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33話 タイミング

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(やばいなぁ……完全に起きるタイミング失っちゃった)
ソフィア様とディーン先生が話している
「────でしょ!!」
と突然、ソフィア様が大声を出し、思わずビクッとなってしまった。


「────っすよ」
話の内容までは聞こえないがディーン先生が必死になってディーン先生がソフィア様を落ち着かせようとしているは分かった
(あれっ?ディーン先生の口調が何だか可笑しい気がする、いや、きっと気のせいだよね?)
「アル君、起きてるからっ!!」
とソフィア様が言い、ディーン先生がこちらを振り返ってきた
(どうしよ?なんて言えば良いんだろ?でも取り敢えず)
「起きちゃいました」
と言うと、ディーン先生は
「もう、起きてるんだったらもう少し早く来てほしかっ……たですよアル君」
とディーン先生が言うと、前にいたソフィア様が笑うのを堪えるように笑い出す。そして
「ディーン、もう教えても良いんじゃない?」
と言い出す。
(なんの事だろ?)
「そっすね、そろそろ敬語も疲れたところっす」
と急にディーン先生の口調が変わり、そのせいなのか何だか雰囲気も変わった気がする


「アル君、ここに居るディーンは君の主の後輩なのよ?」
とソフィア様が言うと、ディーン先生が
「元近衛隊幹部、ディーン アンバーンっす改めて宜しくっすアルカ君」
と今度はアルではなく、アルカと呼んで挨拶をする。


「主の後輩って事は部下って事ですか?」
と僕がディーン先生に聞くとディーン先生は
「う~ん、まぁそんな所っすかね」
と言い、僕のことをジッと見つめる。
「何でしょうか?ディーン先生?」
その視線に耐えきれず、聞くと
「いやっ、だっておかしいっすよ、確かにアルカ君が家から追い出された理由ってアルカ君が無属性ゼロだからっすよね?」
とディーン先生が言うと、それを聞きソフィア様も
「確かにそうね。属性は途中から発現する事なんて有り得ないわ。となると……」
と言い、ソフィア様とディーン先生は何やらブツブツと何かを唱えながら考え出した。


(さて、いったいどんな言い訳をしようかな?ここで本当の事を言っちゃえばすぐに解決するけど成る可く伏せておきたい……う~ん…となると突然変異って所にしとくか)
自分の中で言い訳が出来上がることには、ディーン先生とソフィア様は考えるのを辞め、僕に
「結局何で、ルーク君は魔法が使えるの?」
と聴き始めた。その時

「学園長、失礼します」

「お母様、入ります」

と同じタイミングでメリーとノアが学園長室に入ってきた。


「あらっ、いらっしゃい。どうしたの?メアリーちゃんは分かるけどノアはどうしたの?」
とソフィア様がノアに聞くと、それを
「いやいや、ソフィアさん、さっきまでノアさんはここに居たっすよ。何言ってんすか?」
とディーン先生が言うと、ソフィア様も思い出したのか
「そうだったそうだった。でもノアここからは私とディーン先生とアル君とメアリーさんの話です。」
とさっきまでとは打って変わって、学園のトップの顔で言われ、ノアを渋々学園長室から出ていった。


「じゃあ、ノアも居なくなった事だし、話しましょうか?」
そこにはもうさっきまでの学園のトップは影も形もなく、そこにはただのイタズラ好きの女性がそこには居た。


「ソフィア様、あれでは流石にノアが可愛そうですよ」
とメリーがノアを心配をすると、ソフィア様は
「でも、ここにノアが居たら、ずっとアル君から離れなかったわよ?」
とソフィア様が言うと、すぐにメリーは
「ですが、学園長の娘と言ってひいきをしてはいけませんよね」
とあっさりノアを見捨てた
「じゃあ、そろそろ始めましょうか。……と言っても何も言う事無いんだけどね」
と言うと、これには流石にディーン先生も
「じゃあ、何でここにメアリーさんを呼んだんすか?」
と返すと、ソフィア様は、少し申し訳なさそうに、僕の方を見て
「あの時は、私も先のことを考えてなくて……アル君、あの時はあんな言い方をしてごめんなさいね」
と頭を下げて謝ってきた。僕とメリーはそれを見て驚いていたが、ディーン先生だけは優しくそれを見つめ、微笑んでいた。


「頭をあげてください。ソフィア様、この国の王妃がそのような事をしてしまっては」
と言い、メリーが慌ててソフィア様の頭を上げようとするがソフィア様は頭を上げず
「でも、あの時はアル……アルカ君に少し強く言いすぎてしまったわ。だから」
と言うと、ディーン先生が
「その辺にしてあげて下さい。ソフィアさん。アル君もメアリーさんも困ってるっすよ」
と言うと、ソフィア様は渋々顔を上げた。
「内容を聞いて無いっすから、なんとも言えないっすけど確かにアル君は何だか少し危なっかしいっす。だから今回はいい薬になったと思うっすよ」
とディーン先生が言うと、その後にメリーと
「はい。今回の件についてはお兄ちゃ…アルにも責任は有りますので、ソフィア様は頭を下げる必要はありません」
と2人が言うと、申し訳なさそうだったソフィア様の顔に少し笑いだし
「メアリーちゃん、アルカ君の事お兄ちゃんって呼んでるのね」
と言い、やっと笑ってくれた。


「お母様……そろそろ良いですか?」
と言って、涙声のノアがドアから体を半分だけ出して、聞いてくる
「あっ、ごめんねノアも、良いわよ入ってらっしゃい」
とソフィア様が言うと、ノアは嬉しそうに笑ってこちらに走ってくる。



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