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第3章 異世界召喚
第92話 限界解除《リミッターリリース》
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要塞の内部を6人の騎士達が走っている。
しかしその道は死へ向かう道。
矢印のようにな形の広間を進み、先の細くなった場所から次の道へ進もうとするが、そのまま素通りする事は魔族が許さなかった。
相変わらず壁の上と穴から矢と魔法が降り注ぎ、6人の騎士はあっという間にハリネズミにされる。
「ああっ! 騎士団長さん!」
アイカが必死に手を伸ばすが、その手は矢に遮られる。
5人はさっきと同じように壁を駆け上り、壁上部の魔物を倒し始める。
見る見る敵の数が減っていくが、修斗は難しい顔で騎士団長へと近づく。
「おい、騎士団ってのはバカの集まりなのか? そんな事をしたって勝てないのは分かっているはずだ」
「ごふっ! ふ、ふふふ、ここ……まで来たのなら、進むしか……あるまい? 勇者よ」
口から血を吐きながら、必死に言葉を絞り出す騎士団長。
しかしすでに体は動かず、生きているのが不思議な状態だ。
「お前、まさか最初から俺達を当てにしていたのか?」
「騎士団では……魔物にはか、勝てん。ならば……勝てる者に、託すしかある、まい」
広間の魔族を掃討し終わった5人が近寄って来る。
そして騎士団長の最後の言葉を聞いた。
「勇者たちよ……お前達は、今までの勇者、とは、違うようだ……町を……世界を、た、たのむ……」
目を開けたまま、勇者たちを見たまま息を引き取った。
ラングレンが騎士団長の目を静かに閉じさせると、手を組んで祈りをささげる。
しかし修斗の様子がおかしい。小さく体を震わせ、うつ向いている。
「ご主人……様?」
「くっそカス野郎が、死に際になって人を頼ってんじゃねーぞ」
「シュウト君?」
「はぁ、死に際に言われて無視したら、俺が極悪人だろうが」
「あ~ん? てめーは極悪人だろうが」
「極悪人だな」
「うむ、極悪人だ」
「ちょ!? ちょっとみんな! シュウト君に酷くない!?」
「ご主人様は……いい人だよ?」
「俺が極悪人なら、お前らはもう死んでるんだがな?」
「俺達は利用できる駒だぞ? お前は頭のキレる極悪人だ。自分の利益を優先するからな」
「頭の切れる極悪人は、我々を殺す事などしない」
「お前らはアホボケだな。その理論で行くと、利用できなくなったら死ぬんだぞ?」
「ふっざけんな。俺様たちはなぁ、死にたくねぇ~んだよぉ。だから必死こいて生きてんだぞぉ、あ~ん?」
どうやら男勇者たち、自分に利用価値がある限りは修斗に殺されない、そう考えているようだ。
だからこそ必死に戦い、努力は怠らなかったのだろう。
そういえばかなりの訓練をしていたし、戦闘でも必死だった。
「だが残念だったな。恐らくこの先は、お前達がどうあがいても勝てない奴が相手だぞ?」
「え!? この武器と防具があってもダメなの?」
「ここのボス魔物の能力を教えてやろう。力強さが7千以上ある」
全員の動きが止まる。
すでにステータスオールマックスなので、これ以上の成長は望めない。
武器や防具で強くはなるが、根本的な強さが違いすぎると、武器が強くても意味が無い。
「ご主人様……私達……用済みですか?」
アイカとヴァージニアはすがるような目で見つめ、男勇者3人は目元が痙攣している。
実はすでに自分たちは役に立てない場所にいた。
つまり自分たちの死を意味している。
「アイカとヴァージニアはお気に入りだからな、用済みにはならない。お前達だが……」
3人の体が強張る。
修斗の強さは身に染みて知っているため、武器を構える気さえ起きない。
「お前達だが、もっと強くなってもらう」
一瞬ビクッと体を震わせるが、言葉の意味が分からず修斗を見る。
「お前達5人には、理由は分からないが能力に限界がある。それを取っ払えば強くなるはずだ」
全員のステータスを開き、能力値を確認する。
男勇者3人も力強さと、その他得意分野が900台に入っており、間もなく限界を迎える。
数値の後ろにゼロを追加しても消え、ひょっとしてと前に1を追加するがやはり消えた。
なのでスキルを1つ追加する。
『限界解除』
「アイカ、俺に打ち込んでみろ」
「え? う、うん。ふぅー……ヤ!」
剣を構えたアイカは呼吸を整え、全力で打ち込む。
しかし剣は修斗が真剣白刃取りをして受け止める。
「よし。ステータスはどうなっている?」
「え? えーっと……え!? 1008になってるよ!?!?」
「ヴァージニアはアイカのステータスはどう見えている?」
「えと……100です」
「よし。なら全員俺に攻撃をしろ。それで解決するはずだ」
アイカの剣を離すと、全員が一斉に修斗目がけて攻撃を開始する。
「おい……順番じゃないのかよ。まあいいが」
全員の攻撃を軽くいなし、矢は手で受け止めた。
「それぞれのステータスを確認しろ」
「あ、あ~ん!? 俺様のステータスが1001ってなってんぞぉ!?」
「ほ、本当だ。みんなのステータスが1000を超えている」
「で、では今まで999までしか見えなかったのは、我々に能力が足りていなかったからなのか」
どうやら修斗に攻撃をした事で、何かのステータスが1000を超えた様だ。
それにより、互いのステータスも正常に見えるようになったのだろう。
「あれ? じゃあ最初の時にシュウト君のステータスが110だったのは、11000あったからなの?」
「理由としてはそうだろう。俺も当時は理由が分からなかったからな」
「ご主人様……やっぱりご主人様は凄い」
ヴァージニアの頭を撫で、みんなに向き直る修斗。
「これでお前達は更に強くなれる。だから、ここのボスはお前達だけで倒してみろ」
「「「「「え? えー!」」」」」
今から7000越えの魔物を倒すまでに成長しろ……そう言う事だろうか。
しかしその道は死へ向かう道。
矢印のようにな形の広間を進み、先の細くなった場所から次の道へ進もうとするが、そのまま素通りする事は魔族が許さなかった。
相変わらず壁の上と穴から矢と魔法が降り注ぎ、6人の騎士はあっという間にハリネズミにされる。
「ああっ! 騎士団長さん!」
アイカが必死に手を伸ばすが、その手は矢に遮られる。
5人はさっきと同じように壁を駆け上り、壁上部の魔物を倒し始める。
見る見る敵の数が減っていくが、修斗は難しい顔で騎士団長へと近づく。
「おい、騎士団ってのはバカの集まりなのか? そんな事をしたって勝てないのは分かっているはずだ」
「ごふっ! ふ、ふふふ、ここ……まで来たのなら、進むしか……あるまい? 勇者よ」
口から血を吐きながら、必死に言葉を絞り出す騎士団長。
しかしすでに体は動かず、生きているのが不思議な状態だ。
「お前、まさか最初から俺達を当てにしていたのか?」
「騎士団では……魔物にはか、勝てん。ならば……勝てる者に、託すしかある、まい」
広間の魔族を掃討し終わった5人が近寄って来る。
そして騎士団長の最後の言葉を聞いた。
「勇者たちよ……お前達は、今までの勇者、とは、違うようだ……町を……世界を、た、たのむ……」
目を開けたまま、勇者たちを見たまま息を引き取った。
ラングレンが騎士団長の目を静かに閉じさせると、手を組んで祈りをささげる。
しかし修斗の様子がおかしい。小さく体を震わせ、うつ向いている。
「ご主人……様?」
「くっそカス野郎が、死に際になって人を頼ってんじゃねーぞ」
「シュウト君?」
「はぁ、死に際に言われて無視したら、俺が極悪人だろうが」
「あ~ん? てめーは極悪人だろうが」
「極悪人だな」
「うむ、極悪人だ」
「ちょ!? ちょっとみんな! シュウト君に酷くない!?」
「ご主人様は……いい人だよ?」
「俺が極悪人なら、お前らはもう死んでるんだがな?」
「俺達は利用できる駒だぞ? お前は頭のキレる極悪人だ。自分の利益を優先するからな」
「頭の切れる極悪人は、我々を殺す事などしない」
「お前らはアホボケだな。その理論で行くと、利用できなくなったら死ぬんだぞ?」
「ふっざけんな。俺様たちはなぁ、死にたくねぇ~んだよぉ。だから必死こいて生きてんだぞぉ、あ~ん?」
どうやら男勇者たち、自分に利用価値がある限りは修斗に殺されない、そう考えているようだ。
だからこそ必死に戦い、努力は怠らなかったのだろう。
そういえばかなりの訓練をしていたし、戦闘でも必死だった。
「だが残念だったな。恐らくこの先は、お前達がどうあがいても勝てない奴が相手だぞ?」
「え!? この武器と防具があってもダメなの?」
「ここのボス魔物の能力を教えてやろう。力強さが7千以上ある」
全員の動きが止まる。
すでにステータスオールマックスなので、これ以上の成長は望めない。
武器や防具で強くはなるが、根本的な強さが違いすぎると、武器が強くても意味が無い。
「ご主人様……私達……用済みですか?」
アイカとヴァージニアはすがるような目で見つめ、男勇者3人は目元が痙攣している。
実はすでに自分たちは役に立てない場所にいた。
つまり自分たちの死を意味している。
「アイカとヴァージニアはお気に入りだからな、用済みにはならない。お前達だが……」
3人の体が強張る。
修斗の強さは身に染みて知っているため、武器を構える気さえ起きない。
「お前達だが、もっと強くなってもらう」
一瞬ビクッと体を震わせるが、言葉の意味が分からず修斗を見る。
「お前達5人には、理由は分からないが能力に限界がある。それを取っ払えば強くなるはずだ」
全員のステータスを開き、能力値を確認する。
男勇者3人も力強さと、その他得意分野が900台に入っており、間もなく限界を迎える。
数値の後ろにゼロを追加しても消え、ひょっとしてと前に1を追加するがやはり消えた。
なのでスキルを1つ追加する。
『限界解除』
「アイカ、俺に打ち込んでみろ」
「え? う、うん。ふぅー……ヤ!」
剣を構えたアイカは呼吸を整え、全力で打ち込む。
しかし剣は修斗が真剣白刃取りをして受け止める。
「よし。ステータスはどうなっている?」
「え? えーっと……え!? 1008になってるよ!?!?」
「ヴァージニアはアイカのステータスはどう見えている?」
「えと……100です」
「よし。なら全員俺に攻撃をしろ。それで解決するはずだ」
アイカの剣を離すと、全員が一斉に修斗目がけて攻撃を開始する。
「おい……順番じゃないのかよ。まあいいが」
全員の攻撃を軽くいなし、矢は手で受け止めた。
「それぞれのステータスを確認しろ」
「あ、あ~ん!? 俺様のステータスが1001ってなってんぞぉ!?」
「ほ、本当だ。みんなのステータスが1000を超えている」
「で、では今まで999までしか見えなかったのは、我々に能力が足りていなかったからなのか」
どうやら修斗に攻撃をした事で、何かのステータスが1000を超えた様だ。
それにより、互いのステータスも正常に見えるようになったのだろう。
「あれ? じゃあ最初の時にシュウト君のステータスが110だったのは、11000あったからなの?」
「理由としてはそうだろう。俺も当時は理由が分からなかったからな」
「ご主人様……やっぱりご主人様は凄い」
ヴァージニアの頭を撫で、みんなに向き直る修斗。
「これでお前達は更に強くなれる。だから、ここのボスはお前達だけで倒してみろ」
「「「「「え? えー!」」」」」
今から7000越えの魔物を倒すまでに成長しろ……そう言う事だろうか。
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