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22.5話 おかえり

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私はお兄ちゃんと別れた後、女子寮へと思い足取りで向かった。


女子寮に着くと、女子寮の前で栗色の髪をした女の子が私に嬉しそうに手を振りながら走ってくる。そして
「おかえりっ、メアリー」
と言い、私を抱きついてくる。
「ただいま、リリエ」
私がそう言うと、リリエはハッとなって私から離れ、少し怒りながら
「なんで、急に居なくなったのよ!!」
と今度は目に涙を貯め、涙声で訴えて来る。そんなリリエを見ながら私はリリエに何も言わずに学園から離れた事に対して罪悪感でいっぱいになり
「ごめんね、リリエ」
私が謝ると、リリエの目に溜め込んでいた涙がぽろぽろと落ちていく。そしてまた、私に抱きつき
「うんっ。今回だけは許して上げる」
と言い、更に抱きしてる力を強くして泣き出す。


「ねぇ、リリエ、そろそろ寮に行きましょ」
と言い、私達は女子寮の自分たちの部屋へと向かった。


「で、何で急に学園、休んだの?」
部屋に着いて、荷物を置いてすぐにリリエに問い詰められた私はシーザーとの事やお兄ちゃんの事を話した。当然お兄ちゃんがアレキサンダー家の事だけは隠して話すと、案の定
「やっぱりアイツを殺すっ!!」
と荒ぶっていた。確かにリリエはシーザーみたいな性格の人を嫌っているが何故か私の事になるとこんな様子になる。そんなリリエを見て少しため息を吐き
「これだから言いたくなかった」
とリリエを聞こえないように呟くが
「どうしたのっ!?他にも何かあったの?」
内容までは聞こえなかったらしいが私が何か言ったのには気づいたらしく
「何でも言ってね、私が何とかするから」
と笑って言ってくれた。私はそんなリリエの笑った顔が正直好きだった。
(あれっ?リリエの笑った顔何だか……お兄ちゃんの笑った時に似てない?)
そこで、私は初めてお兄ちゃんの事が好きだと言う気持ちに気が付いた。
(どうりで、リリエの事が気になるわけね。だってリリエの笑った時の顔が何だかお兄ちゃんに似てるんだもん)
そう考えると、私は嬉しくて嬉しくて堪らず少しはしゃいでいると
「心配してたけど、何だか心配して損した」
と言い、何故かリリエにため息をつかれ
「今なんで、ため息したのよ?」
と訊くと、リリエは、ニヤニヤと笑いながら
「だって、メアリーがそんな風にはしゃぐ何て珍しいから、何か|良い事
(、、)でもあったのかなぁと思って」
と言い、リリエは私の返答を待つこと無くベットに入り、寝息立てて眠りに着いた。


「もう~、しょうがないなぁ。……でも心配してくれてありがと」
リリエにそう呟き、私も眠りに着いた。


「メアリー、朝だよ。そろそろ起きて」
リリエに起こされ、私は重たい瞼を開き、洗面台に行き顔を洗う
「おはよ」
寝起きの私がリリエ言うと、リリエは仕方なさそうにだけど笑顔で
「も~、顔洗ったら早く制服に着替えて学園に行くわよ。皆をビックリさせなきゃ」
と言い、早々と私に制服に着替えさせ、急いで寮を出た。


「そういえば、私、メアリーの従者の事聞いてなかった」
と学園を行く途中に言われ、私も話すのを忘れていた。
「で、どん人なの?カッコイイの?それとも可愛いの?」
と訊かれ私は
(う~ん、お兄ちゃんってどっちなんだろ?真剣な顔の時は…カッコイイけど、いつもは色々抜けててほっとけないんだよなぁ~)
「うん。名前はアルって言ってね、髪は綺麗な栗色でカッコイイの」
た私がお兄ちゃんをそのままを言うと、リリエは昨日と同じくニヤニヤ笑いながら
「ほほぉ~、それは楽しみね」
とだけしか言わなかった。そんなリリエを見ながら、私は不思議に思い
「ねぇ、何が楽しみなの?」
私が訊くと、リリエは
「メアリーが気にすることじゃないわ」
とし言ってくれなかった。がそんな事よりも私は
(何で、お兄ちゃん来てくれないの?)
その事で頭がいっぱいだった。


リリエに先に行かれ、私が1人で教室に入ると

「メアリー、おかえり」

「おかえり」

「おかえり」

「お帰りなさい」

とクラスの皆に出迎えられ、私は愕然としていると
「なに、キョトンってしてるのよ、こういう時はなんて言うの?」
とリリエに怒られてしまい、私は少し恥ずかしかったが
「ただいま、そしてごめんね」
と私が言うと、皆笑って
「おかえり」
と言ってくれた。私はその言葉を聞いて少し泣きそうになったが何とか堪えていると、後ろからまた懐かしい人がきた
「あらっ?久しぶりねダグ」
と私が挨拶するとダグは
「あぁ、久しぶりだな、メリー」
とだけ挨拶して、ダグは席に座った。そんなダグを見て、皆は

「相変わらずね」

「連れないなぁ」

「冷たいよな?」

と皆言うが、私からすれば、いつものダグだ、口数は少ないがそれでも優しい。それがダグだ、そんなダグを見ていると
「おやっ!?メアリーがダグラスに熱い視線を送ってるぞ」
とクラスの子にはやしたてられ、少し恥ずかしくなり、窓際の自分の席に逃げ席についた。


「ほらっ、皆メアリーが帰ってきて、嬉しいのは分かるけど、そんなにメアリーをいじめな~い」
とリリエがそう言うと、皆も

「流石にやり過ぎたな」

「ごめんね」

「すまない、少しやり過ぎた」

と皆に謝られ、私も
「良いの、私も皆に何も言わずに学園から出たから」
と私が言い、外がやけに、騒がしくて騒がしい場所を見ると、そこには
「て?え?何でお兄ちゃんとノアが一緒にいるの?」
私は今ある目の前の光景に動揺を隠せずに思わず声に出ると、クラスの皆も窓の外を見た。


「あれって……ノア様だよな?」

「ノア様とあんなに密着して……羨ましい」

「隣に居るのって……誰?」

「綺麗な栗色の髪……ねぇメアリー、あれって…」

ある程度話していた、リリエだけは分かっていたが、ほかのみんなは分かっていなかった。
(取り敢えず、今はほっといて|後で(、、)ゆっくりお話しようねお兄ちゃん)
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