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第67話 皇帝に挨拶
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一度挨拶に来るようにと皇帝から、連絡が来てわたくしとアレクはクレールスター皇国へ行くことになった。
ラズベリーは
「今回はわたくしの言うことを聞いていただきます。いいですね」と言った。
この言葉の通りわたくしとアレクはなにも言わずにラズベリーの言うままに衣装を作った。
どっしりとした金色の生地。装身具は前に作って貰ったのを使った。
皇室や貴族と顔を合わせるものだと思っていたが、待っていたのは皇帝一人だった。
「挨拶はいい。アリスと呼ばせてくれ。アレクを幸せにしてくれてありがたい」
「皇帝陛下、そういうずるい態度は良くないですね」
「いやだよ。アリスには皇室を好きになって欲しいからね。可愛い弟」と皇帝陛下が言うと
「さすが、陛下でございます。皇帝にふさわしいおおらかさを装いながら、押し付けがましい」とアレクが言い返した。
「ひどいな、アリスをあまり見せたくないだろうと思って気を使ったのに」
「ありがとうございます」とアレクが真面目に答えた。
「でも、早かったな。もう少し時間がいると思った」
「スペリオルの方はまだ完了してないですね。王室がなくなっただけです。貴族にはなにもしてませんから、我慢できないやつらが王族担いで、内乱を起こすでしょう。最初の内乱を徹底的に叩けばその後はおとなしくなるかと・・・」とアレクが言うと
「流石だ。皇帝の器だ」と皇帝陛下が返したが
「ダメですよ。いやなら、大きい兄上にでも、上から順番でいいのでは?」とアレクが言うと
「あいつら、何度言っても断るし」
「わたしだっていやです。どさくさに紛れてバートとヘドラーをこっちに取り込んだくせに」
「いや、すまん。だが、返さんぞ。家族も呼んだし、新しい家族も作ったようだし」と陛下はわたくしを見て言った。
「二人が・・・お祝いを」と言うと、アレクは
「それはお祝いを用意しなくては・・・やはりビザンのものが喜ばれるでしょうね。アリスが選ばなくてはね」と言った。
「はぁーーー止められないか?まぁアリス。報告書はわたしも読んでいる。
そこで、君はアレクの夫人にして、クレールスター皇国の伯爵だ。
正式に外交官としても働いてくれ。アレクがあなたを支える。皇帝の弟だ。役に立つ」と陛下は言った。
「兄様、ありがとうございます」
「それとアリス。アレクを見つけてくれてありがとう。あなたと一緒でアレクは幸せになった。心配していたのだ。アレクの足りない部分をあなたが補っている」
「はい、そうおっしゃっていただけると、嬉しいです。わたくしこそアレク様と出会えて幸運でございました」
「アリス、皇帝陛下はお忙しい身だ。お暇しよう」
「冷たいなぁ、アレク」
陛下はそうおっしゃったが忙しいのは事実だ。
「では、兄上、しばらく国を離れます」
「あぁ、楽しんで来なさい。気をつけてな」と陛下は優しくおっしゃった。
それから、わたくしたちはビザンに向けて出発した。
閉ざされていたわたくしの世界はアレクに会って、広がった。
目の前の海のように、どこまでも続いている。遠くまで行けるんだ。
風が髪を乱す。アレクの足音が聞こえる。わたくしは振り向いて近づいて来るアレクに笑いかけた。
完結したしました。感想をよせていただいた方々、ありがとうございます。わかりにくい点は努力します。
次は典型的な予想のつくお話を書きたいと思いますが、考えてみれば予想のつくお話を読んでいただくって逆に難しい気がします。挑戦いたします。
ラズベリーは
「今回はわたくしの言うことを聞いていただきます。いいですね」と言った。
この言葉の通りわたくしとアレクはなにも言わずにラズベリーの言うままに衣装を作った。
どっしりとした金色の生地。装身具は前に作って貰ったのを使った。
皇室や貴族と顔を合わせるものだと思っていたが、待っていたのは皇帝一人だった。
「挨拶はいい。アリスと呼ばせてくれ。アレクを幸せにしてくれてありがたい」
「皇帝陛下、そういうずるい態度は良くないですね」
「いやだよ。アリスには皇室を好きになって欲しいからね。可愛い弟」と皇帝陛下が言うと
「さすが、陛下でございます。皇帝にふさわしいおおらかさを装いながら、押し付けがましい」とアレクが言い返した。
「ひどいな、アリスをあまり見せたくないだろうと思って気を使ったのに」
「ありがとうございます」とアレクが真面目に答えた。
「でも、早かったな。もう少し時間がいると思った」
「スペリオルの方はまだ完了してないですね。王室がなくなっただけです。貴族にはなにもしてませんから、我慢できないやつらが王族担いで、内乱を起こすでしょう。最初の内乱を徹底的に叩けばその後はおとなしくなるかと・・・」とアレクが言うと
「流石だ。皇帝の器だ」と皇帝陛下が返したが
「ダメですよ。いやなら、大きい兄上にでも、上から順番でいいのでは?」とアレクが言うと
「あいつら、何度言っても断るし」
「わたしだっていやです。どさくさに紛れてバートとヘドラーをこっちに取り込んだくせに」
「いや、すまん。だが、返さんぞ。家族も呼んだし、新しい家族も作ったようだし」と陛下はわたくしを見て言った。
「二人が・・・お祝いを」と言うと、アレクは
「それはお祝いを用意しなくては・・・やはりビザンのものが喜ばれるでしょうね。アリスが選ばなくてはね」と言った。
「はぁーーー止められないか?まぁアリス。報告書はわたしも読んでいる。
そこで、君はアレクの夫人にして、クレールスター皇国の伯爵だ。
正式に外交官としても働いてくれ。アレクがあなたを支える。皇帝の弟だ。役に立つ」と陛下は言った。
「兄様、ありがとうございます」
「それとアリス。アレクを見つけてくれてありがとう。あなたと一緒でアレクは幸せになった。心配していたのだ。アレクの足りない部分をあなたが補っている」
「はい、そうおっしゃっていただけると、嬉しいです。わたくしこそアレク様と出会えて幸運でございました」
「アリス、皇帝陛下はお忙しい身だ。お暇しよう」
「冷たいなぁ、アレク」
陛下はそうおっしゃったが忙しいのは事実だ。
「では、兄上、しばらく国を離れます」
「あぁ、楽しんで来なさい。気をつけてな」と陛下は優しくおっしゃった。
それから、わたくしたちはビザンに向けて出発した。
閉ざされていたわたくしの世界はアレクに会って、広がった。
目の前の海のように、どこまでも続いている。遠くまで行けるんだ。
風が髪を乱す。アレクの足音が聞こえる。わたくしは振り向いて近づいて来るアレクに笑いかけた。
完結したしました。感想をよせていただいた方々、ありがとうございます。わかりにくい点は努力します。
次は典型的な予想のつくお話を書きたいと思いますが、考えてみれば予想のつくお話を読んでいただくって逆に難しい気がします。挑戦いたします。
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