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第2章 ザナドゥ王国
第67話 終わらない戦争
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ゲーベルク軍が崩壊し、残党狩りが行われている頃、ウィリアム騎士団長とレベッカ魔法兵長の部隊だけを残し、他は城へと戻っていた。
「メナストーン国へ行く準備は終わっているな?」
「は! 今すぐにでも出発する事が可能となっております」
謁見の間では重鎮7人と、関係がありそうな大臣たちが集まっていた。
フローレンス都市開発長の答えを聞くと、修斗は玉座から立ち上がり、手を開いて大きく前に差し出した。
「ではメナストーン国へは、キャロラインとフローレンス都市開発長が向かえ! 何なら鉱山開発だけでなく、一気に活気を取り戻させてもいいぞ!」
「承りました。身命を賭して、メナストーン国に繁栄をもたらしましょう」
「承知いたしました。僕の全能力をかけて、メナストーン国を豊かにしてご覧に入れます」
キャロラインとフローレンス都市開発長が右手を胸に当て、軽く頭を下げた。
キャロラインは修斗の横から、フローレンス都市開発長は玉座の前から謁見の間を後にする。
その後を、深々と頭を下げて付いて行くミュゼウス。
「ゲーベルク軍はどうなっている」
「は、シュウト殿。ゲーベルク軍は現在首都まで後退を始めました。ウィリアム騎士団長とレベッカ魔法兵長はそれを追い、途中にある街を占拠しています」
ハイエルフのカーリンが報告をしたが、敵はちりじりになり、すでに組織だった行動はとれていない。
狩り放題……言い方は悪いが、そんな状態になっている。
「随分と早いな。ゲーベルク軍は逃げ足だけは良いようだ」
「今後の指示を仰ぎたいと連絡が来ておりますが、どうされますか?」
「そうだな……よし、全ての街を占拠し、首都だけを残せ。敵の補給路を全て絶ち、持久戦に持ち込め」
「持久戦、ですか?」
「そうだ。面白い遊びを思いついたからな」
遊び、修斗は戦争を娯楽と捉えており、相手が降伏をしても、自分の気が済むまで許さないつもりのようだ。
その遊びは残酷の一言に尽きるものだった。
当日にはメナストーン国への支援部隊が出発したのだが、大量の物資と大量の人材を乗せた馬車の数は100を超えていた。
修斗にしては効率の悪い事をしているようだが、これには意味があった。
通過する国々に、ザナドゥ王国の力を見せつけるためだ。
ザナドゥ王国と友好を結べば、これだけの支援を受ける事が出来る。
なのでわざわざキャロラインを向かわせたのだ。
元王族であり、重鎮トップ3の1人として知名度のある者を向かわせることで、最大限の協力を約束する事を見せるためだ。
これはゲーベルク軍国家を壊滅させた場合、恐怖だけではなく、慈悲がある事のアピールにも使える。
大名行列のように堂々と進み、街では一番位の高い宿に泊まり、惜しげもなく金を落としていく。
他国の市民にもいい宣伝になる様だ。
そして10日以上かけて、ようやくメナストーン国へと到着した。
メナストーン国では王族総出で出迎えたのだが、確かに王族がやせ細っていた。
ザナドゥ王国でいい食事を食べていたミュゼウスが太って見えるほどに。
「お父様! お母様! ザナドゥ王国の方々をお連れしました!」
「え? ミュゼウスなのか? 見違えたよ、随分とキレイになったね」
「ええお父様。シュウト陛下や重鎮の方々が、とてもよくしてくださいましたから」
「始めましてアッテルバード陛下。私はキャロライン。ザナドゥ王国、シュウト様に仕える1人でございます」
「初めまして陛下。僕はフローレンスと申します。以後、お見知りおきを」
「おお、おお! よくぞ来てくださいました! ありがとう、ありがとうございます!」
メナストーン国で2人が歓迎されている頃、戦場では動きがあったようだ。
遂にゲーベルク軍国家が降伏の使者を出したのだ。
領地は首都を残して全てザナドゥ王国に占領され、わずか2000名程の兵で包囲をされただけで、全ての補給路が絶たれたのだ。
すでに城の備蓄は残り少なく、このままでは飢え死にしてしまうのだ。
だが降伏の使者がゲーベルク軍国家に戻る事は無かった。
返事が返ってこないからと、何人もの使者を出したのだが、ザナドゥ王国からは何の返事もなく、やはり使者が帰ってくる事は無かった。
「メナストーン国へ行く準備は終わっているな?」
「は! 今すぐにでも出発する事が可能となっております」
謁見の間では重鎮7人と、関係がありそうな大臣たちが集まっていた。
フローレンス都市開発長の答えを聞くと、修斗は玉座から立ち上がり、手を開いて大きく前に差し出した。
「ではメナストーン国へは、キャロラインとフローレンス都市開発長が向かえ! 何なら鉱山開発だけでなく、一気に活気を取り戻させてもいいぞ!」
「承りました。身命を賭して、メナストーン国に繁栄をもたらしましょう」
「承知いたしました。僕の全能力をかけて、メナストーン国を豊かにしてご覧に入れます」
キャロラインとフローレンス都市開発長が右手を胸に当て、軽く頭を下げた。
キャロラインは修斗の横から、フローレンス都市開発長は玉座の前から謁見の間を後にする。
その後を、深々と頭を下げて付いて行くミュゼウス。
「ゲーベルク軍はどうなっている」
「は、シュウト殿。ゲーベルク軍は現在首都まで後退を始めました。ウィリアム騎士団長とレベッカ魔法兵長はそれを追い、途中にある街を占拠しています」
ハイエルフのカーリンが報告をしたが、敵はちりじりになり、すでに組織だった行動はとれていない。
狩り放題……言い方は悪いが、そんな状態になっている。
「随分と早いな。ゲーベルク軍は逃げ足だけは良いようだ」
「今後の指示を仰ぎたいと連絡が来ておりますが、どうされますか?」
「そうだな……よし、全ての街を占拠し、首都だけを残せ。敵の補給路を全て絶ち、持久戦に持ち込め」
「持久戦、ですか?」
「そうだ。面白い遊びを思いついたからな」
遊び、修斗は戦争を娯楽と捉えており、相手が降伏をしても、自分の気が済むまで許さないつもりのようだ。
その遊びは残酷の一言に尽きるものだった。
当日にはメナストーン国への支援部隊が出発したのだが、大量の物資と大量の人材を乗せた馬車の数は100を超えていた。
修斗にしては効率の悪い事をしているようだが、これには意味があった。
通過する国々に、ザナドゥ王国の力を見せつけるためだ。
ザナドゥ王国と友好を結べば、これだけの支援を受ける事が出来る。
なのでわざわざキャロラインを向かわせたのだ。
元王族であり、重鎮トップ3の1人として知名度のある者を向かわせることで、最大限の協力を約束する事を見せるためだ。
これはゲーベルク軍国家を壊滅させた場合、恐怖だけではなく、慈悲がある事のアピールにも使える。
大名行列のように堂々と進み、街では一番位の高い宿に泊まり、惜しげもなく金を落としていく。
他国の市民にもいい宣伝になる様だ。
そして10日以上かけて、ようやくメナストーン国へと到着した。
メナストーン国では王族総出で出迎えたのだが、確かに王族がやせ細っていた。
ザナドゥ王国でいい食事を食べていたミュゼウスが太って見えるほどに。
「お父様! お母様! ザナドゥ王国の方々をお連れしました!」
「え? ミュゼウスなのか? 見違えたよ、随分とキレイになったね」
「ええお父様。シュウト陛下や重鎮の方々が、とてもよくしてくださいましたから」
「始めましてアッテルバード陛下。私はキャロライン。ザナドゥ王国、シュウト様に仕える1人でございます」
「初めまして陛下。僕はフローレンスと申します。以後、お見知りおきを」
「おお、おお! よくぞ来てくださいました! ありがとう、ありがとうございます!」
メナストーン国で2人が歓迎されている頃、戦場では動きがあったようだ。
遂にゲーベルク軍国家が降伏の使者を出したのだ。
領地は首都を残して全てザナドゥ王国に占領され、わずか2000名程の兵で包囲をされただけで、全ての補給路が絶たれたのだ。
すでに城の備蓄は残り少なく、このままでは飢え死にしてしまうのだ。
だが降伏の使者がゲーベルク軍国家に戻る事は無かった。
返事が返ってこないからと、何人もの使者を出したのだが、ザナドゥ王国からは何の返事もなく、やはり使者が帰ってくる事は無かった。
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