黙ってすっこんどいたら良かったのに

朝山みどり

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15 もういいと言いましたね

 翌日も倉庫整理を命じられて、カオリは倉庫に行って続きをやった。すると部長が呼びに来た。

「・・・ほんとに・・・なんてことをすぐに来い」と言いながら怒りのせいか、どたどたよたよた走る部長をうっかり追い越さないように注意して、カオリは机に戻りそこに載せてあるゴミを捨てようとしたが、

「いいから、こっちに来い」と部長に怒鳴られて部長の席に座ってパソコンを見た。

 カオリは会社のWEBページに自分を見た。

 正確には自分とヤマモトさんを見た。大きく載っていた。素早く

「まずいですね・・・・これ・・・取り敢えず消さないと・・・ヤマモトさんに連絡しないと・・・アップしたのって社内」続きを言う前に

「○春とかするからだろ!」

「わたしがですか?ってかこれは社内から」とカオリが言うのを遮って

「机で反省文を書け・・・」と部長が強く言った。

「それより、消してもらわないと。すぐにヤマモトさんに連絡」とカオリが言いかけるのを、

「そんな相手に連絡なんてやめろ」と部長はカオリが最後まで話せないように邪魔すると部屋全体に聞こえるように

「こちらのカオリさんは不適切な副業をやっています。それで会社に損害を与えました。反省文を書いて貰います」

「これをアップしたスマホは特定できます・・・すぐに・・・・それにヤマモトさんに」

「ヤマモトなんか関係ない」と部長が言うと、

「そうですよ。関係ありません。この男ですか?ヤマモトって」とナガヤマ課長まで出てきた。

「もういい、席に戻れ!この・・・暴力奮って、泥棒して○春とか・・・」と部長の言葉でカオリは吹っ切れた。

「もういい。ほんとだ。もういい」

 カオリは自分の気持ちの変化が面白かった。予測では泣いてアサトに連絡するところだったが、現場で観察できる機会を逃してなるかって気持ちだった。

 あの写真をWEBページにあげたスマホは社内にある、すぐに特定できるのにそれをあの部長は阻止した。
 ナガヤマ課長はヤマモトさんの顔を知らないと言った。あれだけ苦労した取引の相手なのに。
 
 取引金額の25%。それがわたしのボーナスになるはずだったに、それを横取りした。ナガヤマ課長だけでなく、部長もコバヤシ氏も入れて分けるのだと思っている。多分、この読みは正解。
 大きい取引だったから25%は大きい金額だ。訂正してくれれば社内で内々で処理してあげようと思っていたけど、もういいわ。大事おおごとに、してやる。
 カオリは内心で呟くと、自分の席に戻った。ゴミを捨てて椅子に座った。

 時々スマホで(マクサ)で検索した。どんどんカオリとヤマモトさんが拡散して行く。


 部長が席から大声でカオリに
「書いてるか?」と怒鳴った。
「書いてます」と答えるとカオリはチョコレートを口にいれた。


 お昼過ぎにWEBページにやっと「攻撃を受けてます。この画面は当社に関係ありません」と表示された。

 カオリは個室からこっそりヤマモトさんに連絡した。カオリの電話に喜んだヤマモトさんは、言ってる意味がわからないようで、孫に代わった。

 孫は説明を聞くとあーーあの人・・・写メで自慢されまくりとか言いながら検索したらしく、
「これは冥土の土産に持たせます。これからうちの爺様は目にノリ貼り付けて歩かせます。えっとこちらではなんの問題もないです。むしろ自慢です。この騒動が落ち着いたら遊びに来て下さい」と言われて通話を終えた。

 『会社のWEBページを乗っ取られた事は恥ずかしいことではあるが、情報が流出したわけではないので、大きな損害になったわけではない。
 ヤマモトさんも問題にしていないし・・・・ただ、わたしとヤマモトさんの写真をアップしたのが社内からというのが・・・・
 盗撮するような社員がいるのは・・・・・社外にばれなければ問題ないが・・・・これってばらすタイミングみてるよね・・・・

 今のうちに問題が起こったことで世間に頭下げといた方がいいのに・・・


 関係ないけどね』


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