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36話 言い過ぎ

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「ここがマ………母さんの部屋です」
(またママって言いそうになってんぞ?)
「では失礼します」
と言い、僕達が入ろうとすると
「む~~」
何故かノアは頬を膨らませ可愛く怒っている
「師匠!!敬語!!」
と怒られてしまったが
「ですが、あの約束は2人の時だけでしたよね?」
と僕が言うと、後ろから物凄い寒気を感じ恐る恐る後ろを振り返ると
「ねぇ?お兄ちゃん?約束?2人の時?………どういう事?」
と言い、目だけ笑っていないメリーに聞かれ、必死に言い訳を考えていると
「あら?ただの弟子と師匠とのスキンシップですのでメアリーには関係ありませんよ?」
と何故か挑発しながらノアが言うと、それを聞いたメリーは
「スキンシップねぇ~?」
と言い、黙っていた。ソフィア様の部屋は不穏な空気で満ち溢れている


そしてその結果


「メアリーは昔も今も師匠と一緒なのだから少しぐらいは私に譲ってくれても良いじゃない!!」
と言うノアと
「いやよ!!昔もそれにこれからもずっとお兄ちゃんは私のお兄ちゃんなんだから取らないでよ!!」

こうなった。

と言うメリーに分かれた。
(はぁ~、なんでこの2人は直ぐに喧嘩するのかなぁ、仲が悪いってわけじゃなさそうだし……やっぱり女の子って不思議だなぁ、後でカラルにでも聞いてみよ……でもその前に)
2人の喧嘩を止めようと
「そろそろ、ノアもメアリーも落ち着いて?ね?」
と言うと、メリーが急に
「そうよ!!お兄ちゃんに決めてもらいましょう」
と言い出し、それには僕だけではなくノアも不思議そうな顔をして
「いったい師匠に何を決めてもらおうと言うのです?」
とメリーに聞くと何故かメリーは僕を指さして
「だから!!私とノアとどっちがいいかよ!!」
と言い出す


(最初の話と何だか微妙にズレてる気がするけど)
「そんなっ、僕にメリーとノア様のどちらかを決めるだなんて」
と言うとまたノアが
「師匠!!敬語!!」
と怒り出す。そしてそれに聞いてまたメリーも
「だからその敬語ってどういう意味よ!!」
と怒り出す。今やその繰り返しだ流石にこれでは不味いと思い、2人に
「2人ともそんなに喧嘩をしないでください。」
と注意をすると、2人に同じタイミングで

「お兄ちゃんのせいでしょ!!」

「師匠が悪いんです!!」

と何故か僕が怒られてしまった。


「で、結局お兄ちゃんはどっちを選ぶの?」
と聞かれ、まず何を競っているのかすら分からない僕は取り敢えずメリーに
「何を基準に何を決めれば良いのですか?」
と聞くと、メリーは何やら顔を赤くしてモジモジし始めた。



「どうかしたの?メリー」
なんで顔が赤くなったのか分からずメリーに聞いた時に

コンッコンッ!!

ドアがノックされ、それにノアが対応する
「はい。どうぞ」
ノアがそう言うと
「いえっ、ソフィアさんが話が終わったからみんなを読んできてと頼まれまして」
と言い、ディーン先生が入ってきて、僕達はディーン先生と一緒に学園長室に行った。



「話はどうなりましたか?」
と聞くと、ソフィア様はニコッと笑いながら
「明日の昼休みにアルベルト君とオーデン先生を交えて話をすることになったわ。」
とソフィア様は言った。それを聞きメリーは納得出来なかったらしくソフィア様に
「ですが、お兄ちゃんも襲われましたし、それにノアは凶器を突きつけられたんですよ!?それなのにどうしてっ」
とその後に言ってはいけない言葉を言いそうになるメリーに
「メリー、止めるんだ」
と言うが、それでもメリーは止まらず
「何で止めるの?お兄ちゃんは何にも思わないの?」
と聞かれ、なんと答えれば良いか分からず、はぐらかしていると
「えぇ、確かに情けないわね」
とソフィア様は言い卑屈な笑みを浮かべる、ここに来てやっと分かったのかメリーも黙り込んだ。



「まぁ、何はともあれ3人が無事で何よりですね?ソフィアさん?」
と暗い雰囲気を何とかしようとディーン先生が行動するが
「えぇ、本当に皆無事で良かった」
としかソフィア様は言わず、そこからは黙ってしまった。
(もう僕達に出来ることは何も無いな)
「ノア、お前はちゃんと分かってるな?」
ソフィア様に聞こえないように小さな声でノアに聞くと
「はい。師匠勿論です。」
とノアが返してくれない、これで安心して帰れると思い
「そろそろ僕とメリーは戻ります。」
とソフィア様に言う
「そうね、寮には私の方から連絡は入れておきますから2人とも気をつけてね」
と言ってはいるがその言葉からは生気が感じ取れなかった。



 ここで空気を読んだのかディーン先生が
「外は真っ暗だからね寮で送っていくよ」
と言い、親子の時間を作って僕達は学園長室から出た。



「ディーン先生、どこか教室を借りても良いですか?」
学園長室から出て少し歩いた後に聞くと、ディーン先生は
「別に構わないが、いったい何に使うんだい?」
と聞かれ、取り敢えず
「少しお嬢様とお話がありまして」
と僕が言うと、ディーン先生は苦笑いを浮かべて
「少しの間だけだからね」
と言って、教室の鍵を開けてくれた
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