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第一章 なにも奪わせない
01 面倒・・・その名はミザリー
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わたし、ミリアム・マクライドは庭のベンチで薄めたブランデーを飲んでいた。今日は庭仕事の日だからわたしは庭にいる。
ほぼ世を捨てているわたしは毎日の区別がつかない。それで、三食きちんと食べる日、とか片付けものの日とか、庭仕事の日を決めて生活している。一番好きなのは怠ける日だ。
小さい家は便利だ。門前に人が来たらすぐわかる。客でいいのか?訪問者なんて何年ぶりだろう・・・
応対のために剪定ばさみを置いてカイルが出て行った。戻ってきてこう言った。
「リア、ミザリーって知ってますか?」知ってる、よく知ってる。てかカイル新聞見たでしょ。
「入ってもらって。それからあの門開くかしら、随分長く開けてないけど・・・・魔石自動車を中に」
「問題ありません」のあとで「なんだくそいまいましい・・邪魔して」と呟いていた。
自動車から降りたミザリーが歩いて来る。雑草だらけの小道はかかとが高く華奢な靴に向いてない。
あれ?エスコートがいない・・・・エスコートなしのミザリーなんて・・・
「ミリアム、あなたミリアムよね・・・・なんだか変わった・・・変わってないから」
わたしは手で向かいの椅子を指すと
「あなたは本当に変わらないわね。十年ぶりかしら・・・・最新の服装を見るのも久しぶりだわ」
「あなたは相変わらず?昼間から飲むなんて・・・・」
「ほとんど飲まないわ・・・・追悼よ・・・・新聞で知ったの」
「知っていたのね・・・・教えてあげようと思って来たのよ・・・あなたの最愛の夫ですもの。それにわたしの夫でもあったし。彼を愛してそして、残された二人で語り合いたくて」
ミザリーあなたが彼を奪って使い捨てにしなければ彼は生きていたのよ
「そうね、彼は今頃、どんな顔をしているかしらね」
彼、サミエルは学院の先輩で優しい、控えめな人だった。わたしは自分で言うのもなんだけど、美人だし、裕福な伯爵家の一人娘で縁談は降るほどだった。
お母様とどれを選べばいいのかお茶をしながら、よく話し合った。
「大事なのはつりあいよ。愛情は後からいくらでも・・・・」とお母様は自信たっぷりに言ってたわね。
そしてお母様推薦のサミエルのエスコートで夜会に行って、ダンスして驚いた。
とても息が合ったのだ。しまいには彼の優しい鳶色の目を見ただけで腰が抜けそうになった。
これって体の相性がいいって事だった。初夜にそれがわかった。わたしは結婚してからずっとサミエルを求めた。サミエルはちょっと困りながらも優しく、激しくわたしが求めるままに抱いてくれた。
そしてサミエルの領地の鉱山に大発見があり、彼は一躍社交界の寵児になった。
そしてミザリーが彼を奪った。
ミザリー。絶世の美女。彼女は隣国の王族の血を引いている。母親の血筋の為に隣国では生活できずにこちらに来ているとうわさされているが、本当の所をわたしは知らない。
気まぐれで魅力的で可愛い。わたしは太刀打ちできなかった。
この国の王太子がエスコートしていた時期もあるし、公爵令息がぴったりとついていた時期も・・・・
そんな彼女がサミエルに目をつけたのだ。サインしてある離縁状と慰謝料がわたしに残された。
夜が辛かった。戻ってきたサミエルが、わたしにキスして体をまさぐる。それ以上すすまない彼をなじりすがりついているところで目が覚める。それを毎晩繰り返した。
抱いてくれる腕が欲しかった。
わたしは酒に溺れ、両親はわたしを施設にいれた。そしてわたしに、会いに来るときに事故に合い、二人は死んだ。
その後サミエルは一文無しになってミザリーに捨てられた。
わたしはどうにか立ち直り社交界にも時々顔を出すようになった。跡取りは必要だ。配偶者を探そうと思ったのだ。
それなりに美しくお金のあるわたしはお相手には恵まれた。だが、いざ婚約となったら、相手はことごとくミザリーに心奪われるのだ。
それはもう、おかしいくらいに・・・・ミザリーとわたしって男の好みが同じなのかとも、思った。
男を雇って子供を作ろうとまで思っていたある日、子供を拾った。
ほぼ世を捨てているわたしは毎日の区別がつかない。それで、三食きちんと食べる日、とか片付けものの日とか、庭仕事の日を決めて生活している。一番好きなのは怠ける日だ。
小さい家は便利だ。門前に人が来たらすぐわかる。客でいいのか?訪問者なんて何年ぶりだろう・・・
応対のために剪定ばさみを置いてカイルが出て行った。戻ってきてこう言った。
「リア、ミザリーって知ってますか?」知ってる、よく知ってる。てかカイル新聞見たでしょ。
「入ってもらって。それからあの門開くかしら、随分長く開けてないけど・・・・魔石自動車を中に」
「問題ありません」のあとで「なんだくそいまいましい・・邪魔して」と呟いていた。
自動車から降りたミザリーが歩いて来る。雑草だらけの小道はかかとが高く華奢な靴に向いてない。
あれ?エスコートがいない・・・・エスコートなしのミザリーなんて・・・
「ミリアム、あなたミリアムよね・・・・なんだか変わった・・・変わってないから」
わたしは手で向かいの椅子を指すと
「あなたは本当に変わらないわね。十年ぶりかしら・・・・最新の服装を見るのも久しぶりだわ」
「あなたは相変わらず?昼間から飲むなんて・・・・」
「ほとんど飲まないわ・・・・追悼よ・・・・新聞で知ったの」
「知っていたのね・・・・教えてあげようと思って来たのよ・・・あなたの最愛の夫ですもの。それにわたしの夫でもあったし。彼を愛してそして、残された二人で語り合いたくて」
ミザリーあなたが彼を奪って使い捨てにしなければ彼は生きていたのよ
「そうね、彼は今頃、どんな顔をしているかしらね」
彼、サミエルは学院の先輩で優しい、控えめな人だった。わたしは自分で言うのもなんだけど、美人だし、裕福な伯爵家の一人娘で縁談は降るほどだった。
お母様とどれを選べばいいのかお茶をしながら、よく話し合った。
「大事なのはつりあいよ。愛情は後からいくらでも・・・・」とお母様は自信たっぷりに言ってたわね。
そしてお母様推薦のサミエルのエスコートで夜会に行って、ダンスして驚いた。
とても息が合ったのだ。しまいには彼の優しい鳶色の目を見ただけで腰が抜けそうになった。
これって体の相性がいいって事だった。初夜にそれがわかった。わたしは結婚してからずっとサミエルを求めた。サミエルはちょっと困りながらも優しく、激しくわたしが求めるままに抱いてくれた。
そしてサミエルの領地の鉱山に大発見があり、彼は一躍社交界の寵児になった。
そしてミザリーが彼を奪った。
ミザリー。絶世の美女。彼女は隣国の王族の血を引いている。母親の血筋の為に隣国では生活できずにこちらに来ているとうわさされているが、本当の所をわたしは知らない。
気まぐれで魅力的で可愛い。わたしは太刀打ちできなかった。
この国の王太子がエスコートしていた時期もあるし、公爵令息がぴったりとついていた時期も・・・・
そんな彼女がサミエルに目をつけたのだ。サインしてある離縁状と慰謝料がわたしに残された。
夜が辛かった。戻ってきたサミエルが、わたしにキスして体をまさぐる。それ以上すすまない彼をなじりすがりついているところで目が覚める。それを毎晩繰り返した。
抱いてくれる腕が欲しかった。
わたしは酒に溺れ、両親はわたしを施設にいれた。そしてわたしに、会いに来るときに事故に合い、二人は死んだ。
その後サミエルは一文無しになってミザリーに捨てられた。
わたしはどうにか立ち直り社交界にも時々顔を出すようになった。跡取りは必要だ。配偶者を探そうと思ったのだ。
それなりに美しくお金のあるわたしはお相手には恵まれた。だが、いざ婚約となったら、相手はことごとくミザリーに心奪われるのだ。
それはもう、おかしいくらいに・・・・ミザリーとわたしって男の好みが同じなのかとも、思った。
男を雇って子供を作ろうとまで思っていたある日、子供を拾った。
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