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第35話 修斗の国・ザナドゥ
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「シュウト、こいつらはアタイ達が探してきた連中だよ。男も女もそれなりに仕事が出来るから、好きなように使って」
玉座に座り頬杖をつく修斗に、パメラは嬉しそうに両手を広げ、跪く連中を紹介した。老若男女様々だが、3人のお眼鏡に叶ったのならば能力に問題は無いだろう。
その中から前に居た5人が立ち上がり、修斗の前に来ると頭を下げた。
「シュウト様、この5人は特に優秀で、この国を作るのに大変貢献した者です」
「お会いできて光栄ですシュウト様。私はウィリアム、騎士団団長を務めております。以後、お見知りおきを」
金属の鎧を全身にまとい、髪は水色で角刈り、歳は30過ぎ程の男は、もう一度深く頭を下げる。
「アタシはレベッカと申します。魔術を得意としており、魔術兵をまとめております。ここにシュウト様への忠誠を誓わせていただきます」
胸に右手を当て、軽く膝を曲げる。
額に金のサークレットを付け、耳のあたりで黒い髪が膨らんでいるショートヘアーの女は、全ての指に指輪をはめ、ネックレスやイヤリングなどの装飾品を多数身に着けている。服装も体のラインがよくわかる黒く短いワンピースにハイヒール、革のジャケットと全て派手だが、その全てに魔法効果が付与されている。歳は25程だろうか。胸は小ぶりだ。
鋭い目つきと細身の体から、気の強そうな女性に見える。
「ワタシはキャロルと申すモノです。え~っと内政・人事をタントウしているモノです。シュウトサマにお会いできて、とてもウレシイです」
少しカタコトの女は腰を90度に曲げて挨拶をした。
肌は薄い褐色、とても薄着で下着に毛が生えた程度の出で立ちだ。
癖っ毛で桃色の髪は程よく膨らみ肩より少し長く、左右の瞳の色は青と緑。腕と腹に刺青があり、何より目を引くのは巨大ともいえる胸だ。片方だけでも自らの顔程の大きさがあるが、張りがあるため垂れていない。歳は20前後だろうか。
大きな目でとても元気に微笑んでいる。人懐っこいのだろうか。
「僕はフローレンス。シュウト様にお会いできて恐悦至極。僕は主に都市開発をしていますから、必要な物があればいつでもお申し付けください」
1人称は僕だが、どうやら小柄な男装の麗人の様だ。
長い銀髪を後ろで纏め上げ、パッと見は短く見える。まるで演劇に出て来る貴族の様な出で立ちで、一挙手一投足が大げさだ。白い手袋に白いズボン、勲章が沢山付いた華美な燕尾服。しかしとても姿勢が良く、常に微笑んでいるためかとても好感が持てる。服の上からではサイズが分からないが、とても細身だ。
目は大きいが鋭く相手を見つめている。微笑んではいるが、相手を値踏みしているのだろうか。
「私めはビリーと申しますですハイ。基本的に雑用係でございますが、今は国民を増やす事に心血を注いでおりますですハイ」
男は長いシルクハットを手に取り、片足を後ろに下げて仰々しく頭を下げる。
左目だけのメガネを付け、燕尾服を着た年寄りだ。
「そうか、お前達には期待しているぞ。この国を更に大きく、世界一強く裕福な国にするんだ」
「ハッ!」
5人が口をそろえ、同時に頭を下げる。
5人だけでなく、その後ろに控える100人ほどの者達も頭を下げる景色を見て、修斗は笑いをこらえていた。
1度は国を支配をしておきながら、あきたからと捨てた修斗。
今更国を作って何をするのだろうか。
この場所は過去に国があったようだが、すでに滅んでしまい、最近までは密林となって忘れられた場所だった。
周囲には山が多く小さな川しかないため、繁栄はしなかったのかもしれない。
しかし考え方を変えれば山を利用して防衛でき、周囲には国が多いため人の流通も見込めた。
ではなぜどの国も開拓しなかったのか。
パメラ達3人には分からなかっただろうが、実はこの場所は魔の森と呼ばれており、大型から小型まで様々なモンスターがのさばっていたのだ。
そこを開拓するにはリスクが多く、いっそ森に封じ込めた方が楽だと考えられていたからだ。
それを3人は苦労しながらも開拓し、襲い掛かるモンスターを駆除してしまったのだ。
その噂は隣国ではとどまらず、ウワサがウワサを呼んで沢山の人が集まったのだ。
そして実際に目の当たりにし、師匠とあがめられ、その美貌に引き寄せられ、上手い蜜を吸おうとする者で一大勢力が出来上がった。
その中から能力が高く、3人が気に入った者がここに居る約100人だ。
有象無象は労働力として残っている。
開拓しながらモンスターを売りさばき、賞金を得、鉱山が見つかって更に人が集まり、開拓はみるみる進んでいった。
だが3人ならいざ知らず、他の人間にそんな事が可能なのか、という疑問もある。
実際に3人の仕事量に嫌気がさして逃げた者もいる。
だが苦労しながらも残った者には、バーバラ元聖女による祝福が与えられたのだ。
能力が底上げされ、心身ともに強化された者達は信じられない程の働きを見せた。
そしてわずか1年という期間で国としての形を整えてしまったのだ。
もちろん近隣諸国には既に根回しが済んでいる。
まだまだ足りない所の多い国だが、修斗が最初に行った事は、まだ名の無いこの国に名前を付ける事だった。
「そうだな……人々が目指す理想郷・ザナドゥと名付けよう」
「ザナドゥ……いい、名だね」
「ならばシュウト様が国王として治める国、ザナドゥ王国ですね!」
「ザナドゥ王国、シュウト国王の国、ザナドゥ王国バンザーイ!」
全員がザナドゥ王国万歳を叫び、修斗を称賛している。
片手をあげてその声にこたえる修斗だが、すでにその目は別の所を向いていた。
修斗が行った2つ目の仕事は……内政強化だった。
玉座に座り頬杖をつく修斗に、パメラは嬉しそうに両手を広げ、跪く連中を紹介した。老若男女様々だが、3人のお眼鏡に叶ったのならば能力に問題は無いだろう。
その中から前に居た5人が立ち上がり、修斗の前に来ると頭を下げた。
「シュウト様、この5人は特に優秀で、この国を作るのに大変貢献した者です」
「お会いできて光栄ですシュウト様。私はウィリアム、騎士団団長を務めております。以後、お見知りおきを」
金属の鎧を全身にまとい、髪は水色で角刈り、歳は30過ぎ程の男は、もう一度深く頭を下げる。
「アタシはレベッカと申します。魔術を得意としており、魔術兵をまとめております。ここにシュウト様への忠誠を誓わせていただきます」
胸に右手を当て、軽く膝を曲げる。
額に金のサークレットを付け、耳のあたりで黒い髪が膨らんでいるショートヘアーの女は、全ての指に指輪をはめ、ネックレスやイヤリングなどの装飾品を多数身に着けている。服装も体のラインがよくわかる黒く短いワンピースにハイヒール、革のジャケットと全て派手だが、その全てに魔法効果が付与されている。歳は25程だろうか。胸は小ぶりだ。
鋭い目つきと細身の体から、気の強そうな女性に見える。
「ワタシはキャロルと申すモノです。え~っと内政・人事をタントウしているモノです。シュウトサマにお会いできて、とてもウレシイです」
少しカタコトの女は腰を90度に曲げて挨拶をした。
肌は薄い褐色、とても薄着で下着に毛が生えた程度の出で立ちだ。
癖っ毛で桃色の髪は程よく膨らみ肩より少し長く、左右の瞳の色は青と緑。腕と腹に刺青があり、何より目を引くのは巨大ともいえる胸だ。片方だけでも自らの顔程の大きさがあるが、張りがあるため垂れていない。歳は20前後だろうか。
大きな目でとても元気に微笑んでいる。人懐っこいのだろうか。
「僕はフローレンス。シュウト様にお会いできて恐悦至極。僕は主に都市開発をしていますから、必要な物があればいつでもお申し付けください」
1人称は僕だが、どうやら小柄な男装の麗人の様だ。
長い銀髪を後ろで纏め上げ、パッと見は短く見える。まるで演劇に出て来る貴族の様な出で立ちで、一挙手一投足が大げさだ。白い手袋に白いズボン、勲章が沢山付いた華美な燕尾服。しかしとても姿勢が良く、常に微笑んでいるためかとても好感が持てる。服の上からではサイズが分からないが、とても細身だ。
目は大きいが鋭く相手を見つめている。微笑んではいるが、相手を値踏みしているのだろうか。
「私めはビリーと申しますですハイ。基本的に雑用係でございますが、今は国民を増やす事に心血を注いでおりますですハイ」
男は長いシルクハットを手に取り、片足を後ろに下げて仰々しく頭を下げる。
左目だけのメガネを付け、燕尾服を着た年寄りだ。
「そうか、お前達には期待しているぞ。この国を更に大きく、世界一強く裕福な国にするんだ」
「ハッ!」
5人が口をそろえ、同時に頭を下げる。
5人だけでなく、その後ろに控える100人ほどの者達も頭を下げる景色を見て、修斗は笑いをこらえていた。
1度は国を支配をしておきながら、あきたからと捨てた修斗。
今更国を作って何をするのだろうか。
この場所は過去に国があったようだが、すでに滅んでしまい、最近までは密林となって忘れられた場所だった。
周囲には山が多く小さな川しかないため、繁栄はしなかったのかもしれない。
しかし考え方を変えれば山を利用して防衛でき、周囲には国が多いため人の流通も見込めた。
ではなぜどの国も開拓しなかったのか。
パメラ達3人には分からなかっただろうが、実はこの場所は魔の森と呼ばれており、大型から小型まで様々なモンスターがのさばっていたのだ。
そこを開拓するにはリスクが多く、いっそ森に封じ込めた方が楽だと考えられていたからだ。
それを3人は苦労しながらも開拓し、襲い掛かるモンスターを駆除してしまったのだ。
その噂は隣国ではとどまらず、ウワサがウワサを呼んで沢山の人が集まったのだ。
そして実際に目の当たりにし、師匠とあがめられ、その美貌に引き寄せられ、上手い蜜を吸おうとする者で一大勢力が出来上がった。
その中から能力が高く、3人が気に入った者がここに居る約100人だ。
有象無象は労働力として残っている。
開拓しながらモンスターを売りさばき、賞金を得、鉱山が見つかって更に人が集まり、開拓はみるみる進んでいった。
だが3人ならいざ知らず、他の人間にそんな事が可能なのか、という疑問もある。
実際に3人の仕事量に嫌気がさして逃げた者もいる。
だが苦労しながらも残った者には、バーバラ元聖女による祝福が与えられたのだ。
能力が底上げされ、心身ともに強化された者達は信じられない程の働きを見せた。
そしてわずか1年という期間で国としての形を整えてしまったのだ。
もちろん近隣諸国には既に根回しが済んでいる。
まだまだ足りない所の多い国だが、修斗が最初に行った事は、まだ名の無いこの国に名前を付ける事だった。
「そうだな……人々が目指す理想郷・ザナドゥと名付けよう」
「ザナドゥ……いい、名だね」
「ならばシュウト様が国王として治める国、ザナドゥ王国ですね!」
「ザナドゥ王国、シュウト国王の国、ザナドゥ王国バンザーイ!」
全員がザナドゥ王国万歳を叫び、修斗を称賛している。
片手をあげてその声にこたえる修斗だが、すでにその目は別の所を向いていた。
修斗が行った2つ目の仕事は……内政強化だった。
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