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16話 師匠

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私はルーク君の手を引き、自分の部屋まで連れていった。
「ねぇ、貴方魔法が得意なのよね?」
と私が聞くと、アルカ君はさっきとは打って変わって
「あぁ、そうだが」
と少し荒い口調で言った、私はそれに少し戸惑いながら
「何で、急にそんなに喋り方になったの?」
と私が聞くと、アルカ君はため息をつきながら
「はぁ~、そんなのこの喋り方が素に決まってるから以外にあるか?」
と逆に聞かれ、少し怒った私は
「何故、王女である、私にその様な喋り方で話しかけてるの?無礼ですよ!」
と私が言うとアルカ君は
「何で、俺が同年代の餓鬼を敬わなきゃならんのだ」
と言い、私の部屋にあったソファーに座り込んだ
「じ、じゃあこうしましょう、貴方魔法が得意なのよね?」
と私が聞くとアルカ君は
「まぁな、それなりには」
と言い、ソファーに寝転がりながら言った。


「だったか、魔力勝負しましょうよ」
と私が言うとアルカ君は
「あぁ、良いぜ」
と言い、勝負を受けた
(やったわ、これで私の勝ちよ、あの子知らないのかしら、私の魔力は同い年の中では私が1番で高いのよ)
と私が思いながら、私はお父様の部屋から、魔力測定水晶を持ってきて、テーブルの上に置いた
「最初に私から図るわね」
と言い私は魔力測定水晶に手を置くと水晶に100と言う数字が浮かび上がった


「どうかしら?、今なら負けを認めれば...」
と私が言おうとした時、アルカ君が
「何だよ、たったの100かよ」
と言い、溜息をついたそれを聞いて私は
「たったのって何よ!!じゃあ貴方はこれより高いの!!」
と私が言うと、アルカ君は
「とうぜんだろ?」
と言い魔力測定水晶に手を置くと水晶に500と言う数字が浮かび上がった
「500?そ、そんなの嘘よ嘘に決まってる」
と私が言うとルーク君は
「嘘っつったって、出たんだからしょうがねぇだろ」
と言った
「じゃあ、何でまだ7歳なのにそんなに魔力が高いのよ!!」
と八つ当たり気味に私が言うとアルカ君は
「はぁ?お前馬鹿だろ?そんなの魔力を高める練習したからに決まってるだろ」
と言い呆れていた。だが、そんなの有り得ないのだ、だって
「そんなに嘘に決まってるでしょ、魔力を上げる練習何て聞いたことないわ」
と私が言うと、アルカ君は
「なら、お前もやってみるか?」
と言ってくれた
「え?教えてくれるの?」
と私が聞くとアルカ君は
「まぁ、教えるぐらいは」
と言い、テーブルの上にあった魔力測定水晶を端の方へ移動させ
「なぁ、お前今まで魔力が枯渇するまで魔法使った事あるか?」
と聞いてきた、私はお前と言う言葉に少しムッとしたが、取り敢えず答えた
「そんなの無いに決まってるでしょ」
と私が言うと、アルカ君はまた、溜息を付きながら
「はぁ~、だからだよ」
と言った、私はその言葉の意味がわからず
「だから何ですの?」
と聞くと、アルカ君は少し大きめの声で
「だから、魔力が枯渇するまで使わないからお前の魔力は低いんだよ!!」
と言った
「え?なんで?」
と私が聞くとアルカ君は
「あ~、何でこんな事も分からないんだよ!!」
と言いながら、私の部屋にあったノートとペンを持ってきた。

そこから、アルカ君の魔法講座が1時間程続き、その後私はルーク君の事を師匠と呼ぶようになった。

「お嬢様、国王様がお呼びです」
とお父様の執事が呼びに来た
「おっ、もうそんな時間か」
と言いながら、師匠はソファーから立ち上がり、ノートとペンを片付け
「これからも練習しとけと」
と言い、先に部屋を出ていった。
「あっ、待ってくださいよ、師匠」
と言い私は師匠のあとを追った。


「おぉ、どうであったかアルカよ」
と師匠はお父様に聞かれ師匠は
「はい、ノア様ととても有意義な時間を過ごせました」
とさっきまでの口調から最初の口調に戻して言うと、お父様は
「おう、それは良かった」
と言うと、師匠のお父上は
「では、国王様、我々はこれで」
と言うと、お父様は
「おう、ではまた新しい報告が有ればな」
と言うと、師匠のお父上は
「はい、ではこれで」
と言い、師匠と一緒に城から帰っていった。


そして、それからは師匠とは会う機会は無かったが、私は師匠が言っていた魔力を高める練習はずっとつづけていた。
そして、私が練習を初めて5年が経ち、色決めの儀式から1週間がたったある日


「な、なぁ、ノアよ、実は話があるのだが」
と私が庭で適正だった風属性と光属性の魔法の練習をしている時に、お父様が呼びに来た。

「どうしたのですか?お父様?今、私、魔法の練習中なのですが」
と私がどうせ大した話じゃないと思いながら、言うとお父様は
「実はな、アレキサンダー家の長男のアルカと言う子供が居ただろ?1週間前に魔獣に襲われ亡くなったそうだ」
と言ったのだ、だが、私はお父様のその言葉を信じることが出来なかった。


「いくらお父様でも、そのような事言うと、怒りますよ?」
と私が怒気を込めながら言うと、お父様は
「嘘ではない、今日、レイドから連絡が合ったのだ」
と言った、私はそれを聞いた瞬間、その場に泣き崩れた。


それ以来、私は親しい人が身の回りなら居なくなると、不安で堪らなくなってしまうのだ、そしてそれは当然お父様も知っていて、私の事を心配していた。

それでも、私は師匠に言われた練習法を今もやっている、それが唯一の師匠との繋がりだと思うから、と思いながら私は魔力を高める練習をしていると、お母様の部屋から
鼓膜を襲う金属的な音が聞こえ、私は急いでお母様の部屋に向かった。


「お母様、どうしたのですか!!」
と私が慌ててドアを開けると、そこには苦笑いをするお母様と水属性の初級魔法のウォーターボールを展開して、物凄く怒っているメアリーとアル君とは別のとても綺麗な黒髪の男の子が居た。


だが私はその男の子を知っている気がする、私の知っている人は私と同い年で在りながら、私より魔法の才能が有り、そして私の魔法の師匠でも有り、私にとって掛け替えのない人にそっくりだったのだ、そこでは私は有り得ないと思いながらも
「も、もしかしてア、し、師匠ですか?」
と私はその人の名前を呼ぼうとして、少し怖気ずいてしまったがすぐに言い直すと男の子は少し複雑そうな顔をして
「は、はい、お久し振りです、ノア王女」
と言ってくれた。私はその事が嬉しくて思わず師匠に抱きついた。
「もう!!心配したんですから、師匠」
と言い、私が師匠の胸の中に顔を押し付けると師匠は優しく私の頭を撫でながら
「はい、本当にすいません」
と言い撫でてくれた。

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