35 / 48
30 セントクレア侯爵夫人
王妃の演劇熱は冷めないが、「あの有名」が脚本を書いてくれないので、小説のセリフの部分を演技を入れながら朗読するようになった。
フリージアはエリザベートの部屋つきになり、朗読の専門家に教えて貰い始めた。
もちろん、王妃の朗読会では相手役で、その他の役は、王妃の友人が交代で努めてなかなか楽しいものになっているとエリザベートは聞いた。
ある日、前侯爵夫人のキルメニィがロザモンドの所へ訪ねて来た。ドアを入るなり
「ロザモンド、聞いてあの女が無礼なのよ」
「お母様(愚かな小夜啼鳥は時間かまわず、泣き喚く)ですわね」とロザモンドが言うと
「なに?それはなんて言ってるの?」とキルメニィが言うと
「古代ギリー語ですわ。台本を送りましたでしょ?一度も練習に来ませんでしたね」
「そんなもの知らなくても困らないわ」とキルメニィが言うと
「困るのよ。あなたと違ってね」とロザモンドは冷たく言うと続けて
「お姉様みたいに勉強してたらわたしだってもっと・・・・でもあなたは、ずっと邪魔してた。家庭教師もすぐに首にして・・・・」
「それは、あなたが勉強を嫌がって・・・・」
「嫌がったのはお母様でしょ。もう帰って!下らないおしゃべりにつきあう暇はないのよ。王太子妃は忙しいの」
それを聞いたガーベラは
「こちらへ」と言うとそっとキルメニィの腕をとって連れ出した。
「え?ロザモンド。どうしたの?母親を追い出すなんて」と言ったが、ガーベラは取り合わず、そのまま馬車乗り場まで送った。
「前侯爵夫人、いらっしゃるときは前もって連絡をお願いします」
「わたしは母親よ」
「もちろんでございますが、お母様がそのような態度では妃殿下があなどられます。お気をつけ下さい」
それから、後ろからおろおろして付いて来ていた、夫人の付き添いの侍女に
「今の注意聞こえていたでしょ。今の侯爵夫人はよくわきまえてらっしゃると方だけど、失礼にならない程度に報告させて貰うわ。侯爵夫人を咎めるものじゃないから、よろしく伝えてね」と言うと帰っていった。
侍女の忠誠はキルメニィからカザリンへ移った。
カザリンは子爵家の次女として生まれた。物心ついた時すでに、自分の容貌に劣等感を持っていた。
姉と妹が目立って美しかったのだ。姉も妹も早くから上位貴族と婚約して、家に婚約者が迎えに来るのを見て、贈り物を貰うのを羨ましく見ていた。婚約者は二人ともカザリンに親切でカザリンにも贈り物をくれたりしたが、いやしい事を言えば二人の物より数段落ちる品物だった。
そんなカザリンだったが、姉の婚約者の自宅のパーティに招待された時、ライリーと知り合った。
ライリーは侯爵家の遠縁の男爵家の三男で、城の文官として働いていて、贅沢をしなければ暮らしていける。上を見ればキリがないが・・・・・・自分に似合いの縁だと思いプロポーズにうなづいた。
カザリンは近くの商店で働き、若い二人はそれなりに楽しく暮らした。
そこに侯爵家を継がないかと、打診があった。信じられなかった。侯爵はライリーとカザリンの真面目な生活ぶりが気に入ったようだった。
カザリンは侯爵が求めるものをすぐに察して、その通りに振舞った。気立て良く、面倒見がよく、上位貴族としても
やっていけるよう努力する・・・・・カザリンは上位貴族としてやって行く気は充分ある。
姉と妹の位置に自分も上がる。
義母の面倒を見る気があるのを、しっかり示す為に積極的に義母に、教えを乞うた。そして違和感を持った。侯爵夫人は下位貴族としか付き合っていない。娘は二人共、王太子妃なのにどうして?
自分の姉と妹とは、積極的に交流した。
やがて、侯爵は家を出て行った。義母のお茶会は、社交界の下っ端が集まって下らないおしゃべりをしているだけだ。
カザリンは、義母のお茶会の開催を断った。これからは自分、カザリンがこの侯爵家の家格をあげるべく社交をやって行くとのだ。
すると義母はロザモンド妃殿下に、泣きついた。しかし妃殿下は義母をたしなめて、すぐに送り返してきた。
その後、ガーベラから丁寧な手紙が来たが、内容はキルメニィをのさばらせるなといったものだった。
カザリンは、ほんとよねと呟きならが手紙を処分した。
前侯爵夫人。キルメニィは、静かに暮らして下さいと屋敷で一番、居心地のいい部屋で、ロザモンドへの恨みの念を、ぶつぶつ呟いたり、エリザベートなら、助けてくれよね。そんな事を侍女を相手に話し続ける日を送るようになった。
一方エリザベートはカザリンを何度か王宮に招待した。エリザベートはなにも言わないが、カザリンとセントクレア侯爵家は、貴族の間で力を持ち始めた。
フリージアはエリザベートの部屋つきになり、朗読の専門家に教えて貰い始めた。
もちろん、王妃の朗読会では相手役で、その他の役は、王妃の友人が交代で努めてなかなか楽しいものになっているとエリザベートは聞いた。
ある日、前侯爵夫人のキルメニィがロザモンドの所へ訪ねて来た。ドアを入るなり
「ロザモンド、聞いてあの女が無礼なのよ」
「お母様(愚かな小夜啼鳥は時間かまわず、泣き喚く)ですわね」とロザモンドが言うと
「なに?それはなんて言ってるの?」とキルメニィが言うと
「古代ギリー語ですわ。台本を送りましたでしょ?一度も練習に来ませんでしたね」
「そんなもの知らなくても困らないわ」とキルメニィが言うと
「困るのよ。あなたと違ってね」とロザモンドは冷たく言うと続けて
「お姉様みたいに勉強してたらわたしだってもっと・・・・でもあなたは、ずっと邪魔してた。家庭教師もすぐに首にして・・・・」
「それは、あなたが勉強を嫌がって・・・・」
「嫌がったのはお母様でしょ。もう帰って!下らないおしゃべりにつきあう暇はないのよ。王太子妃は忙しいの」
それを聞いたガーベラは
「こちらへ」と言うとそっとキルメニィの腕をとって連れ出した。
「え?ロザモンド。どうしたの?母親を追い出すなんて」と言ったが、ガーベラは取り合わず、そのまま馬車乗り場まで送った。
「前侯爵夫人、いらっしゃるときは前もって連絡をお願いします」
「わたしは母親よ」
「もちろんでございますが、お母様がそのような態度では妃殿下があなどられます。お気をつけ下さい」
それから、後ろからおろおろして付いて来ていた、夫人の付き添いの侍女に
「今の注意聞こえていたでしょ。今の侯爵夫人はよくわきまえてらっしゃると方だけど、失礼にならない程度に報告させて貰うわ。侯爵夫人を咎めるものじゃないから、よろしく伝えてね」と言うと帰っていった。
侍女の忠誠はキルメニィからカザリンへ移った。
カザリンは子爵家の次女として生まれた。物心ついた時すでに、自分の容貌に劣等感を持っていた。
姉と妹が目立って美しかったのだ。姉も妹も早くから上位貴族と婚約して、家に婚約者が迎えに来るのを見て、贈り物を貰うのを羨ましく見ていた。婚約者は二人ともカザリンに親切でカザリンにも贈り物をくれたりしたが、いやしい事を言えば二人の物より数段落ちる品物だった。
そんなカザリンだったが、姉の婚約者の自宅のパーティに招待された時、ライリーと知り合った。
ライリーは侯爵家の遠縁の男爵家の三男で、城の文官として働いていて、贅沢をしなければ暮らしていける。上を見ればキリがないが・・・・・・自分に似合いの縁だと思いプロポーズにうなづいた。
カザリンは近くの商店で働き、若い二人はそれなりに楽しく暮らした。
そこに侯爵家を継がないかと、打診があった。信じられなかった。侯爵はライリーとカザリンの真面目な生活ぶりが気に入ったようだった。
カザリンは侯爵が求めるものをすぐに察して、その通りに振舞った。気立て良く、面倒見がよく、上位貴族としても
やっていけるよう努力する・・・・・カザリンは上位貴族としてやって行く気は充分ある。
姉と妹の位置に自分も上がる。
義母の面倒を見る気があるのを、しっかり示す為に積極的に義母に、教えを乞うた。そして違和感を持った。侯爵夫人は下位貴族としか付き合っていない。娘は二人共、王太子妃なのにどうして?
自分の姉と妹とは、積極的に交流した。
やがて、侯爵は家を出て行った。義母のお茶会は、社交界の下っ端が集まって下らないおしゃべりをしているだけだ。
カザリンは、義母のお茶会の開催を断った。これからは自分、カザリンがこの侯爵家の家格をあげるべく社交をやって行くとのだ。
すると義母はロザモンド妃殿下に、泣きついた。しかし妃殿下は義母をたしなめて、すぐに送り返してきた。
その後、ガーベラから丁寧な手紙が来たが、内容はキルメニィをのさばらせるなといったものだった。
カザリンは、ほんとよねと呟きならが手紙を処分した。
前侯爵夫人。キルメニィは、静かに暮らして下さいと屋敷で一番、居心地のいい部屋で、ロザモンドへの恨みの念を、ぶつぶつ呟いたり、エリザベートなら、助けてくれよね。そんな事を侍女を相手に話し続ける日を送るようになった。
一方エリザベートはカザリンを何度か王宮に招待した。エリザベートはなにも言わないが、カザリンとセントクレア侯爵家は、貴族の間で力を持ち始めた。
あなたにおすすめの小説
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
【完結済み】婚約破棄したのはあなたでしょう
水垣するめ
恋愛
公爵令嬢のマリア・クレイヤは第一王子のマティス・ジェレミーと婚約していた。
しかしある日マティスは「真実の愛に目覚めた」と一方的にマリアとの婚約を破棄した。
マティスの新しい婚約者は庶民の娘のアンリエットだった。
マティスは最初こそ上機嫌だったが、段々とアンリエットは顔こそ良いが、頭は悪くなんの取り柄もないことに気づいていく。
そしてアンリエットに辟易したマティスはマリアとの婚約を結び直そうとする。
しかしマリアは第二王子のロマン・ジェレミーと新しく婚約を結び直していた。
怒り狂ったマティスはマリアに罵詈雑言を投げかける。
そんなマティスに怒ったロマンは国王からの書状を叩きつける。
そこに書かれていた内容にマティスは顔を青ざめさせ……
今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
「婚約破棄だ」と笑った元婚約者、今さら跪いても遅いですわ
ゆっこ
恋愛
その日、私は王宮の大広間で、堂々たる声で婚約破棄を宣言された。
「リディア=フォルステイル。お前との婚約は――今日をもって破棄する!」
声の主は、よりにもよって私の婚約者であるはずの王太子・エルネスト。
いつもは威厳ある声音の彼が、今日に限って妙に勝ち誇った笑みを浮かべている。
けれど――。
(……ふふ。そう来ましたのね)
私は笑みすら浮かべず、王太子をただ静かに見つめ返した。
大広間の視線が一斉に私へと向けられる。
王族、貴族、外交客……さまざまな人々が、まるで処刑でも始まるかのように期待の眼差しを向けている。
王家の面子のために私を振り回さないで下さい。
しゃーりん
恋愛
公爵令嬢ユリアナは王太子ルカリオに婚約破棄を言い渡されたが、王家によってその出来事はなかったことになり、結婚することになった。
愛する人と別れて王太子の婚約者にさせられたのに本人からは避けされ、それでも結婚させられる。
自分はどこまで王家に振り回されるのだろう。
国王にもルカリオにも呆れ果てたユリアナは、夫となるルカリオを蹴落として、自分が王太女になるために仕掛けた。
実は、ルカリオは王家の血筋ではなくユリアナの公爵家に正統性があるからである。
ユリアナとの結婚を理解していないルカリオを見限り、愛する人との結婚を企んだお話です。
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
*らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。