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31話 不安

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「お兄ちゃん………私のこと嫌いになったの?」
とまた悲しそうな顔、声で言われたが僕は何も言えずに黙ることしかできなかった。だがそれでもメリーは止まらない
「やっぱりここには来たくなかった? 。それとも私が嫌だったの? 」
と質問されるが、僕は黙り続ける。


「やっぱり、私って迷惑だった?」
とメリーど弱々しく質問された、また黙っていようと思ったが何故かその時だけは
「いえっ、迷惑だなんて、むしろ主やメリーやエマ様には感謝しきれません。それにまだメアリーお嬢様の従者もしたいです。」
と口が勝手に動いた様に話し出した。


「ほんとに?ほんとに?私って迷惑じゃない?お兄ちゃんと一緒に居てもいい?」
と目に涙を溜め込み、声も涙声に近い声で訊かれ
「はい。むしろメアリーお嬢様の様な可愛らしい方の従者を出来る事に感謝するぐらいです。」
と僕が正直に言うと、メリーはさっきの悲しい顔から打って変わって誰の目からも分かるぐらいな顔を真っ赤にして
「も、もうっ、からかわないでよっ!お兄ちゃん」
メリーに怒られてしまったが、何故か今はそれが心地良いと感じてしまっている自分が居る。だが
「ですが、今回の件は私の口から直接、主に報告しなければなりません。ですから最悪の場合従者の任だけでは無く契約も解消されるかも知れません。」
僕が言うが、メリーは何故か僕がそう言うと笑い出して、笑顔で
「もうっ、お兄ちゃん何変な事言ってるの?パパがそれぐらいで……いや、お兄ちゃんを追い出すわけないじゃない?それにパパがもしもお兄ちゃんを追い出そうとしてもその時は私がお兄ちゃんを守るんだからお兄ちゃんは安心して。ね?」
そう言い、僕を抱きしめてくれる、メリーに僕は身体の奥底から湧き上がってくる感情に任せた。


                    ▲▼▲▼


「ほんっとに、しょうがないお兄ちゃん何だから」
私は泣き疲れて寝ているお兄ちゃんに膝枕をし、髪を撫でているとリリエがこちらをニヤニヤと笑いながら
「まぁ~、仲がよろしい事。まるで従者とお嬢様じゃなくて恋人見たい」
とからかわれるが
(でもっ……お兄ちゃんとなら……こ…恋人でも良いかもっ)

「もうっ、からかわないでよ」

「はいはい、ごめんなさい」

と軽く返し、リリエは空き教室から出ていった。


リリエも居なくなり、私とお兄ちゃんだけの空間になり私は寝ているおにいちゃんの髪を分けたり、ほっぺたをつついて遊んでいると
「あっ……お邪魔だった?」
戻ってきた、リリエに言われ直ぐにお兄ちゃんで遊ぶのを止め
「ど、どうした?何か忘れ物でもしたの?」
私が平然を装おうとしたが、リリエは
「いやっ、午後の授業の事で、そこの従者君の所のディーン先生とリディア先生には2人とも体調不良で保健室で休んでますって言っといたから。ごゆっくり」
と言い、またニヤニヤ笑いながら教室から出ていった。


「もぉ~、リリエったらぁ……でもありがと」
今度こそリリエも居なくなり、静かになった教室で、また私は
「それにしても、お兄ちゃんも色々考えてたんだね」
さっきはリリエに邪魔されたせいであんまり撫でられなかった髪を撫でながら、お兄ちゃんを起こさないように静かに寝ているお兄ちゃんに話しかける。


「もうっ、そんなに思い詰めてたなら、私にも相談してよね、あの時は私、本当にお兄ちゃんに嫌わてたと思ってショックだったんだからね」
と寝ているお兄ちゃんに話しかけてるうちにだんだん、頭に来て寝ているお兄ちゃんの頬をつまんで
「もう……バカっ」
と言ってやると、お兄ちゃんは起きる事は無かったが
「う~~ん」
と言い、寝ながら頬を擦り、また眠りにつく、すると

コンッコンッ!!

と、ドアをノックする音が聞こえ、私はお兄ちゃんを起こさないようにそして相手に聞こえるような声で
「はいっ」
返事をすると、何故かドアを開き、外からその凄い剣幕のノアが教室に入ってきた。


「もうっ!!あなたって人はっ────そこで寝ているのは師匠?」
物凄く大きな声だった、ノアは寝ているお兄ちゃんを見て直ぐに声を小さくして
「何故、ここで、師匠はメアリーの|膝枕(、、)で寝ているの?」
とさっき以上の剣幕で訊かれ、私は色々考えた結果、やはり正直に言おうと思い、これまでの経緯を全てノアに話した。


「そうでした、メアリーには何も言ってませんでしたもんね」
とノアに言われ、私はその言葉の意味が分からず、ノアに聞き返した
「それってどう言う意味なの?ノア」
と私が聞くと、ノア一瞬ハッとして、直ぐに
「いえっ、何もありませんでしたよ」
と言うが、嘘がバレバレ過ぎて、私は呆れたが、それよりもさっきの言葉に意味が知りたくてノアを問いただしたら
「じ、じつは、2日前に師匠、Cクラスの生徒と決闘をして、そこで『俺はメアリーお嬢様の従者だって』って言っちゃいまして、その件で成るべくメアリーに近づくなと言われていたのです師匠は」
と最初はおどおどしていたが、途中からはお兄ちゃんを心配そうにしながら見つめるノアを話を聞いて
「そういう事だったのね、ノア、色々教えてくれてありがとう……じゃあ今度は今朝の登校の時の話しよっか?」
私がそう言うと、ノアは肩を震わせながら
「あ、あの時は、チャンスと思って、師匠に、ち、近づきました。ごめんなさい」
と素直に謝られたから、今回は軽めに
『彼の者に 衝撃を インパクト』
威力を最大限までに弱めたインパクトをお腹にすると
「ぐふっ」
と言いノアはお腹を抑えながら
「ここまでする必要無いでよぉ!!」
と言いながら、教室から出ていった。


「あれっ?やり過ぎちゃったかな?ごめんね」
心の中でノアに謝っていると
「ここに居たんですか?2人とも」
と言い、必死な顔をしているディーン先生が教室に入ってき、そして一息着いて
「メアリーさん、今から学園長室まで来てください。……当然アル君も一緒にですよ?」
と言い、ディーン先生は私の膝枕で寝ているお兄ちゃんを優しく、そして起こさないように抱き抱え
「では、私は先に行ってますから、メアリーさんは授業が始まってから来てください」
と言い、お兄ちゃんを抱き抱えたまま、ディーン先生は教室から出ていった
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