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第3章 異世界召喚
第80話 ステータス・オールマックス
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「大魔王軍の前線基地? そんな物が近くにあって、町は大丈夫なのか?」
「そこは兵力を集中させておりますので、今すぐどうにかなると言う事はございません」
大魔王軍が近くにあって大丈夫なのだろうか。
そもそも勇者は生贄として捧げられるらしいから、そのまま大魔王軍に差し出すつもりではないだろうか。
そんな疑問もあるが、それよりももっと不思議な事がある。
勇者など呼ばなくても、人間らしき者を差し出したらどうなのか。
そもそも、勇者より強い者が沢山いるこの世界で、大魔王を倒せないモノなのか、だ。
この世界の平均能力は圧倒的に高い。
修斗の元の世界なら、中堅冒険者ですら達人どころの騒ぎではない。
そんなに強いものが多い世界で、大魔王を倒せないのだろうか。
「大魔王軍って~のはよォ~、俺達でも倒せる相手なのかぁ? あ~ん?」
「その前線基地には大した戦力がおりません。偵察がメインの魔物ばかりです。なので今のあなた方ならば、問題は無いと存じます」
なるほど、戦闘員ではなく偵察兵ならさほど強くは無いだろう。
それならば初めての大魔王軍との戦闘として丁度良く、敵を知るチャンスにもなる。
「しかしだな、この装備で大丈夫なのか? 俺の大剣はもう切れ味が悪いぞ」
「私の剣と盾もですよ。そろそろ装備を新調したいのですが」
「あ、私も刀を替えたい」
「それには……同意します」
「それでしたら、向こうの街で買い替えるとよいでしょう。冒険者も沢山いるので、店には沢山の武具が売られておりますから。資金はお渡しいたします」
現地調達をしろ、と言う事らしい。
確かに城にある装備は兵士や騎士団が使う物だし、今の6人に合うものは無いかもしれない。
「それで、今から行けばいいのか?」
「出来れば今日中に出立して頂ければと。馬車も用意してありますし、向こうでは皆様の到着を待っておりますので」
馬車に乗って城を出る。
馬車は4台あり、1台には修斗とアイカ、ヴァージニアがのり、残り3台にはそれぞれ男勇者と女が乗っている。
御者とメイドもいるので、基本的に移動中は何もやる事が無い。
女勇者2人を回した日、流石に男3人の落ち込みが激しかったため、修斗がそれぞれの好みを聞いてナンパしてきたのだ。
ウェズは人間タイプのお水っぽいお姉さん、ウィークエンドは人間寄りの背の低い巨乳牛タイプ、ラングレンはアイカと同じタイプだ。
特にラングレンはアイカで童貞を卒業したらしく、毎日猿のようにやりまくっているようだ。
修斗がナンパをしたさい、何故か沢山の女性に囲まれたりもしたが、2足歩行の動物タイプ以外はお持ち帰りをした様だ。
「ん? どうした、そんなに見つめて」
「その、さ、シュウト君って強いでしょ? なのになんで偉そうにしないのかなって」
「偉そうにしてないか?」
「部活だと、強くもない先輩がすっごく偉そうにしてた。あ、部活っていうのはね」
「知ってる。俺も元日本人だからな」
「え、そうなの? ハーフか何か?」
「純血の日本人だ」
「ウソ!? 本当!? シュウト君が日本に居たら、絶対にテレビに出ると思うのに!」
日本にいた頃の修斗と今の修斗は、見た目からして違う。
それを説明するのも面倒なので、適当に話を作る事にした。
「あまり表に出るのは好きではないからな、全て断っていた」
「ふ~ん、勿体ない」
「それよりもアイカ、着くまで暇だ、服を脱げ。ヴァージニアもだ」
修斗に言われていそいそと服を脱ぐ2人。
欲望を満たしたい事もあるが、今は2人の能力を上げる事が先だ。
今の2人の能力で高い物は600を超えた。
目的の町に着くまでには、限界まで上げておきたいのだろう。
この世界でのお気に入りを、簡単に失いたくないからだが。
そもそも戦力にならない女を連れて歩くと、事あるごとに悲鳴を上げて面倒なようだ。
動くのが面倒な時に、修斗の代わりに動く手足にもなる。
そして町に着いたのは10日以上が過ぎてからだった。
女勇者2人の能力は、全て限界値、999になっていた。
そう、この世界では能力の限界があるのだ。
修斗は最初から限界を超えた能力があったから適応されなかったが、限界値以下の者はは999までしか上がらない。
これが世界の法則なのか、別のモノによる限界なのかは分からない。
しかしこれだけあれば、こちらの冒険者に後れを取る事は無いだろう。
それはギルドに入った時の反応でもわかる。
「いらっしゃいませ! 勇者様ご一行ですね、プレートの提示をお願いします」
男4人が先に渡し、内容を確認される。
そして女2人が渡した時、受付嬢が大声を上げた。
「ええ!!! す、ステータス、オールマックス!?!?!?」
ギルド内がざわめく。
修斗が見た限りでは、冒険者で最も能力が高かったものでも最高800と少し。
それも得意分野のみだから、全て999というのは異例中の異例なのだ。
「お、おいおい、あのねーちゃん達、勇者様じゃないのか?」
「しらねーよ、ひょっとしたら国の秘蔵っ子かもしれないな」
あちこちでヒソヒソ話が聞える。
やはりオールマックスというのは初めてなのだろう。
「ぷ、プレートをお返しします。えーっと、えーっと、あの、お願いしたい依頼があるのですが、お受け願えませんか?」
とても下手に出て来る受付嬢。
先ほどとは随分と態度が違う。
「え? でも私達、大魔王軍と戦うために来たから……」
「大丈夫です! 間接的には大魔王軍関連ですし、お二人ならきっとすぐに終わりますから!」
6人居るのだが、受付嬢の目には2人しか見えていないようだ。
「しゅ、シュウト君~、どうしよ~」
「直ぐに終わるのなら構わんだろう。報酬も高いだろうからな」
「はい! それはもう期待してください!」
「ご主人様がそう言うのなら……受けてもいい」
「ありがとうございます! ではこの依頼書をご覧ください」
嬉しそうに引き出しから1枚の紙を取り出す。
そこにはこう書かれている。
~~依頼書~~
大魔王軍により川がせき止められ、町への
水の供給が絶たれようとしています。
早急に大魔王軍を追い払い、水路の確保を
お願いします。
予想される敵戦力は不明。
報酬:1000万G
「そこは兵力を集中させておりますので、今すぐどうにかなると言う事はございません」
大魔王軍が近くにあって大丈夫なのだろうか。
そもそも勇者は生贄として捧げられるらしいから、そのまま大魔王軍に差し出すつもりではないだろうか。
そんな疑問もあるが、それよりももっと不思議な事がある。
勇者など呼ばなくても、人間らしき者を差し出したらどうなのか。
そもそも、勇者より強い者が沢山いるこの世界で、大魔王を倒せないモノなのか、だ。
この世界の平均能力は圧倒的に高い。
修斗の元の世界なら、中堅冒険者ですら達人どころの騒ぎではない。
そんなに強いものが多い世界で、大魔王を倒せないのだろうか。
「大魔王軍って~のはよォ~、俺達でも倒せる相手なのかぁ? あ~ん?」
「その前線基地には大した戦力がおりません。偵察がメインの魔物ばかりです。なので今のあなた方ならば、問題は無いと存じます」
なるほど、戦闘員ではなく偵察兵ならさほど強くは無いだろう。
それならば初めての大魔王軍との戦闘として丁度良く、敵を知るチャンスにもなる。
「しかしだな、この装備で大丈夫なのか? 俺の大剣はもう切れ味が悪いぞ」
「私の剣と盾もですよ。そろそろ装備を新調したいのですが」
「あ、私も刀を替えたい」
「それには……同意します」
「それでしたら、向こうの街で買い替えるとよいでしょう。冒険者も沢山いるので、店には沢山の武具が売られておりますから。資金はお渡しいたします」
現地調達をしろ、と言う事らしい。
確かに城にある装備は兵士や騎士団が使う物だし、今の6人に合うものは無いかもしれない。
「それで、今から行けばいいのか?」
「出来れば今日中に出立して頂ければと。馬車も用意してありますし、向こうでは皆様の到着を待っておりますので」
馬車に乗って城を出る。
馬車は4台あり、1台には修斗とアイカ、ヴァージニアがのり、残り3台にはそれぞれ男勇者と女が乗っている。
御者とメイドもいるので、基本的に移動中は何もやる事が無い。
女勇者2人を回した日、流石に男3人の落ち込みが激しかったため、修斗がそれぞれの好みを聞いてナンパしてきたのだ。
ウェズは人間タイプのお水っぽいお姉さん、ウィークエンドは人間寄りの背の低い巨乳牛タイプ、ラングレンはアイカと同じタイプだ。
特にラングレンはアイカで童貞を卒業したらしく、毎日猿のようにやりまくっているようだ。
修斗がナンパをしたさい、何故か沢山の女性に囲まれたりもしたが、2足歩行の動物タイプ以外はお持ち帰りをした様だ。
「ん? どうした、そんなに見つめて」
「その、さ、シュウト君って強いでしょ? なのになんで偉そうにしないのかなって」
「偉そうにしてないか?」
「部活だと、強くもない先輩がすっごく偉そうにしてた。あ、部活っていうのはね」
「知ってる。俺も元日本人だからな」
「え、そうなの? ハーフか何か?」
「純血の日本人だ」
「ウソ!? 本当!? シュウト君が日本に居たら、絶対にテレビに出ると思うのに!」
日本にいた頃の修斗と今の修斗は、見た目からして違う。
それを説明するのも面倒なので、適当に話を作る事にした。
「あまり表に出るのは好きではないからな、全て断っていた」
「ふ~ん、勿体ない」
「それよりもアイカ、着くまで暇だ、服を脱げ。ヴァージニアもだ」
修斗に言われていそいそと服を脱ぐ2人。
欲望を満たしたい事もあるが、今は2人の能力を上げる事が先だ。
今の2人の能力で高い物は600を超えた。
目的の町に着くまでには、限界まで上げておきたいのだろう。
この世界でのお気に入りを、簡単に失いたくないからだが。
そもそも戦力にならない女を連れて歩くと、事あるごとに悲鳴を上げて面倒なようだ。
動くのが面倒な時に、修斗の代わりに動く手足にもなる。
そして町に着いたのは10日以上が過ぎてからだった。
女勇者2人の能力は、全て限界値、999になっていた。
そう、この世界では能力の限界があるのだ。
修斗は最初から限界を超えた能力があったから適応されなかったが、限界値以下の者はは999までしか上がらない。
これが世界の法則なのか、別のモノによる限界なのかは分からない。
しかしこれだけあれば、こちらの冒険者に後れを取る事は無いだろう。
それはギルドに入った時の反応でもわかる。
「いらっしゃいませ! 勇者様ご一行ですね、プレートの提示をお願いします」
男4人が先に渡し、内容を確認される。
そして女2人が渡した時、受付嬢が大声を上げた。
「ええ!!! す、ステータス、オールマックス!?!?!?」
ギルド内がざわめく。
修斗が見た限りでは、冒険者で最も能力が高かったものでも最高800と少し。
それも得意分野のみだから、全て999というのは異例中の異例なのだ。
「お、おいおい、あのねーちゃん達、勇者様じゃないのか?」
「しらねーよ、ひょっとしたら国の秘蔵っ子かもしれないな」
あちこちでヒソヒソ話が聞える。
やはりオールマックスというのは初めてなのだろう。
「ぷ、プレートをお返しします。えーっと、えーっと、あの、お願いしたい依頼があるのですが、お受け願えませんか?」
とても下手に出て来る受付嬢。
先ほどとは随分と態度が違う。
「え? でも私達、大魔王軍と戦うために来たから……」
「大丈夫です! 間接的には大魔王軍関連ですし、お二人ならきっとすぐに終わりますから!」
6人居るのだが、受付嬢の目には2人しか見えていないようだ。
「しゅ、シュウト君~、どうしよ~」
「直ぐに終わるのなら構わんだろう。報酬も高いだろうからな」
「はい! それはもう期待してください!」
「ご主人様がそう言うのなら……受けてもいい」
「ありがとうございます! ではこの依頼書をご覧ください」
嬉しそうに引き出しから1枚の紙を取り出す。
そこにはこう書かれている。
~~依頼書~~
大魔王軍により川がせき止められ、町への
水の供給が絶たれようとしています。
早急に大魔王軍を追い払い、水路の確保を
お願いします。
予想される敵戦力は不明。
報酬:1000万G
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