。明日各所に持って行けばいいなと書類をまとめている時に
ロザモンドの侍女が明日の会の為のスピーチを書くように言って来た。
「これ書いて下さい」
「なにを書くの?」
「原稿ですよ」
「なんの原稿?」
「それくらいわからないんですか?もう、いやだ」
「どこで読むの?」
「だからお茶会よ」
「お客様はどこの方」
「もう、さっさと書いてよ」
「じゃあもう時間だから・・・」
ドアを叩きつけて出て行った。
部屋が揺れたし、視界も揺れたわ。多分貿易交渉のお相手ね。あの子を出すとうまく行くものも、うまくいかなくなりそうだけど・・・・詫び状を書くのも慣れてきたし・・・・
訪問に感謝と今後の友好でいいか。
侍従は今日も暖炉に火を入れなかった。
「あなた一人だけにはもったいないですよね。早く仕事が終わっていれば問題ないですね」と帰って行った。
急に冷えてきた室内。手に息を吹きかける。凍えて体が動かなくなって来た。
やっと書き終えた。
床の絨毯のインクの染みが見える。それにダブって子供の頃の情景が浮かんだ。フレデリックとギルバードとわたくしが三人で話している・・・・あそこまで行こうねぇ・・・・
もう、疲れた。これで終わり・・・・それでいい・・・・しまった。また自分の名前を署名した・・・
原稿は、侍女がロザモンドの紋章が記された紙に清書した。
その時、エリザベートが無意識に署名した名前の通りに書き写したらしい。そしてロザモンドもそれをそのまま読んだようだ。
エリザベートと・・・・・
客は一瞬、ざわめいたが礼儀正しく黙っていたし表立ってうわさになることはなかった。しかし静かに確実に広まって行った。
そして式から一年程のある日、王太子殿下が、エリザベートの部屋にやって来た。
「おまえはそんなにロザモンドが憎いのか・・・・式を欠席したお詫びに原稿を書きたいと、願ったおまえに絆されたロザモンドが原稿を書く事を許したのをいい事に、ロザモンドが間違えるようにわざと自分の名前を署名した原稿を渡したそうだな?」
「わたくしの署名?原稿?どの原稿?いつの?」
「とぼけるな!おまえの魂胆はわかっている」
「いいか。お前はお飾り。お前は執務の為に娶った。せめて役に立て」そういうと、机の上のペンやインク壺や書類を払い落とすと部屋を出て行った。
そばにいた侍従は始終にやにやと笑いながらエリザベートを見ていた。
エリザベートはのろのろと書類を拾った。ペンは壊れている。インクも全部こぼれた。
彼女は文官の事務所に行くとペンとインク壺を貰った。部屋を出るとき笑い声が部屋に広がって行った。
あなたたちの仕事もわたくしに、まわしているくせに・・・・とエリザベートは思った。
第二妃への予算をゼロに訂正してから書類に署名したのは、我ながら馬鹿だったと思いながら部屋に戻った。
予算があればインクもペンも買えたのに・・・・いじましい事とエリザベートは自分で可笑しかった。
部屋に戻るときケイトとすれ違ったが、見向きもしないで通りすぎて行った。
インクで汚れた書類を再度貰う為に各所に頭を下げに行っていたら、夜も更けていた。
暖房もない部屋は寒いが、どうにか終わらせた。明日各所に持って行けばいいなと書類をまとめている時に
ロザモンドの侍女が明日の会の為のスピーチを書くように言って来た。
「これ書いて下さい」
「なにを書くの?」
「原稿ですよ」
「なんの原稿?」
「それくらいわからないんですか?もう、いやだ」
「どこで読むの?」
「だからお茶会よ」
「お客様はどこの方」
「もう、さっさと書いてよ」
「じゃあもう時間だから・・・」
ドアを叩きつけて出て行った。
部屋が揺れたし、視界も揺れたわ。多分貿易交渉のお相手ね。あの子を出すとうまく行くものも、うまくいかなくなりそうだけど・・・・詫び状を書くのも慣れてきたし・・・・
訪問に感謝と今後の友好でいいか。
侍従は今日も暖炉に火を入れなかった。
「あなた一人だけにはもったいないですよね。早く仕事が終わっていれば問題ないですね」と帰って行った。
急に冷えてきた室内。手に息を吹きかける。凍えて体が動かなくなって来た。
やっと書き終えた。
床の絨毯のインクの染みが見える。それにダブって子供の頃の情景が浮かんだ。フレデリックとギルバードとわたくしが三人で話している・・・・あそこまで行こうねぇ・・・・
もう、疲れた。これで終わり・・・・それでいい・・・・しまった。また自分の名前を署名した・・・
あなたにおすすめの小説
【完結】私は側妃ですか? だったら婚約破棄します
hikari
恋愛
レガローグ王国の王太子、アンドリューに突如として「側妃にする」と言われたキャサリン。一緒にいたのはアトキンス男爵令嬢のイザベラだった。
キャサリンは婚約破棄を告げ、護衛のエドワードと侍女のエスターと共に実家へと帰る。そして、魔法使いに弟子入りする。
その後、モナール帝国がレガローグに侵攻する話が上がる。実はエドワードはモナール帝国のスパイだった。後に、エドワードはモナール帝国の第一皇子ヴァレンティンを紹介する。
※ざまあの回には★がついています。
妹に一度殺された。明日結婚するはずの死に戻り公爵令嬢は、もう二度と死にたくない。
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
恋愛
婚約者アルフレッドとの結婚を明日に控えた、公爵令嬢のバレッタ。
しかしその夜、無惨にも殺害されてしまう。
それを指示したのは、妹であるエライザであった。
姉が幸せになることを憎んだのだ。
容姿が整っていることから皆や父に気に入られてきた妹と、
顔が醜いことから蔑まされてきた自分。
やっとそのしがらみから逃れられる、そう思った矢先の突然の死だった。
しかし、バレッタは甦る。死に戻りにより、殺される数時間前へと時間を遡ったのだ。
幸せな結婚式を迎えるため、己のこれまでを精算するため、バレッタは妹、協力者である父を捕まえ処罰するべく動き出す。
もう二度と死なない。
そう、心に決めて。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
愚か者が自滅するのを、近くで見ていただけですから
越智屋ノマ
恋愛
宮中舞踏会の最中、侯爵令嬢ルクレツィアは王太子グレゴリオから一方的に婚約破棄を宣告される。新たな婚約者は、平民出身で才女と名高い女官ピア・スミス。
新たな時代の象徴を気取る王太子夫妻の華やかな振る舞いは、やがて国中の不満を集め、王家は静かに綻び始めていく。
一方、表舞台から退いたはずのルクレツィアは、親友である王女アリアンヌと再会する。――崩れゆく王家を前に、それぞれの役割を選び取った『親友』たちの結末は?
ジェリー・ベケットは愛を信じられない
砂臥 環
恋愛
ベケット子爵家の娘ジェリーは、父が再婚してから離れに追いやられた。
母をとても愛し大切にしていた父の裏切りを知り、ジェリーは愛を信じられなくなっていた。
それを察し、まだ子供ながらに『君を守る』と誓い、『信じてほしい』と様々な努力してくれた婚約者モーガンも、学園に入ると段々とジェリーを避けらるようになっていく。
しかも、義妹マドリンが入学すると彼女と仲良くするようになってしまった。
だが、一番辛い時に支え、努力してくれる彼を信じようと決めたジェリーは、なにも言えず、なにも聞けずにいた。
学園でジェリーは優秀だったが『氷の姫君』というふたつ名を付けられる程、他人と一線を引いており、誰にも悩みは吐露できなかった。
そんな時、仕事上のパートナーを探す男子生徒、ウォーレンと親しくなる。
※世界観はゆるゆる
※ざまぁはちょっぴり
※他サイトにも掲載
なにをおっしゃいますやら
基本二度寝
恋愛
本日、五年通った学び舎を卒業する。
エリクシア侯爵令嬢は、己をエスコートする男を見上げた。
微笑んで見せれば、男は目線を逸らす。
エブリシアは苦笑した。
今日までなのだから。
今日、エブリシアは婚約解消する事が決まっているのだから。
公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路
八代奏多
恋愛
公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。
王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……
……そんなこと、絶対にさせませんわよ?
愛を騙るな
篠月珪霞
恋愛
「王妃よ、そなた一体何が不満だというのだ」
「………」
「贅を尽くした食事、ドレス、宝石、アクセサリー、部屋の調度も最高品質のもの。王妃という地位も用意した。およそ世の女性が望むものすべてを手に入れているというのに、何が不満だというのだ!」
王妃は表情を変えない。何を言っても宥めてもすかしても脅しても変わらない王妃に、苛立った王は声を荒げる。
「何とか言わぬか! 不敬だぞ!」
「……でしたら、牢に入れるなり、処罰するなりお好きに」
「い、いや、それはできぬ」
「何故? 陛下の望むままなさればよろしい」
「余は、そなたを愛しているのだ。愛するものにそのような仕打ち、到底考えられぬ」
途端、王妃の嘲る笑い声が響く。
「畜生にも劣る陛下が、愛を騙るなどおこがましいですわね」