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29話 属性別授業 後編

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「ところで、何でノアが付いてきてるの?」
ずっと僕の後ろを歩くノアに訊くと
「私も今回の属性別授業は風属性なのですが、何か問題でも」
と勝ち誇ったように言われ、少し腹が立ったが
「まぁ、良いけど余り僕に引っ付くなよ」
とだけ言うと、ノアは首をぶんぶん振りながら
「それは出来ません」
ときっぱり言われてしまった
(これを説得するのは至難の技だな…どうしようかな?)
「じゃあ、せめてあまり目立たないでくれよ」
とため息混じりに言うとノアは嬉しそうに
「はい、分かりました。師匠」
と言い、僕の後を着いてくる。


「此処が私と師匠の愛の────」
「勉強する、教室な?」
変な事を口走ろうとした、ノアの言葉を遮り、僕達は風属性の授業をやっている教室に入った。


僕とノアは授業を受けてる人殆どの視線を浴びながら前で授業している先生の元へ行き
「遅くなりました。すいません後これっ、学園長からです」
紙を先生に渡すと、先生はじっとその紙を見て、その後
「分かりました。それではアル君、ノアさん。空いてる席に座ってください」
「分かりました。」
僕達はやっぱり空いていたカラルの隣に座ると、カラルから
「何でお前と一緒にいると俺は毎回凄い人と会うんだよ?」
と悲痛な顔で言われた。だか正直に言えばこれは僕ではなくノアに言って欲しい。本当ならノアは光属性の授業を受けた方が良いのに何でか僕の事に来たがるんだから。でも一応
「ごめん」
と謝ると、カラルも
「まぁ、良いけどよ友達だから。でも今度から前もって教えてくれよ」
と言い、授業を受け始めた。(やっぱりカラルで良い奴だな。)


「あのぉ、師匠」
隣のノアに声を掛けられ僕はノアの方を向く、|説教(、、)の為に
「ノア……人前で僕の事を師匠と呼ぶな。良い?分かった?」
と少し問い詰めるように言うが、ノアは
「ですが、師匠は私の師匠なので」
と一点張りで長々、首を縦には降ってくれず。僕は最終手段を使った。
「もしも、これからも僕の事を師匠って呼ぶなら|君(、、)との縁を切るよ?」
と声のトーンやや下げて言うと
「え?…え?…え?……し、ししょう?……じょうだん……ですよね?そ、そんなことしないですよね?し、ししょうは私の目の前から居なくならないですよね?」
授業などお構い無しで目から大粒の涙をポロポロと零しながら掠れた声で僕の制服を握りしめ言うノアにみんな自然と注目が集まる。

「おい!?編入生がノア様を泣かしたぞ」

「可哀想ぅ~」

「アイツを殺す」

「可哀想なノア様」

と授業中にも関わらず、教室では僕への避難が殺到し、更には
「ど、どうしたんですか?ノアさん」
先生まで出来きて教室は収集が着かなくなっていた。
「ど、どうしよ?カラル」
カラルに助けを求めようとしたが、カラルの声は周りの声に掻き消されて聞こえなかったが、口の動きで何と言ったのか僕は分かった。


「知らん、自分で何とかしろ」


カラルはそう言い、外を眺めていた。(あ~、もうこんなのどうしたらいいんだよ)
「やけに教室が活気に溢れていますが、どうかしましたか?」
ディーン先生が教室に入ってきた。そして、泣いてるノアを見た後に、困った顔をして、僕の方を向き
「すいません、ノアさんとアル君を少し用があるので」
と言い、僕とノアをあの|教室(じごく)から解放してくれた。だが本当の地獄は此処からだと僕はまだ知らずに


「取り敢えず、この教室に入ってください」
僕達はその空き教室に入った。すると直ぐにノアは僕から少し距離をあけ、しゃがみ込んでまた泣き出す
「で、一体何がどうなったんですか?アルカ君」
別の教室に案内され、入った瞬間にディーン先生に訊かれ
「ん?アルカ君!?って」
まさかと思い、その事について聞いてみると、ディーン先生は
「その事は後で話しますから、今はこの状況についてです」
と華麗に話をすり替えられたが、確かに今はノアの事だと僕も思い

「はい。実は────」

僕が今まであった事とそれの経緯をディーン先生に説明すると、ディーン先生は少しまた困った顔だけとさっき以上に深刻な顔をし
「これがアーサーさんにバレたらやばいですよアルカ君」
今度はさっきよりかなり焦った子でそう言い、ノアの元へ行き
「ノアさん、大丈夫ですよ。アルカ君は君の事嫌いにならないですから」
と何やら変な事を言ったが今更そんなこと気にしてられない
「ほんとに?」
さっきまで泣いていたノアはディーン先生の言葉を聞き、ディーンに
「ほんとに、師匠は私の事嫌ってないの?」
ディーン先生に何度も何度も確かめるように訊くノアを見て、僕は少し罪悪感があった
(ここまで落ち込む何て、予想外だったな。やっぱり謝らなくちゃ)
「ごめんね、ノア」
僕はノアに謝りたいと思ってノアに近づいて、ノアと目線を合わせるため、しゃがみ込んで謝る
「いえっ、良いんです。師匠にとって私は邪魔なだけなんで」
さっきまで泣いてたのに今度は急に拗ねだすノア。そんなノアを見て僕は少しホッとしながら
「うん。確かにさっきのノアは邪魔だったかもね」
僕が言うと、ノアはよほどびっくりしたのか目を大きく見開き
「え?え?そこはもう少し優しくする所ですよね?」
混乱しながら、そんな事を言われたが
「うん。でもそこで優しくするのは僕が非がある時だけだよ。でも今回は僕にも非はあるけどノアを方が悪いと思うし……ね?」
僕がこれでもか!!っと言うぐらい言うと、ノアは黙り込んでしまったが、そこでディーン先生が
「まぁ、アルカ君の話を聞いた後だと、確かにノアさんの方に非はありますが、それでも女性に縁を切ると言うのは関心しませんね」
と大人の男性から言われてしまい、僕もそれは悪かったなと思い
「ノア。さっきは縁を切るなんて言ってごめんね」
と謝るとノアはやっぱり嬉しそうにそして少し変に笑いながら
「もうその事は気にしてませんよ師匠。だけど少しは傷ついたので、何がお詫びが欲しいですね」
何かを強請るように、訊かれ僕も今回だけは大目に見て
「良いけど……僕に出来ることだけにしてね」

「それは大丈夫です。う~ん何しましょうかねぇ。あれも良いし、あれも良いしなぁ~」
とノアがまた、その場に座り込み、僕からのお詫びを考えてる時間で、僕は
「ディーン先生、先生って属性は何なのですか?」
ディーン先生に個人授業をしてもらってた。
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