ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第3章 異世界召喚

第107話 最後に来た国

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『聞け、愚かな国のおさ共よ。お前達には失望した、しかし慈悲深い俺はお前達に最後のチャンスを与える事にした。3日後の夜明けまでに謝罪をするならば、その国は許してやる。場所は知っているはずだ。もしも来ない場合は、その国に大魔王エルノヴァを派遣し、全ての都市、全ての人民を破壊しつくすであろう。国王が国民を救うために全力を尽くす事を願っている』

 この布告が発せられた翌日、早速いくつかの国の国王が頭を下げに来た。
 ちなみに今回は日本風に、頭を下げさせるだけでなく土下座をさせている。

 日が沈み、もう来客も来ないようなので夕食を取っている。

「お前様? 我が滅ぼすよりも、お前様がやった方が早いのでなないのか?」

「お前の名前の方が効果的だろうからな。なに、気が向いたら俺も国を破壊する」

 残りは8国なのだが、一番近くにいるはずの国が来ていない。
 そう、イルメリータント国、修斗達勇者を召喚した国だ。
 恐らくは召喚した国を滅ぼすとは思っていないのだろうが、それにしても全く音沙汰が無いのが不気味だ。

「おいカイン。もしもすべての国が謝りに来たら、お前は許すのか?」

「私が許す、ですか? シュウト様が許すかどうかではなく?」

「そうだ。各国の国王がお前を反逆者として拷問したんだ、恨みの一つくらいあるだろう?」

「そう……ですね。ありません」

「おいおい姫さんよぉ、レイプされたってぇ~んだろう? あ~ん???」

「私の身は国のためにあります。私の体を犠牲にして人々が助かるのならば、私は何をされても構いません」

 自己犠牲だろうか。
 それにしても一介の王女、しかも第2王女にしては過ぎた考えのようにも感じる。
 国王でもそんな考えを持つ者は少ないだろう。
 それとも別の目的でもあるのだろうか。

 ふと気になり、修斗はカイリのステータスを確認する。

 名前:カイリ・ラスティア
 年齢:21歳
 HP:311
 MP:230
 力強さ:218
 知 力:392
 防御力:198
 素早さ:104
 魅 力:399
 状 態:
 スキル:外交LV4
      聖王女
     
 ステータス的にはこの世界の女よりも少し高い。
 しかし問題はスキルだが、聖王女せいおうじょとは一体何だろうか。
 これが原因で自己犠牲が強いのかもしれない。

「カイリ、お前が死んだら世界を救ってやると言ったら、お前は死ぬのか?」

「それは……シュウト様が確約して頂けるのであれば、死んでご覧に入れましょう」

「約束などしない」

「それでは死ねません。世界が救えるまで、最後まで足掻いて見せます」

 考えてみればカイリは最初からそうだった。
 修斗が世界を破壊するといった時、カイリは自分の責任のように謝っており、更には修斗に頭を下げるようにと各国に連絡も入れた。
 結果は拷問を受けたのだが、そもそも召喚した国でも無い上に第2王女という立場なら、自分ではどうしようもない事だと突っぱねる事が出来たはずだ。
 
 それを自らの責任の様に考え、行動したのだ。
 本人に聞いても良いが、今知っても行動に変更が無いため必要は無いだろう。



 そして2日が過ぎ、遂に3日目の夜になった。
 明日の夜明けまでに謝罪に来なければ、その国は大魔王エルノヴァによって滅ぼされるのだが……残りの8か国が来ていない。
 
「どうやら8国は国民の命が大事ではない様だ。明日の夜明けとともに町を破壊しつくすぞ」

 夕食を食べながら修斗が宣言するが、何とか待ってくれとカイリが食い下がる。

「お待ちくださいシュウト様。もう少し、もう少しだけ猶予を頂けませんか? 遠方の国は簡単には来れませんし、歳を召された国王もいらっしゃいます」

「関係ないな。なめた行動をとったんだ、きっちり責任は取ってもらう」

「し、しかし……」

「それにしても、イルメリータントは来なかったわね。てっきりすぐにでも謝りに来ると思ったんだけど」

「そういえば……あのブタ女、未だに……私達を操ってるつもりでいる?」

「待ちたまえ! リリーアム殿は確かにいけ好かないが、我々のフォローもしてくれたではないか! 信じて待とうではないか!」

 個人によって多少の感情的違いはある様だが、イルメリータントを滅ぼす事に反対はしない様だ。
 しかし残りの8国は、やはり修斗の言葉を信じていないのだろうか。
 所詮は今までの勇者と同じ、そう思っているのかもしれない。

 しかし夜遅く、意外な人物が訪問してきた。

「お久しぶりでございます、勇者様方」

 ブタ女、リリーアムが屋敷を訪れたのだ。
 しかしリリーアムとその護衛だけで、国王は見当たらない。

「久しぶりじゃないか。どうしたんだ? こんな夜遅くに」

「ほほほ、どうしただなんて、聞かなくても分かっておりますでしょう?」

 そういうと勇者全員を呼び出し、6人を前にして大声をあげた。

『さっさと膝まづきなさい! この付け上がった勇者どもめ!』

 これは……そう、召喚されて直ぐの時、国王の命令で体が動かなくなり、喋る事が出来なくなった時と同じだ。
 命令をされると逆らえなくなるのだ。
 状 態:国王命令絶対施行
 これがある限り、国王はおろか、王族に歯向かう事が出来ないのだ。

 勇者6人は、リリーアムの前に膝まづくのだった。
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