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25話 VSアルベルト

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アルベルト君が離れた後、僕はディーン先生の元へと行き
「先生、ダガーを二刀程貸していただけませんか?」
とお願いすると、ディーン先生は少し笑いながら
「ダガーなら自分の使えば良いのでは?」
と聞かれ
(やっぱり、ソフィア様から何か聞いてんな)
「あれはメアリーお嬢様を護る時だけの物なので今は使うわけには」
と言うと、ディーン先生はまた笑い
「分かりました、今回はそういう事にしときます。これで良いでしょうか?」
と言い、ディーン先生からダガーを二刀借り、僕がアルベルト君の方に行こうとした時
「流石は団長の弟子っすね」
と聞こえた気がするが
(今はアルベルトとの試合に集中するか)
僕は僕の中にある理性という名のスイッチを切る。


俺とアルベルトはグラウンドで向き合い、今審判のディーン先生の合図を待っている。
「あれっ?、お前武器使わねぇのか?」
と俺が聞くと、アルベルトは
「ふんっ!!貴様如き落ちこぼれに私の愛剣を使うまでない」
としか言わなかった。


「それでは只今よりCクラスアルベルト君とEクラスアル君の模擬試合を始めます。ルールは相手を死に至らしめる魔法を発動は禁止それだけです。両者それで宜しいでしょうか?」
とディーン先生に聞かれ

「了解です」

「分かりました」

と返事をし
「これでは、試合開始です」


「おいっ!!落ちこぼれ」
と試合が開始した直後、アルベルトに呼ばれ
「何だよ?気ぃ抜いて良いのかよ?今試合中だぞ?」
と言うと
「この僕がお前みたいな落ちこぼれに負ける訳無いだろ。それでだ落ちこぼれお前……昨日の夜何故メアリー様と一緒に歩いていた?」
と聞かれ
(ちっ、見られてたのかよ、これ以上は面倒いな)
「さぁな?」
と小馬鹿にしたように言うとアルベルトは
『火球よ 我が敵を 灼熱の炎で 燃やし尽くせ フレイムボール』
詠唱し、俺にフレイムボールを飛ばして来る
(へぇ~、初っ端からファイヤーボールの上位互換のフレイムボール使ってるかぁ、腐ってもCクラスってわけか、長々やるなぁ)
と思いながら小さく
『風よ 纏え エンチャント』
と小さな声で詠唱し、風属性のエンチャントを二刀のダガーに纏わせ、アルベルトのフレイムボールを真っ二つに斬る。それを見てアルベルトはさっきまでの余裕な表情から一転して
「き、貴様っ!!今一体何をした!!」
と声を荒らげながら聞かれ、俺は
「はぁ?見て分からなかったのか?お前の魔法を斬ったんだよ」
と言うとアルベルト
「そ…そんなのう…嘘に決まってる…だって魔法を斬るなんて……」
と言い固まったアルベルトを見て、俺は
「何だよ、魔法を斬るなんて何だよ」
と煽るとアルベルトでは無くオーデン先生が
「そ、そんなの凄腕剣士にしか出来ないはずっ……き、貴様一体何者だ!!」
と聞かれ、俺は
(う~ん、此処はなんて答えようかな?アレキサンダー家の次男?イヤイヤ死んだ事になってるし……あっ、そうだ……いやっ…でも…良いや!!やってやる!!)
閃き、取り敢えず、アルベルトの鳩尾に1発入れて
「俺か?俺はメアリーメイソンお嬢様を守るためにこの学園に来た従者だ!!今後、お嬢様に用がある時は俺に言え!!」
と言い切ると、カラルは吹き出しながら笑いだした。
「何で笑うんだよ!カラル!」
と少し自分が恥ずかしくなり理性を引っ張り出しカラルに聞くと
「いやぁ~それじゃあ従者って言うより、恋人って言うか夫婦?」
と言われ
「それは言わなくて良い」
と言いカラルにも軽い打撃を加えとく。そんな中オーデン先生は
「こ、今回はアルベルトの調子が悪かっただけだからな、調子に乗るなよ従者風情が」
と言い、オーデン先生はクラスの連中を連れてさっさと立ち去った。


その後は体術の授業そっちのけで僕へと質問攻めである

「あの魔法を斬る技術教えてよ」

「さっきの詠唱の件で聞きたいことがあるんだが」

「君がメアリー様の従者って本当?」

「訓練してくれ」

「弟子にしてくれ」

とこんな感じだったが、そんなのには目もくれず僕はカラルの元へ行き
「大丈夫?」
と聞くと、カラルはにっと笑って
「たりめェよ!!庶民舐めんな」
と言いすぐに立ち上がった。


その後、僕は驚く光景を目の当たりにした。
何と今度はカラルに質問攻めがあったのだ

「お前、度胸あるな」

「さっきのかっこよかったよ」

「今まで、済まなかったな」

と言った感じで質問攻めは皆に謝られ、カラルは少し恥ずかしそうに
「も、もう済んだことだし良いよ」
と言いカラルは皆の中心で話していた。


「これで、満足ですか?」
と、皆がカラルの所に行ってる間に近づいてきた、ディーン先生に聞かれ
「えぇ、まぁ……まだ足りませんが」
と正直に言うと、ディーン先生は少し笑いながら
「正直ですね……ですがあれ以上過激になったらその時は君のお嬢様に迷惑が掛かることを肝に免じて置いて下さい」
と注意を受けた後、僕達はディーン先生に少しの時間だったが体術を習って、午前中の授業が終了した。


「なぁ、アル、飯行こうぜ」
とカラルに誘われ、僕は一緒に昼食を取りに行く
(でも、そろそろメリーの所にも行った方が良いかな?取り敢えず昼食取ったあと、ソフィア様にメリーのクラス聞きに行こっと)
「そう言えば、昼食ってどこで取るの?」
とカラルに聞くと
「学生ホールって所があってそこで皆食うんだ」
とカラルに教えてもらい
「ふ~ん、そうなん…………」
(あれっ?僕ってお金持ってたっけ?あれ?あれれ?………どうしよう?)
「ねぇ、カラル……お金貸してくれない?」
と恐る恐る聞くと、カラルは
「あれ?アルお前知らないのか?この学園では学生証出せば食堂は利用できるぞ」
と言われ
(ソフィア様ぁ、教えてくださいよぉ)
取り敢えず僕達が学生ホールに着くと
「あれっ?ねぇカラル、あの人だかりは何?」
と聞くと、カラルは悪い笑を浮かべ
「あぁ、あれか?あそこでノア様がよく昼食を取ってるんだ」
と言われ、僕は朝の事を思い出し
「ねぇ、カラルゥ、そう言えば朝僕の事売ったよね?」
と聞くとカラルは
「そんな訳ねぇだろ?だって俺達友達だぜ?友達を……売る……なんてなぁ?……すまん」
と言葉を濁しながら言い訳をしながら最終的に謝るカラルを見て
「まぁ、分かれば良いけど……」
と僕が言うと、カラルはまた悪い笑を浮かべ
「所で、アルはどこで飯食うんだ?」
と大声で言う
「どうしたの?カラル?そんな大声で出して……まさかっ」
僕がそれを知った時にはもう遅かった
「もしかしてっ!!し……アル君ですか!?」
とノア様に呼ばれ
「これは、ノア様奇遇ですね」
とだけ、返す
(此処では余り目立ちたくないんだけどなぁ)
「えぇ、ほんとに奇遇ですね。いえっ、寧ろ運命の様なものまで感じますね」
と言い、笑うノア様を見て僕は
(辞めて!!その顔辞めて!!もうそこら中の男子から目線が痛い)
「あのっ、それではノア様、ソフ……学園長の所に用があるので私はこれで……」
と僕は後でに回していた用事を今に回し、この危機から脱しようと心見たが
「奇遇ですね、私も学園長の所に行く予定でしたので、宜しければ一緒にどうでしょうか?」
と誘われてしまった
(ノア……てめぇわざとやってんじゃねぇか?)
「では、早速ですが今から行きましょう……あっ、そうだまたアル君借りても良いでしょうか?」
とノア様に聞かれたカラルはまた
「あっ、どうぞ」
とまた俺を売りやがった
「では、行きましょうか?アル君」
ノア様に腕を引っ張られ、僕は最悪な形で窮地を脱出した。

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