湖の町。そこにある学校

朝山みどり

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01 いつもの五人

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春休みもそろそろ終わる。だけどいつも通りの日だ。

いつも通り神社の裏山で集まり喋ったり歌ったりした。わたしたちは仲間五人でいつか、ここを出て都会で暮らしたいと思っている。

イケてる都会人は、地道に働いたりしない。歌と踊りで一発当てて、イケてる部屋に住んで、イケてることをいっぱいするのだ。

五人で話していると、簡単に実現しそうな気になる。テレビで見た人たちみたいに、分かれて歌うと、我ながら上手だと思う。

楽しい時間はすぐに終わり、帰る時間になった。みなで山を降りて歩いて行く。最初にさよなら言うのはヒバリだ。

次はカスミだ。

「キリコ、ミヨコんちでトイレ借りるといいわよ。前みたいになったら困るでしょ」と大きな声で言う。

いい加減にこの話題はやめて欲しい。幼稚園の時の話だよ。はっきりやめてって言えないわたしもわたしだけど・・・

つぎはレイナの家の前についた。

「じゃーね」の一言で家に入って行った。

わたしとミヨコは、家の二階に明かりが付くまでなんとなく、見てしまった。顔を見合わせてちょっと笑うと歩き出した。

「カスミってさ・・・自分の評価が高いね。なにを言ってもしても許されると思ってる」とミヨコがぽつりと言った。

うっかり「そうね」とか言わないほうがいい。それくらいの知恵は身についてる。

「ミヨコはそう思うんだ」とだけ言った。そしてわたしの家の庭に入った。体を捻って

「またね」と言った。もう少し先の門から入るのが正しいけど、早く別れたかったから、生垣の隙間から入った。


わたしたち五人は小さい時から、なんとなく一緒にいる。そうなんとなくだ。気が合うってわけじゃない。


一人でいるのはいやだ。五人でいるとまぁ学校内で一目おかれるし・・・カスミがいるからだけど。


家に戻るとママが夕食の支度をしていた。弟のマサトが手伝っていた。この子は姉のわたしから見てもお利口だ。


食後の皿洗いはわたしがやったが、そのあと、流しとコンロの掃除をマサトがやっていた。

見なかったことにした。


部屋でDVDを見ながら踊っていたら、マサトがやって来て学校の教室の照明を取り替えたいが予算がないと言い出した。

マサトは生徒会役員だから、予算の獲得とか知ってるのだ。なんでも市の予算の割り振りとかに首を突っ込んでるらしい・・・子供がそんな事をする?信じられない!大人にほら、議員とか市長とかにまかせておけばってことでしょ。

そう思いながらぼーーと聞いていたら、お金を稼ぐ方法を考えろと言っている・・・そりゃバイトだろ・・・


「なに言ってるの。個人でやって稼ぎを寄付もいいよ。いいけど、それは学校で生徒がやったって価値がつかないだろ・・・」

「そういうもん?」

「そうだよ・・・生徒が自主的にやれることをやったって事が大事なんだよ」

なんだ、こいつ政治家にでもなるのか?と思いながら、頼りになる弟に説教されたのだった。





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