ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第3章 異世界召喚

第82話 勇者5人対マーマン100

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「ね、ねぇヴァージニア、敵の数、多くない?」

「目測で約100程……5対100」

 ダムの水の中から出てきたマーマンの数は多かった。
 ちなみにマーマンの能力で最も高いのが素早さの800前後で、他は500前後だ。
 なのでアイカ、ヴァージニアならば問題はないが、男勇者の3人は1対1が良い所だ。

 つまり……。

「う、鱗ぉ! 鱗に矢が通らねぇ~~~~~!!!」

「ぐ! 数が多すぎるぞ」

「おのれ魚の分際で! ぐわ!」

 と、予想通りに男は役に立っていない。
 アイカとヴァージニアは問題なく立ち回っているが、実質2対100なので、かなり手こずっている。

「ふ! は! やぁ!」

 アイカは日本刀の様な剣を持っているが、マーマンの持つ三又のもりを踏みこみながらギリギリでかわし、勢いを付けたまま切り倒していく。
 どうやら柳生やぎゅう新陰流しんかげりゅうというのは1対多数を想定した流派の様で、動きを止めず攻撃を続ける、攻防一体の流派のようだ。

「臭い……あっち行け」

 ヴァージニアは短剣2本を使っているが、銛を1本で受け流し、もう1本で胸を刺している。
 小柄なせいか、自分より随分と大きいマーマンを相手に、細かく移動をしながら戦っているようだ。

 さて、男勇者の武器は効かないのに、女勇者の武器は効いている。
 どうやら修斗、2人の武器を改造したようだ。

 相変わらず雑に各項目にゼロを追加した様で、その能力は10倍になっていた。
 店でまとめて安売りされていた剣が、今は鍵付きの棚に飾られるレベルになっている。
 見た目は変わっていないが。

「ふむ……ステータスの数値以上に能力差があるように見えるな。スキルによるモノか? それとも数値が高くなると、1の差が大きくなっていくのかな?」

 能力が高くなっていくと、1上げるのが非常に難しくなる。
 その難しさの分、1という数字の差が大きくなっていくのかもしれない。
 加えて2人はスキルのLVも高くなっているので、数値以上に実力差があるのだろう。

 アイカとヴァージニアの奮闘により、マーマンの数は半数近くまで減らされた。
 しかし体力が無くなってきたのか、2人の動きが鈍くなっている。
 さらには男勇者の3人の体には、もりが数本刺さっている状況だ。

「ここまでかな」

 今まで静観していた修斗だが、まだ利用価値のある男勇者を殺させるわけにはいかず、ましてや女勇者を自分以外がなぶるるのを見ていられなかったようだ。

 聖騎士パラディンラングレンの足に、マーマンの銛が突き刺さる。
 
「ぐあぁ!!! くそっ! 鎧が全く意味ないじゃないか! 安物なのは分かっていたが、ここまでとは」

 そんなラングレンの側に立ち、血だらけのラングレンから無造作に銛を抜く。

「!?!!! きっ! 君は! 君はどこまで私を苦しめる気だ!」

「黙れ。生きていれば後で治療してやる。せめて武器の調達くらいさせろ」

 声にならない悲鳴を上げたが、何とか意識は保てたようだ。
 しかし抜かれた場所からは、血が大量に流れ出ている。
 銛には返しが付いていたのだから、傷口が非常に汚い。

「武器はこうやって使うんだ」

 銛を上段で構え、やり投げの要領でマーマン目がけて投げつける。
 銛はマーマンを貫通し、衝撃波で大きな穴が開いている。
 その後ろにいたマーマンを数匹を巻き添えにした様だ。

 またラングレンから銛を抜き、順番に投げつけて行くのだが……マーマンの数は確かに減らすことが出来た。
 しかしラングレンの意識も確実に薄れて行った。
 すでに悲鳴を上げる力すらなく、立っているのが不思議なくらいだ。

「次はこっちか」

 モヒカンのウェズだが、弓を使っているがすでに弓は折れ、数少ない矢で何とか応戦していた。
 体には当たり前のように銛が刺さっている。

「お、おぅおぅおぅおぅ! 俺の銛も抜くつもりかぁ? あ~ん?」

「よくわかったな。まだ頭は動いているようで安心した」

 銛を抜き投げつける。また抜いて投げつける。
 しかし……悲鳴が聞こえてこない。
 ウェズを見ると、涙を浮かべながらプルプル震えていた。

「くっそいてぇよぉ……あの魚共めがぁ、焼いて食ってやるからなぁ~まってろよぉ~、あ~ん?」

 意外と気丈な男だった。
 続いてはドレッドヘアーのウィークエンドだが……一番銛が刺さっている数が多い。
 大剣が仇となり、動きが鈍いため良い的になったようだ。

「全部抜いたら死にそうだな。安心しろ、牛女も貰っておいてやる」

「ふざっ……けんな。カシガンだけは渡さん……」

 どうやら牛女の名前のようだが、そういえば修斗は名前を知らなかったのを思い出した。
 まとめてナンパした女の1人でしかないため、大して興味はないようだ。

「ま、渡したく無ければ死ぬな」

 そして意地悪く数本をまとめて抜き、ウィークエンドは大きな悲鳴を上げる。
 最後の1本を抜き、逃げようとする数匹のマーマンをまとめて串刺しにすると、残りは1匹になった。

「どうする? お前達3人で倒してみるか?」

 残り1匹の頭を引っ掴み、引きずりながら連れて来る。
 やられっぱなしで、修斗にまでからかわれたので、3人は随分とイライラが募っていたようだ。
 死にそうな顔をしていたのに、目に生気が宿ってくる。

「ほら」

 3人に向けて放り投げると、ウィークエンドが大剣で串刺しにし、ラングレンは頭の横から剣を刺す。
 武器の無いウィズは石を手にして殴っている。

 すぐにピクリとも動かなくなり、2人がマーマンを地面にたたきつけるように剣を抜く。
 何とか倒せた安心感からか、3人は意識を失ってしまった。

 修斗は3人に回復魔法をかけると、ダムの上からゆっくりと破壊を始める。
 川に水が流れるように少しずつ巨大な火炎弾マファーバのレーザーでダムを削り、時間をかけて半分の高さまで破壊する事が出来た。

「ねぇシュウト君。シュウト君って魔法使いだよね? 魔法使いって武器も使えるの?」

「俺は魔法も剣も使える。あのブタ女が俺のスキルを見て、勝手に魔法使いと勘違いをしただけだ」

「ご主人様は……何でもできるんですね」

 3人が意識を回復するまで、のんびりとダムを破壊し、それが終わるとマーマンを焼いて食べ始める。
 どうやら……結構美味いようだ。
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