ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第34話 傭兵団全滅

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 森の中で四方八方から敵に襲われて、小隊はヘルモーズ傭兵団以外は壊滅状態になっている。
 何とか傭兵団の中に逃げ込んだものもいるが、すでに大けがを負っており、戦闘に参加する事は出来ないだろう。
 
 それにしても敵の動きが早い。おそらくは昨晩のうちに移動していたのだろうが、朝霧が濃くなることを知っていないと出来ない事だ。
 ここら辺の天候に詳しい地元民が協力しているのだろうか。

「団長! このままじゃジリ貧だ! 何とか包囲を突破しないと全滅だよ!」

「わかってる! 分かってるが敵の数が多すぎる! シュウト、何か手はないのか!?」

 全員が修斗の言葉を待っている。
 今までも不利な状況を修斗の作戦で切り抜けてきたため、今回も何とかならないかと期待しているのだ。

「今できる事と言えば、全力で逃げる事くらいですが、しかし……」

「しかし何だ!」

「恐らく他の味方も敵に襲われているでしょうから、行った先にも敵がいるはずです」

 こちら側は中央に主力を置いて、両脇をいくつもの小部隊で固め、敵を包囲する形を取っていた。
 事前情報では敵の兵力は自軍と大差は無かったが、恐らくは修斗達がいる部隊の反対、もう片翼も攻撃を受けているはずだ。
 修斗の様にすぐに防御陣形を取っていなければ、すでに全滅しているだろう。

 そして両脇からじわりじわりと中央を攻め、主力部隊を挟み撃ちにできる。

 今修斗達は何とか踏みとどまっているが、すでにほとんどの敵は中央へ向けて攻撃を開始している。
 たかが100名程度の傭兵団に割く兵力など少数でいいのだから。

「だから逆へ行きます。味方のいない方向へと逃げましょう!」

 修斗が剣で逃げる先を差すと、全員が一斉にその方向へと進みだす。
 完全に包囲されていたが、そこにしか血路けつろは無いとなると、死に物狂いで暴れるのだ。
 傭兵団の必死の抵抗で、何とか包囲網を突破できた。

 しかしその数は半数以下になっていた。

「くそったれがぁ! シュウト! お前の魔法で何とか出来なかったのか!?」

「グンデュラさん、僕の魔法ばかり当てにしないでください。魔法は集中力が必要なんです、あんな状況で使えるはずがないでしょう」

「……くそっ!」

 嘘だ。修斗は集中などしなくても魔法を使う事が出来る。
 しかし3人娘が迎えに来ており、この傭兵団にこだわる必要もなくなってしまったのだ。
 なのでここで終わるならそれでもいい、そう考えている。

「こんな何も見えない森の中に居られるか! 平原に行こうぜ!」

 そう言って数名が走り出す。
 確かに朝霧で何も見えない上に、森の中では足場も進路も分からない。
 その気持ちは理解できる、だが……。

「バカ野郎戻れ!」

 団長の言葉では止める事は出来なかった。
 走っていく数名の姿が霧で見えなくなると、暫くして悲鳴があがる。
 森から逃げ出す事なんて敵は想定済みだ。おそらく平野は霧が晴れているだろうから、出てきた敵を順番に仕留めればいいだけだ。

 修斗は何も言わずに森の中を歩きだす。
 味方が居る方向とは逆向きに、味方から離れるように歩いている。
 途中で偵察兵がいたが、見つかる前にナイフを投げて始末していたのだが、途中からは偵察兵ではなく普通の歩兵が歩きまわっていた。
 どうやら敵の部隊が近くにいる様だ。

 森の中を歩いていると、ゆっくりと霧が晴れていく。
 傭兵に動かないように指示を出すと、修斗は1人で先に進み木の陰に隠れた。

 どうやら森は終わりで、その先の平野で敵の本隊が駐留しているようだ。
 その数ざっと2万。確か敵の総数は10万ほどだったから、8万の兵を森の中に入れたのだろう。
 こちらの総数も10万だが、奇襲をするのなら8万でも多いだろう。

 こいつらをどうするか、全滅させるか、それとも放置して帰るか。
 そんな事を考えていたら森の中が騒がしくなる。

「離せ! この野郎が、俺に触るなって言ってんだよ!」

「おのれ、こんな場所でも伏兵をしてるとは……」

 どうやら傭兵団が捕らえられてしまった様だ。
 その様子を少し離れて見ているが、なぜかパメラ達3人娘も捕らえられていた。
 捕まった傭兵団は平野へと連れ出され、順番に並ばされる。

「ほほぅ、これはこれは、あの奇襲の中を生き残る奴が居るとはな。傭兵か? 面白い奴らだ、何という傭兵団だ?」

「ヘルモーズ傭兵団だ。捕まえたのならさっさと殺せ、命乞いをするほど落ちぶれてないんでね」

「そうだな、知らない名だが、イイ女を連れているな。おい、女を残して殺せ」

 敵兵は容赦なく男連中の首をねる。
 そして女に手を伸ばすのだが……。

「どうしてお前達まで掴まっている。手を出すなといったが、自己防衛くらいしろ」

 修斗が無防備に敵部隊側面の森の中から出てくる。
 突如として現れた少年を見て敵兵は武器を構えるが、修斗は全く意に介していない。

「え? ああそっか、それ位はいいよね」

 3人は腕を後ろで結ばれていたが、何事もなかったかのようにロープを外して手首をさすり、修斗の元へと走っていく。

「ところでどうするんですかシュウト様。傭兵団、女性を残して全滅してしまいましたが」

「構わんさ。どうせ俺の指示がなければとっくに死んでる連中だ」

「でも魔法戦を見る事は出来ませんでしたね」

「全くだ。おいお前ら、俺と魔法で戦わないか? 俺に勝てたらこの3人もやるぞ」

 3人娘を指差すと、敵兵たちはワルキューレ隊の生き残りと見比べる。

「残念だが両方貰う事にしよう!」

 そう言って全員で修斗に襲い掛かってきた。
 はぁ、と一つため息をつくと、炎の魔法を1つ放ち、敵の半数を灰にする。

「な!? なんだ今の巨大な火球は!!! まさか他にも魔法部隊が隠れているのか!!!」

 そんな者は居るはずもなく、修斗がデコピン感覚で使った魔法だ。
 そしてそんな修斗に恐れをなしたのか、3人娘を諦めてワルキューレ隊の生き残りだけを連れ去っていく。
 
「おいおい逃げるなよ。俺と戦えって言ってるんだ」

「逃げはしないさ。しかしもう戦えないのさ、なにせ……お前はもう逃げられないんだからな」

 上空から大量の矢が雨のように降り注いでくる。
 後方に待機していた弓兵が矢を放ったのだろう。
 まるで雲の様に矢で空が見えなくなるくらいに飛んでくるが、すでにバーバラが【万物を拒否する盾】を使っており、青い球体で守られた4人に矢が当たる事は……修斗が盾から外に出た。

「シュウト様!?」

「構わん、どうせ当たらないからな」

 矢が地面に刺さる。
 しかし矢の刺さっていない場所、人の形に地面が残っている。
 修斗が自分に当たる矢だけを破壊したのだ。

 それを見た敵兵は……ワルキューレ隊を犯し始めた。

「……なぜそうなる」

「だってシュウト、あんなの見せたら逃げられないって思うじゃないか。逃げられないなら、死ぬ前に女を抱きたいって思わないかい?」

「私にはその気持ちは分かりませんが、世界が滅びると知ったら、ほとんどの男性は女性を犯すと言われていますね」

「結局欲望を満たして、現実逃避をしたいだけなんでしょう」

「そういうモノか……つまらん」

 敵に興味が無くなり、ただ女が犯されているのを眺めている。

「いやだぁ!! シュウト! 助けてシュウト!」

「やめて! やめグッ! やめ……ギャー!」

 何も考えずにだた前と後ろにペニスをぶち込み、加減もせずに腰を振っている。
 手も足も引っ張られ、挿入できなかった男は胸を力の限り、引きちぎれるほどに引っ張っている。
 そんな風景があちこちで見られるが、修斗は興味なさげに空を見ていた。

「下らねぇ……下らねぇ人間どもだな」

 すっと腕を前に伸ばし、人差し指で敵兵を指差す。
 腕を左右に振ると、指先からは白く光る線が敵部隊を貫通する。
 と同時に敵兵は炎上し、ほぼ体が真っ二つに斬られている。

 約1億度のプラズマ化したレーザーだ。

 後ろを振り向き、まだ戦いが行われているであろう森を見る。

「俺が楽しめる状況というのは、中々難しいもんだな」

 右手を上にあげ、叩きつけるように振り下ろす。
 森が揺れ始める。
 森がうねり始め、木々が倒れて大地が盛り上がり、泡が弾けるように大地が破裂すると、巨大な穴が現れ、全てを大地が飲み込んでしまった。

「せめてもの情けだ。負け戦を引き分けにしてやる。おい、国に案内しろ」

 振り返る事無く歩く修斗の足元には、さっきまで修斗に助けを求めていた女の炭になった体が転がっていた。



 数日後、まだ王城は完成していないが、巨大な石造りの屋敷の最も広い部屋で、真っ赤なマントを付けた修斗は赤いカーペットの上を歩き、玉座に座る。
 玉座の左右にはパメラ・バーバラ・キャロラインが立ち、その正面には100人を超える男女が跪《ひざまず》いていた。

 頬杖ほおづえをつく修斗は、その景色を見てほくそ笑んでいた。
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