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第3章 異世界召喚
第93話 勇者5人の快進撃
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「上に登ったぞ!」
「そっちゃ~俺様がやんぜ!」
「ぐふぅ! 盾役なのは構わないが、早めに倒してもらえないだろうか!」
「今やるから待ってて!」
「男が……弱音をはかない」
修斗に要塞のボスを5人で倒すように言われ、一匹残らず魔物を倒すべく、今まで以上に協力し合って戦っている。
役割分担も出来ているし、次々に現れる魔物を上手く倒せている。
要塞のボスモンスターは能力値が高いため、一匹残らず倒さないと勝てないかもしれない、そんな恐怖に駆られて戦っているが、なかなかどうして上手く行っている。
「ふぅ~、ふぅ~。い、今ので最後……か?」
「どうやら、そのよう、だね」
「マジだりぃ~んだがよぅ」
「今ので、何回目、だ、だっけ?」
「確か……7波目」
流石に疲れたのだろう、地面にへたり込んで休んでいる。
7回連続で戦い抜き、その能力はうなぎのぼりだ。
この調子なら、ボス戦までにはかなりステータスが上がっている事だろう。
「ん? 終わったのか。じゃあ行くぞ」
「ま、まってシュウト君!」
後ろからのんびり付いて来ている修斗は、次から次へと先へ進ませようとする。
しかしそれをアイカが止めた。
「回復だけ、お願いできないかな。ラングレンさん、魔力が無くなりそうだから」
「ほほぉ? 他人の状態まで気が回るようになったか。いいだろう、ご褒美代わりに回復してやるよ」
修斗が手をかざすと、5人に向けて暖かい風が頬を撫でる。
癒しの風により、5人の体力・魔力・怪我などが全回復し、まだまだ続くであろう戦いに向け、一時の安らぎを得る事が出来た。
「ありがとうシュウト君」
「ありがとうございます……ご主人様」
「どうしたんだ? 今日は随分と優しいな」
「お前達が強くなれば、それだけ俺が楽できるからな。少しくらいは助けてやるさ」
「その割には、私達だけでボスを倒せなどと、随分恐ろしい事を言うのだね」
「愛の鞭だよ、愛の鞭」
「てめぇ、ぜってぇ~楽しんでんだろ。あ~ん?」
「さぁな」
実のところ、修斗は随分と先の事を考えていた。
大魔王を倒した後、今いる国を滅茶苦茶にしてから世界を征服し、秩序をすべて破壊して回るつもりだ。
征服し終わったら次はどうするのか。
混沌とした世界を放置して、元の世界に戻るつもりだろうが、その際にアイカとヴァージニアは付いて来るだろう。
では男勇者3人は? 3人を元の世界に戻す事は出来ない。
付いて来ると言えば連れて行くだろうが、残るといった場合はどうなるのか。
混沌とした世界を生き抜く能力が必要になる。
そして恐らくは3人の内、誰かが世界を平定するだろう。
その能力が必要なのと、修斗の絶対的な影響力を残すためにも、3人には強くなってもらわなければいけない。
「ま、いらなきゃ壊せばいいしな」
「ん? 何か言った? シュウト君」
「何でもない。ほら行くぞ、ボスが待ちくたびれてるかもしれないからな」
5人は少しぼやきながら立ち上がり、いよいよ要塞中央塔の内部へと入る事になる。
中央の塔には大きな金属扉があるのだが、簡単に開きそうにない。
ここで役に立つのが……新たに得られたスキルだ。
「ここは私に任せてもらおう。新しいスキルを試してみたいのでね」
聖騎士ラングレンが剣を構え、姿勢を低くして唸り声を上げる。
ラングレンの足元では砂が巻き上がり、うっすらと光が弾き、掛け声とともに剣を振り下ろす。
「はぁ~~~~~ーーーーーー……はっ!」
掛け声とともに振り下ろされた剣は、見事に鉄の扉を切り裂いた。
しかも一瞬で2回攻撃をしたようで、扉は✖の形で斬られている。
「なんでぇ、おめぇ~もスキル手に入れたのかよぅ。」
「ふっ、俺だけでは無かったか」
「私もあるよ~」
「私……も」
各々が成長を確認できたようだが、ここから先は更に魔物が強くなる。
果たしてスキルを有効に活用できるのだろうか。
要塞の内部は薄暗い。
広い通路の両脇に松明が並べられているが、それだけでは壁際しか照らされていない。
天井は見えず、通路の先は松明がある事でのみ確認できる。
「暗いわね、ランタンを持ってくるんだったわ」
「当初は偵察砦の攻略だった……そこまでは想像できない」
出発した時は偵察砦の弱い魔物を退治する予定だったのに、到着したら砦は要塞化しており、気が付けば騎士団は壊滅、勇者たちもここまで大変な事になるとは想像もしていなかった。
結果的にはさらに強くなれたのだが、修斗の思惑とは違う形での限定解除となる。
「無い物ねだりをしても仕方がないさ。警戒を怠らず、慎重に進もうではないか」
そう言ったラングレンは、自らが先頭に立ち、盾を構えながらゆっくりと進む。
「あいたっ!」
「大丈夫?……アイカ」
「うん、ちょっと打っただけだから」
「マジでざっけんなって感じだぜぇ、あ~ん?」
「通路の前後から大型魔物が出てくるとはな」
「くっ! 私の力が足りないばっかりに、アイカさんが怪我をしてしまった!」
要塞の内部を随分と進んだが、途中で3回も大型の魔物に襲われた。
1回目は、ケンタウロスに似ているが、腕は6本あり、各種武器と盾を持っているため、どの距離で戦っても対応されるという厄介な奴だった。
それが前後から現れたのだ。
2回目3回目は違う魔物だが、魔法が得意だったり暗闇に紛れて攻撃してきたりと、非常に厄介な相手ばかりだ。
しかし5人でしっかりと退け、ここまでやってこれたのだ。
「多分、ここがボスのいる所よね」
「多分……そう」
休憩している場所の目の前に、塔の扉よりも大きな扉が鎮座している。
悪魔の様な模様が掘られ、いかにもこの要塞の主の間、といった風体だ。
「そっちゃ~俺様がやんぜ!」
「ぐふぅ! 盾役なのは構わないが、早めに倒してもらえないだろうか!」
「今やるから待ってて!」
「男が……弱音をはかない」
修斗に要塞のボスを5人で倒すように言われ、一匹残らず魔物を倒すべく、今まで以上に協力し合って戦っている。
役割分担も出来ているし、次々に現れる魔物を上手く倒せている。
要塞のボスモンスターは能力値が高いため、一匹残らず倒さないと勝てないかもしれない、そんな恐怖に駆られて戦っているが、なかなかどうして上手く行っている。
「ふぅ~、ふぅ~。い、今ので最後……か?」
「どうやら、そのよう、だね」
「マジだりぃ~んだがよぅ」
「今ので、何回目、だ、だっけ?」
「確か……7波目」
流石に疲れたのだろう、地面にへたり込んで休んでいる。
7回連続で戦い抜き、その能力はうなぎのぼりだ。
この調子なら、ボス戦までにはかなりステータスが上がっている事だろう。
「ん? 終わったのか。じゃあ行くぞ」
「ま、まってシュウト君!」
後ろからのんびり付いて来ている修斗は、次から次へと先へ進ませようとする。
しかしそれをアイカが止めた。
「回復だけ、お願いできないかな。ラングレンさん、魔力が無くなりそうだから」
「ほほぉ? 他人の状態まで気が回るようになったか。いいだろう、ご褒美代わりに回復してやるよ」
修斗が手をかざすと、5人に向けて暖かい風が頬を撫でる。
癒しの風により、5人の体力・魔力・怪我などが全回復し、まだまだ続くであろう戦いに向け、一時の安らぎを得る事が出来た。
「ありがとうシュウト君」
「ありがとうございます……ご主人様」
「どうしたんだ? 今日は随分と優しいな」
「お前達が強くなれば、それだけ俺が楽できるからな。少しくらいは助けてやるさ」
「その割には、私達だけでボスを倒せなどと、随分恐ろしい事を言うのだね」
「愛の鞭だよ、愛の鞭」
「てめぇ、ぜってぇ~楽しんでんだろ。あ~ん?」
「さぁな」
実のところ、修斗は随分と先の事を考えていた。
大魔王を倒した後、今いる国を滅茶苦茶にしてから世界を征服し、秩序をすべて破壊して回るつもりだ。
征服し終わったら次はどうするのか。
混沌とした世界を放置して、元の世界に戻るつもりだろうが、その際にアイカとヴァージニアは付いて来るだろう。
では男勇者3人は? 3人を元の世界に戻す事は出来ない。
付いて来ると言えば連れて行くだろうが、残るといった場合はどうなるのか。
混沌とした世界を生き抜く能力が必要になる。
そして恐らくは3人の内、誰かが世界を平定するだろう。
その能力が必要なのと、修斗の絶対的な影響力を残すためにも、3人には強くなってもらわなければいけない。
「ま、いらなきゃ壊せばいいしな」
「ん? 何か言った? シュウト君」
「何でもない。ほら行くぞ、ボスが待ちくたびれてるかもしれないからな」
5人は少しぼやきながら立ち上がり、いよいよ要塞中央塔の内部へと入る事になる。
中央の塔には大きな金属扉があるのだが、簡単に開きそうにない。
ここで役に立つのが……新たに得られたスキルだ。
「ここは私に任せてもらおう。新しいスキルを試してみたいのでね」
聖騎士ラングレンが剣を構え、姿勢を低くして唸り声を上げる。
ラングレンの足元では砂が巻き上がり、うっすらと光が弾き、掛け声とともに剣を振り下ろす。
「はぁ~~~~~ーーーーーー……はっ!」
掛け声とともに振り下ろされた剣は、見事に鉄の扉を切り裂いた。
しかも一瞬で2回攻撃をしたようで、扉は✖の形で斬られている。
「なんでぇ、おめぇ~もスキル手に入れたのかよぅ。」
「ふっ、俺だけでは無かったか」
「私もあるよ~」
「私……も」
各々が成長を確認できたようだが、ここから先は更に魔物が強くなる。
果たしてスキルを有効に活用できるのだろうか。
要塞の内部は薄暗い。
広い通路の両脇に松明が並べられているが、それだけでは壁際しか照らされていない。
天井は見えず、通路の先は松明がある事でのみ確認できる。
「暗いわね、ランタンを持ってくるんだったわ」
「当初は偵察砦の攻略だった……そこまでは想像できない」
出発した時は偵察砦の弱い魔物を退治する予定だったのに、到着したら砦は要塞化しており、気が付けば騎士団は壊滅、勇者たちもここまで大変な事になるとは想像もしていなかった。
結果的にはさらに強くなれたのだが、修斗の思惑とは違う形での限定解除となる。
「無い物ねだりをしても仕方がないさ。警戒を怠らず、慎重に進もうではないか」
そう言ったラングレンは、自らが先頭に立ち、盾を構えながらゆっくりと進む。
「あいたっ!」
「大丈夫?……アイカ」
「うん、ちょっと打っただけだから」
「マジでざっけんなって感じだぜぇ、あ~ん?」
「通路の前後から大型魔物が出てくるとはな」
「くっ! 私の力が足りないばっかりに、アイカさんが怪我をしてしまった!」
要塞の内部を随分と進んだが、途中で3回も大型の魔物に襲われた。
1回目は、ケンタウロスに似ているが、腕は6本あり、各種武器と盾を持っているため、どの距離で戦っても対応されるという厄介な奴だった。
それが前後から現れたのだ。
2回目3回目は違う魔物だが、魔法が得意だったり暗闇に紛れて攻撃してきたりと、非常に厄介な相手ばかりだ。
しかし5人でしっかりと退け、ここまでやってこれたのだ。
「多分、ここがボスのいる所よね」
「多分……そう」
休憩している場所の目の前に、塔の扉よりも大きな扉が鎮座している。
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