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第3章 異世界召喚
第101話 大魔王エルノヴァ
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「準備はいいか?」
「ひゃっはっはぁ! 腹も膨れて良い感じだぜぇ! あ~ん!」
「万全だ。心身ともにベストといって良い」
「騎士たる者、常にベストコンディションを維持しているのだよ! 心配ご無用だ!」
「バッチリ! いつでも行けるよシュウト君!」
「ご主人様……いつでも行けます」
昼食と昼寝が終わり、6人は疲れも取れた様だ。
それにしても大魔王の城の目の前で昼寝をするなど、前代未聞の事だ。
それだけの自信の表れ、そして大魔王が警戒していて動かないことを考えての事だろう。
「よし、それでは行くとしようか」
修斗の号令で前進を開始し、巨大な城へと足を進める。
空には暗雲が立ち込め、沢山の魔物が空を飛んでいるが、修斗達の妨害をしようとはしない。
開け放たれた巨大な鉄の門をくぐると、そこには1人? 1匹? の人型の魔物が待っていた。
「勇者様ですね? お待ちしておりました、大魔王様がお待ちです」
全身が黒いマントで覆われているため、全容は分からない。
しかし後頭部から前に向けて2本の角が生えており、その声は年寄りにも聞こえる。
案内されるままに付いて行くが、内部はとても天井が高かった。
ビルの3階か4階、10メートル以上はありそうだ。
それに幅も広い。
外から見た感じだと大魔王らしい作りの城だったが、中は思ったよりも明るく、内装もかなり凝った作りになっている。
案内の悪魔は一言もしゃべる事なく歩いて行くが、どうやら罠や奇襲といった事もなく、階段を数回登っただけだった。
「こちらで大魔王様がお待ちです」
これまた大きな扉の前で立ち止まり、大魔王の間の前まで案内をされた。
しかし大きな扉を開けるそぶりは無く、しばし沈黙が流れる。
「なんだ? 開けないのか?」
「どうぞ、開けてお入りください」
案内の魔族は1度頭を下げ、手を広げて扉を指し示す。
どういう意味があるのだろうか。
扉を開けること自体が罠? それとも別の意味があるのだろうか。
「んだぁテメェ! 客人に開けさせようッてぇ~のか? あ~ん!?」
ウェズは魔族にメンチを切りながら扉を力いっぱい蹴飛ばす。
大きな音が鳴り響く……だけで、扉は全く開こうとしない。
「あ、あ~ん? どうなってやがんだぁ?」
「おいウェズ、何をふざけてるんだ? こんな扉はな……こうしたらいいんだ!」
ウィークエンドが大剣で斬りつけるが、やはり傷一つ付かず、大きな音がしただけだ。
「ふっふっふ、どうやらここは私の出番のようだね! 私に任せたまえ!!!」
ラングレンが剣を構えてタメにタメを作り、チャージがMAXになったところで扉を切りつける。
5人が固唾をのみ様子を見ているが……やはりあかない。
「なんで? 今ので開かなかったらどうやったら開くのよ!」
「シンプルに……手で押す?」
ヴァージニアが両手で押すが、やはり開かない。
その様子をニヤケながら見ている魔族。
どうやらこの扉は試験のようだ。
これを開けられなければ、大魔王に会う資格が無いと言う事だろうか。
修斗が扉のステータスを確認する。
名称:大魔王エルノヴァの門番
建築年数:2861年
耐久力:99992/100000
素 材:魔鋼
状 態:耐久値ほぼMAX
備 考:資格無き者には開ける事の出来ない扉。
その力が認められなければ、扉は開かれない。
随分と古くからある扉のようだ。
そしてやはり普通の方法では開ける事が出来ない。
しかしその開け方までは分からない様だ。
「よし、俺がやってみよう」
ついでだからステータスにゼロを2つ追加し、各ステータスは1億1千万になった。
ゆっくりと扉に手を当て……ようとしたが、扉は凄い速度で開け開かれた。
まるで修斗に触れられるのを拒むように、いや恐れるように開いたのだ。
「きゃ! な、なにいきなり? どうして開いたの?」
「流石はご主人様……扉が自ら開きました」
「よく分からないが、オイ、入っても……どこへ行った?」
案内をした魔物は姿を消していた。
仕方がないので勝手に中に入ると、奥にはマスクを付けた者が椅子に座っているのが見える。
「認められし者よ、近くに来るがいい」
まるで地響きのような低い声が鳴り響き、壁も床もビリビリ震えている。
言われるままに近づくと、黒いマスクには顔全体を覆い隠し、目鼻口は無く、中心から放射状に金色の筋が入り、その間には花の彫刻が施されている。
そしてその身長は高く、座った状態でも7メートルほど、立てば10メートル近くになるだろうか。
赤く大きなマントを付け、まるで男の貴族の様な衣装を着ている。
「よくぞあの扉を開けて来たな。褒めて遣わすぞ」
「褒められる必要は無いな。勝手に扉が開いたんだ、お前が開けたんじゃないのか?」
「我が他人のために開ける事などあり得ぬ。お主の実力を認めたからこそ、扉は開いたのであろう」
「ふ~ん。まあそんな事はどうでもいい。おいお前、いくつか聞きたい事があるから答えろ」
「我を前にして態度が変わらぬか。よかろう、その度胸に免じて苦しまずに殺してやろう」
大魔王は手を前に出し、眩い光の玉を作り出す。
が、光の玉は一瞬で消え去ってしまう。
「ふん。その程度の力で付け上がりおって。後悔する暇もなく死んでしまったな」
何かしたのだろうか。
修斗達に変化は……修斗達が居ない。
いや、床に修斗達がいた時の影が残ったままだ。
影はあるが姿が無い。
よく見ると影は白く、周囲が黒く焦げている。
強烈な光で一瞬で焼き尽くされ、影の場所だけが焼かれずに済んだようだ。
修斗達の姿は……どこにもない。
「ひゃっはっはぁ! 腹も膨れて良い感じだぜぇ! あ~ん!」
「万全だ。心身ともにベストといって良い」
「騎士たる者、常にベストコンディションを維持しているのだよ! 心配ご無用だ!」
「バッチリ! いつでも行けるよシュウト君!」
「ご主人様……いつでも行けます」
昼食と昼寝が終わり、6人は疲れも取れた様だ。
それにしても大魔王の城の目の前で昼寝をするなど、前代未聞の事だ。
それだけの自信の表れ、そして大魔王が警戒していて動かないことを考えての事だろう。
「よし、それでは行くとしようか」
修斗の号令で前進を開始し、巨大な城へと足を進める。
空には暗雲が立ち込め、沢山の魔物が空を飛んでいるが、修斗達の妨害をしようとはしない。
開け放たれた巨大な鉄の門をくぐると、そこには1人? 1匹? の人型の魔物が待っていた。
「勇者様ですね? お待ちしておりました、大魔王様がお待ちです」
全身が黒いマントで覆われているため、全容は分からない。
しかし後頭部から前に向けて2本の角が生えており、その声は年寄りにも聞こえる。
案内されるままに付いて行くが、内部はとても天井が高かった。
ビルの3階か4階、10メートル以上はありそうだ。
それに幅も広い。
外から見た感じだと大魔王らしい作りの城だったが、中は思ったよりも明るく、内装もかなり凝った作りになっている。
案内の悪魔は一言もしゃべる事なく歩いて行くが、どうやら罠や奇襲といった事もなく、階段を数回登っただけだった。
「こちらで大魔王様がお待ちです」
これまた大きな扉の前で立ち止まり、大魔王の間の前まで案内をされた。
しかし大きな扉を開けるそぶりは無く、しばし沈黙が流れる。
「なんだ? 開けないのか?」
「どうぞ、開けてお入りください」
案内の魔族は1度頭を下げ、手を広げて扉を指し示す。
どういう意味があるのだろうか。
扉を開けること自体が罠? それとも別の意味があるのだろうか。
「んだぁテメェ! 客人に開けさせようッてぇ~のか? あ~ん!?」
ウェズは魔族にメンチを切りながら扉を力いっぱい蹴飛ばす。
大きな音が鳴り響く……だけで、扉は全く開こうとしない。
「あ、あ~ん? どうなってやがんだぁ?」
「おいウェズ、何をふざけてるんだ? こんな扉はな……こうしたらいいんだ!」
ウィークエンドが大剣で斬りつけるが、やはり傷一つ付かず、大きな音がしただけだ。
「ふっふっふ、どうやらここは私の出番のようだね! 私に任せたまえ!!!」
ラングレンが剣を構えてタメにタメを作り、チャージがMAXになったところで扉を切りつける。
5人が固唾をのみ様子を見ているが……やはりあかない。
「なんで? 今ので開かなかったらどうやったら開くのよ!」
「シンプルに……手で押す?」
ヴァージニアが両手で押すが、やはり開かない。
その様子をニヤケながら見ている魔族。
どうやらこの扉は試験のようだ。
これを開けられなければ、大魔王に会う資格が無いと言う事だろうか。
修斗が扉のステータスを確認する。
名称:大魔王エルノヴァの門番
建築年数:2861年
耐久力:99992/100000
素 材:魔鋼
状 態:耐久値ほぼMAX
備 考:資格無き者には開ける事の出来ない扉。
その力が認められなければ、扉は開かれない。
随分と古くからある扉のようだ。
そしてやはり普通の方法では開ける事が出来ない。
しかしその開け方までは分からない様だ。
「よし、俺がやってみよう」
ついでだからステータスにゼロを2つ追加し、各ステータスは1億1千万になった。
ゆっくりと扉に手を当て……ようとしたが、扉は凄い速度で開け開かれた。
まるで修斗に触れられるのを拒むように、いや恐れるように開いたのだ。
「きゃ! な、なにいきなり? どうして開いたの?」
「流石はご主人様……扉が自ら開きました」
「よく分からないが、オイ、入っても……どこへ行った?」
案内をした魔物は姿を消していた。
仕方がないので勝手に中に入ると、奥にはマスクを付けた者が椅子に座っているのが見える。
「認められし者よ、近くに来るがいい」
まるで地響きのような低い声が鳴り響き、壁も床もビリビリ震えている。
言われるままに近づくと、黒いマスクには顔全体を覆い隠し、目鼻口は無く、中心から放射状に金色の筋が入り、その間には花の彫刻が施されている。
そしてその身長は高く、座った状態でも7メートルほど、立てば10メートル近くになるだろうか。
赤く大きなマントを付け、まるで男の貴族の様な衣装を着ている。
「よくぞあの扉を開けて来たな。褒めて遣わすぞ」
「褒められる必要は無いな。勝手に扉が開いたんだ、お前が開けたんじゃないのか?」
「我が他人のために開ける事などあり得ぬ。お主の実力を認めたからこそ、扉は開いたのであろう」
「ふ~ん。まあそんな事はどうでもいい。おいお前、いくつか聞きたい事があるから答えろ」
「我を前にして態度が変わらぬか。よかろう、その度胸に免じて苦しまずに殺してやろう」
大魔王は手を前に出し、眩い光の玉を作り出す。
が、光の玉は一瞬で消え去ってしまう。
「ふん。その程度の力で付け上がりおって。後悔する暇もなく死んでしまったな」
何かしたのだろうか。
修斗達に変化は……修斗達が居ない。
いや、床に修斗達がいた時の影が残ったままだ。
影はあるが姿が無い。
よく見ると影は白く、周囲が黒く焦げている。
強烈な光で一瞬で焼き尽くされ、影の場所だけが焼かれずに済んだようだ。
修斗達の姿は……どこにもない。
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