カウンターアタック!

ムムム

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キックオフ

Episode 7

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翌日。大会で試合続きだったこともあり、ベンチ入りを果たした選手達は休みとなり、ベンチに入れなかった選手のみが召集された。

学校に向かう途中、前を歩く航平の姿が目に入った。見るからに重たそうなエナメルバッグを左肩に下げ、その重さを補うかのように右肩がガクンと下がっている。

「おはよ!!」

真琴がそういって航平に軽くタックルすると、航平はウワッといって大袈裟によろけ、壁にぶつかった。冴えない奴だ。

「ビックリしたぁ……、おはよう」

航平は気を取り直すかのようにトレーナーの袖を捲り、エナメルバッグをよいしょ、と背負い直した。

「そういや、来週の対戦相手ってどこだっけ?」
「確か監督言ってなかった気がするけど、まあ多分山藤サンドウ高校だと思うなぁ」
「山藤かあ、勝ちたいな」

山藤高校は館華高校の隣の駅に立地しており、戦力も互角なこともありしょっちゅう練習試合を組んでいる高校だ。館華と同じく、山藤も予選落ちが決定しているようだ。

「でも、監督は俺達を出すって言ってたよな……。先輩達いなかったら負けるっていうか……キツイんじゃない?」
「アホ!!」

航平の弱音に真琴はさっきよりも強めのタックルを食らわす。航平はまたもよろけて、壁に跳ね返った。

「アタシ達の力を見せるチャンスってことだ!あと6日間もあるし、練習すればアタシ達だって互角に戦える!」

意気込む真琴に参ったかのように、航平は苦笑いをして、
「そうだなぁ、でも俺ランはだよ」と弱気な返事をした。



--------------------


真琴達が着いた時、グラウンドには既にほとんどの部員が集まっていた。みんな気合の入りようは同じようだ。

「全員集合!」

監督の厳めしい声がかかり、招集された15人は監督を起点に素早く輪を作って集合した。

「練習前に試合相手の発表をする」

真琴は航平と顔を見合わせた。山藤との試合のときはいつもこんな風にかしこまって言ったりしないのに。なんとなく違和感を覚えながら監督の言葉を待った。

「今週末の練習試合の相手は、歩稀ホマレ学院だ。」

「歩稀」という名前を聞き、部員達は一斉にどよめいた。それもそのはず、歩稀学院は高校サッカー界でも有名な強豪シード校である。館華とはレベルが違う。いくら前向きな真琴も、動揺が隠せなかった。

「歩稀学院はみんな分かっている通り、強豪シード校だ。今年から地域の出場枠が大幅に増えたこともあり、シード校は我々一般高校よりも1ヶ月大会の開始が遅くなった。これにより_____」

監督は淡々と説明を続けたが、ああなるほど、と簡単に納得できる話ではない。なんせ歩稀学院は_____

「ちょ、でも歩稀学院って、去年の全国大会準優勝のとこですよね?よ、よりによって、なんで………」

真琴が口を開きかけたところを、航平が俯きながら弱々しくそのまま代弁した。

「両校の都合が合ったから試合を組んだ。練習の一環だ。それ以上の意味はない」

監督は一切表情を変えることなく言い放った。"練習の一環"か。そうだ、練習だ。歩稀学院相手に練習が出来るなんて、こんなに貴重なことないじゃないか。

「質問がなければすぐアップに移れ。特に"ベンチ外"は人一倍の練習が必要だ。時間を無駄にするな」

皆が納得できない面持ちで渋々動き始める中、真琴は気合十分だった。深呼吸をして、口を開いた。



「"ベンチ外"のアタシ達が歩稀学院と戦える機会なんて滅多にないんですよ!!かましてやりましょうよ、アタシ達の全力!!」

真琴は自分の胸を何度も拳で叩いて全員に訴えた。真琴の気合に折れたかのように、航平がまた「そうだなぁ」と弱々しく笑って走り始めた。他の部員の重い足取りも徐々に軽くなり、ジョギングし始めた。

そんな姿を見て、真琴は思わず口角が上がった。

_____よし、これからだ。



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