こんな形の破局

朝山みどり

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エリサのその後

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ここに来て2回目の春がそろそろ終わる。
リカルドの迎えを待っている。結婚前に使用人と引き合わせたいと言うことで屋敷に案内される所だ。
送られたドレスを着て緊張してなんども深呼吸している。

エドワードのようにきらめく愛情をぶつける人じゃないが、しっとりとやさしい愛情で包んでくれる人だ。

エドワードの愛情はガラスのようにきらめいていたけど、だからちょっとしたことでひびが入ってしまった。ひびをそのままにしたから割れてしまったんだろう。

マギー、あの女。最後に殴りつければよかった。ううん最初に殴りつけて追い出せばよかったのだ。

思い出すと今でもこぶしに力がはいる。うちに来て最初にお茶を出した時、わたしとエドはおそろいのマグカップ。マギーはお客様用の茶碗で給仕しようとしたら、マグカップが綺麗だからそっちがいいと言ったのだ。これはわたしの物だからと断ったらそれぐらいいいでしょ。意地悪しないでと強引にマグカップを使って・・・・あの時もっと・・・


わたしも意地になってそれ以来全員に客用の茶碗を使うようにしたけど、わたしに引き売りの焼き栗を買いにいかせている間にマグカップを使って2人でお茶を飲んでた。

客間を占領してベッドメイクは勿論、掃除までわたしにやらせて・・・・今思えばベッドのなかにカエルくらい入れてやればよかったんだ。

わたしたちの寝室に勝手にはいってわたしのドレスやアクセサリーを勝手に使ったり、エドに話してもそれのどこがいけないのかわからないようだった。

エドの同僚たちの『新婚さんの邪魔をする集い』なんてもので皆さんが遊びに来た時も・・・・・皆さんが遊びに来ることは、いやじゃなかったのよ・・・・むしろ歓迎。結婚式のお礼も言いたかったかったし、エドをよろしくって言いたかったし・・・奥さんらしいことしたかったし・・・

だからご馳走を作って張り切って皆さんをお迎えしたのに。

マギーが女主人はわたしとばかりに振舞ってわたしは女中のようだった。

「あそこにおつまみが足りてないみたい」
「お皿をだして」
「わたしがいてよかった。姉さん、気が利かないから、手がまわらなかった」

皆さんが帰った後、エドはマギーだけに
「お疲れ様」と言ってた。
2人は今日のことを楽しそうに話すのを聞きながらひとりで片付けをした。お皿を床に投げつければよかった。

ほんと濡れた汚れた水のはいった洗い桶を投げつけたらよかったのよ。2人に・・・・

その夜わたしはひとりで寝室で、声を殺して泣いた・・・・ほんと馬鹿だった。泣くんじゃくて戦うべきだった。

思い出したら次から次だわね。マギーの友人2人が訪ねて来た時とか、そういえばあの2人婚約者とうまく行かなくなったと聞いたけど、いい気味としか思えない。

いろいろあったけど我慢すればいいって考えはよくないと学べたことは確かね。

我慢しなかったから、リカルドと知り合えたし・・・・前のわたしだったらなにも言えなかったはずだし。

あれは子供たちを連れてピクニックに行った時、湖の浅瀬で子供たちが遊ぶのをわたしとシスターはお昼の準備をしながら見ていた、せっかく見つけた具合のよい木陰を明け渡せと言われて・・・シスターはこわがって言うとおりにしようとしたけど、わたしはなにくそ、負けるもんかと思ってしまって、断ったんだ。だって子供が暑さで倒れたらたいへんだから・・・


いくらこちらに非がなくても貴族に逆らうなんてね・・・・


相手が大声を出してわたしの腰にしがみついた子供たちが泣いたとき、リカルドがやって来て従者をなだめて、わたしたちに侘びをいれると去って行った・・・・

しばらくしたらあの従者がどうぞってお菓子のはいった籠を持って来て・・・・子供たちが喜んでって言うのが始まりで・・・・

リカルドが教会に訪ねてきて、寄付をしてくれるようになって、ピクニックやバザーに顔をだしてくれて、そしてある日が真っ赤な顔でわたしに気持ちを打ち明けてくれて、わたしはすごくうれしかった。

そして今までの事を全部打ち明けた。そしたら「そんなの含めて好きなんだ」と笑ってぎゅっと抱きしめられた。

考えてみたら、そんなの全部調査済みよね。

リカルドの助言でエドに手紙を書いた。あれ以来最初で最後の手紙だ。

ずっと心配してもらってありがたく思っていること、お金も受け取っていること。だけどもう大丈夫だからエドも自分の幸せを見つけて欲しいって書いた。


あの団長さんに託して送ってもらうことができた。ちょうどお金が届いたらしいけどそれは手紙と一緒に送り返すようお願いした。


馬車の音がした、今日はいつものように走って出迎えずにお部屋でじっと待つ。

ほらノックの音が・・・・リカルドの腕に飛び込んだ。





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