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19 神殿のオリビア
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寒い、布団は薄いしベッドは固いし、眠れない。
どうして、わたしがこんな目に・・・わたしは伯爵令嬢で聖女で王子殿下と婚約する所だったのよ・・・それなのに
わたしの力が現れた時、みんなが期待してくれたのよ。お父様も神殿の人も・・・神殿に入るときも忙しい聖女カミーユにそばで色々教えて貰った。最初から特別扱いだったのに。
だけど本当に特別なのは、カミーユだった。それはわかっていたけど・・・どうしても我慢できなくてお父様に泣きついた。カミーユが憎いと。
お父様はわたしの顔をじっとみてこう言った。
「あの女に成り代わりたいか?」お父様の声は普段とは違っていた。わたしはそれを聞いた時、自分の気持ちに気がついたのよ。わたしはあの女のようになりたいんだって・・・
「えぇお父様。あの女のものをすべて奪いたい」お父様は
「わかった」とそれだけを言って出て行った。
それはすぐに起きた。日々、わたしの力は増して行き、聖女・・・あの女、カミーユの力は減って行った。
あの女はそれでも奉仕を続けていた。だけど、魔力の少ない聖女は惨めなもので、最後は神殿を出て暮らしていた。
わたしはお父様の言いつけ通りあの女をそばに置いていたが、目にするのもいやだった。
だから、思い切り意地悪してたのに・・・いつのまにか素敵な男性に守られて神殿を出て行った。
そしたらわたしの魔力がなくなっていった。あの日、魔力が戻ったと思ったけど最悪な状況で魔力のなさが、まわりに知られた。
そして実家も没落。わたしは下働き。
わたしとあの女にどれほどの違いがあったと言うの?
こんな生活が続くのはいやだ。あの女に復讐できないなら、のさばってきたロザリーに思い知らせてやるんだ。
疲れて部屋に戻る時を狙う。
目標ができると生活に張りが出た。慣れない仕事は人より時間がかかるが、誰も手伝ってくれない。
一人残ってなんとか終わらせるが、翌朝はそれがいい加減で手抜きだと小言を言われる。出来ないものは仕方ない。
ちゃんと教えないのが悪い。
今日も居残りになったが、そのままにして部屋を出た。どうせ気に入らないのなら、やっても、やらなくても同じだ。
わたしの格好だと、堂々と道を歩けない。脇を身を小さくして歩く。
「今日は大変でしたね」
「疲れが取れないみたいですね」
ロザリー一行の声がする。下品な大声ですぐにわかるわね。
わたしは、彼女たちが近づいて来るのをじっと待った。
ナイフを握り締めて、ロザリー目掛けて飛び込んだが、いきなり誰かがわたしの手を掴んだ。それからその手を上にあげた。
「なにを」と言うわたしの叫び声。
「キャー」「いやー」「キャ、キャー」と声が響き、音が大きすぎてなにも聞こえなかった。
気が付いたら、わたしは腕一本で宙につり上げられ、宙に浮いた足をパラパラ、パタパタ動かしていた。
なにやら変な声が聞こえていたのは、自分の声だった。
駆けつけてきた神官に、ロザリーたちが慰められていた。
「女を下ろしても大丈夫かな。あぶない所だった」と言う声に
「はい」と答えがあると、わたしはかなり離れた場所に落ちた。息が止まった。放りなげられたようだ。
神官がすばやく近寄って来るとわたしの手を踏みつけた。そしてナイフを取り上げた。
ようやく息が出来るようになると、あちこち痛いのに気がついた。
そして、みながわたしを冷たく見ていた。
どうして、わたしがこんな目に・・・わたしは伯爵令嬢で聖女で王子殿下と婚約する所だったのよ・・・それなのに
わたしの力が現れた時、みんなが期待してくれたのよ。お父様も神殿の人も・・・神殿に入るときも忙しい聖女カミーユにそばで色々教えて貰った。最初から特別扱いだったのに。
だけど本当に特別なのは、カミーユだった。それはわかっていたけど・・・どうしても我慢できなくてお父様に泣きついた。カミーユが憎いと。
お父様はわたしの顔をじっとみてこう言った。
「あの女に成り代わりたいか?」お父様の声は普段とは違っていた。わたしはそれを聞いた時、自分の気持ちに気がついたのよ。わたしはあの女のようになりたいんだって・・・
「えぇお父様。あの女のものをすべて奪いたい」お父様は
「わかった」とそれだけを言って出て行った。
それはすぐに起きた。日々、わたしの力は増して行き、聖女・・・あの女、カミーユの力は減って行った。
あの女はそれでも奉仕を続けていた。だけど、魔力の少ない聖女は惨めなもので、最後は神殿を出て暮らしていた。
わたしはお父様の言いつけ通りあの女をそばに置いていたが、目にするのもいやだった。
だから、思い切り意地悪してたのに・・・いつのまにか素敵な男性に守られて神殿を出て行った。
そしたらわたしの魔力がなくなっていった。あの日、魔力が戻ったと思ったけど最悪な状況で魔力のなさが、まわりに知られた。
そして実家も没落。わたしは下働き。
わたしとあの女にどれほどの違いがあったと言うの?
こんな生活が続くのはいやだ。あの女に復讐できないなら、のさばってきたロザリーに思い知らせてやるんだ。
疲れて部屋に戻る時を狙う。
目標ができると生活に張りが出た。慣れない仕事は人より時間がかかるが、誰も手伝ってくれない。
一人残ってなんとか終わらせるが、翌朝はそれがいい加減で手抜きだと小言を言われる。出来ないものは仕方ない。
ちゃんと教えないのが悪い。
今日も居残りになったが、そのままにして部屋を出た。どうせ気に入らないのなら、やっても、やらなくても同じだ。
わたしの格好だと、堂々と道を歩けない。脇を身を小さくして歩く。
「今日は大変でしたね」
「疲れが取れないみたいですね」
ロザリー一行の声がする。下品な大声ですぐにわかるわね。
わたしは、彼女たちが近づいて来るのをじっと待った。
ナイフを握り締めて、ロザリー目掛けて飛び込んだが、いきなり誰かがわたしの手を掴んだ。それからその手を上にあげた。
「なにを」と言うわたしの叫び声。
「キャー」「いやー」「キャ、キャー」と声が響き、音が大きすぎてなにも聞こえなかった。
気が付いたら、わたしは腕一本で宙につり上げられ、宙に浮いた足をパラパラ、パタパタ動かしていた。
なにやら変な声が聞こえていたのは、自分の声だった。
駆けつけてきた神官に、ロザリーたちが慰められていた。
「女を下ろしても大丈夫かな。あぶない所だった」と言う声に
「はい」と答えがあると、わたしはかなり離れた場所に落ちた。息が止まった。放りなげられたようだ。
神官がすばやく近寄って来るとわたしの手を踏みつけた。そしてナイフを取り上げた。
ようやく息が出来るようになると、あちこち痛いのに気がついた。
そして、みながわたしを冷たく見ていた。
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あの女に復讐----って、カミーユに何もされてないし、自分の我が儘からくる不満なのにね・・。
こんな聖女や侍女ばかりの神殿て、ブラックですよね😅
ギスギスしてて、雰囲気悪いんだろうなぁ。
面白いです!
続きが気になります!
感想ありがとうございます。はい。完成させます。
でも、もう少し待っていて下さいm(_ _)m
神殿のオリビアの章で、前半のほうで出てくるオリビアという呼び名いくつかは、カミーユと間違えてるのだと思います。
オリビアがオリビアを詰っていることになっちゃいます。
お話面白いです。
文章独特でこちらの想像力、推理力を引き立てる感じ。さらりと答えが置かれてたりして、その点でもひきこまれます。
漫画などの映像化にすると魅力的なものが仕上がりそうな感じです。
感想をありがとうございます。ご指摘の部分を確認して訂正します。
お褒めの言葉、嬉しいです。作品が漫画になる!! 夢です。
受賞おめでとうございます♪
楽しく拝読させて頂けて、
この読んだ気持ちが分かち合える方が
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ウフフです♪