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第4章 学園支配
第155話 始動・世界征服
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従属国から約束の金品が届き、処刑となった貴族のリストが添付されていた。
どうやら思ったよりも大掛かりな犯罪だったようだ。
「シュウト様、随分と国が大きくなってきましたので、一度人員を整理してはいかがでございますですか?」
学園生活を平和に過ごしていたある日、雑用係のじいさんビリーがそんな事を言ってきた。
確かにザナドゥ王国に攻めて来た国は全て返り討ちにし、大国とはいかないまでも、国の規模は随分と大きくなっている。
命令系統は統一されているが、やはりツギハギという感がいなめない。
「そうだな、確かに大きくなったし、国の形も随分といびつになってきたな」
以前は『コ』を左右逆にした様な形だったが、今では『つ』を逆にしたように、上だけが長くなりかぎづめの様に先端が広がっている。
「しかし友好を宣言している以上、中にある国には手を出さない約束だ。さてどうするか」
ビリーとしては、占領した国の国境や街道の整理、総督府の設置などのつもりで話たのだが、どうやら修斗、真ん中が他国であることを面倒と感じていたようだ。
今日は珍しく学園の女達は城に呼ばず、放課後は城で仕事をしていたのだが、そのビリーの提案によって一気に物騒な話になってくる。
「……真ん中が欲しいのであれば、反逆をさせるという手もございますですが、これはあまりお勧めできません。どこから情報が洩れるか分かりませんし、特に真ん中にある3国はザナドゥ王国にとても従順。いくつか思いつきますので、お任せいただけるならば、1年ほどでザナドゥ王国の領地にしてご覧に入れますですが……?」
「そうか。だが急ぐ必要は無いから、他の同盟国が不安に思わない方法でやれ。世界を征服するにしても、実質的に支配できればいいんだからな」
ここで初めて修斗の口から『世界征服』という言葉が出てきた。
修斗は特に世界征服に興味があるわけでもないが、その方が便利ならばその方がいいと思っている。
しかしその労力が大変だし、反乱に常に目を光らせないといけないのが面倒だったのだ。
だから資金でも武力でも、ザナドゥ王国の言う事に全ての国が従えばいいのだ。
いくつかの国はすでにそうだが、統治はやらせて実権があればいい。
実権を取れればいい、その言葉にビリーは少し安堵していた。
ビリーはあまり争い事を好まないタイプで、修斗の命令でもない限り、出来るだけ平和に解決をしたいタイプなのだ。
「かしこまりました。それではこちらの言う事に逆らえないようにして、実権を手にしてまいりますです、ハイ」
「というお話が出てきたのでございますです、ハイ」
修斗が学園に行っている時間帯、重鎮たちを呼びよせて緊急会議を始めていた。
議題はもちろん『世界征服』についてだ。
「アタイはてっきり、シュウトは世界征服に興味が無いと思ってたんだがねぇ……心変わりでもしたのかもしれないね」
「しかし今の話ですと、いきなり世界が欲しいという訳ではなく、まずは真ん中にある3つの国をどうにかしたい、という事ですよね?」
「そうですね、確かにザナドゥ王国に来る商人達も、両脇がザナドゥなのに他国経由をするのが大変だと報告が来ています」
パメラ、バーバラ、キャロラインが最初に意見を述べる。
それについて小柄な男装の麗人・フローレンス都市開発長も口を開いた。
「今のザナドゥ王国の形は確かに不便ではあるのです。先端から先端への移動には国を跨がなくてはなりませんし、迂回したら日数も予算も跳ね上がってしまうのですから」
「それはアタシも思っていたよ。出兵して最短ルートで帰ろうとしたら、他国を通って行かなきゃいけないからね。不便だった」
「それは俺も感じていた。友好国とはいえ大軍で通っては、民への不安をあおる事になるからな」
「それデハ、ナカの3つの国を、おカネをハラワず通れて、タイグンで動いても構わないようにシタラ、いいのデスね?」
「その通りでございますですな」
レベッカ魔法兵長、ウィリアム騎士団長、キャロル内政・人事担当の考えに、ビリー雑用係が答える。
「その条件に合う状態と言ったら従属化させる事だが、それでは諸外国を不安にさせてしまうぞ?」
「表面上は友好国でありながら、中身は従属状態、というのが理想じゃな。してビリーよ、お主には考えがあるのかのぅ?」
ハイエルフ・カーリンと大魔王エルノヴァがビリーを見る。
いやその場にいる14人全員がビリーを見た。
「そうでございますですね……いくつかの手を組み合わせれば、可能かと思われますですな、ハイ」
その手とやらの説明を受け、いくつかの修正案がまとめ上がった。
この案は外部に漏らす事は厳禁とされ、ここにいる15名のみが知る事となる。
後はそれぞれが計画に乗っ取り行動を開始するのだった。
どうやら思ったよりも大掛かりな犯罪だったようだ。
「シュウト様、随分と国が大きくなってきましたので、一度人員を整理してはいかがでございますですか?」
学園生活を平和に過ごしていたある日、雑用係のじいさんビリーがそんな事を言ってきた。
確かにザナドゥ王国に攻めて来た国は全て返り討ちにし、大国とはいかないまでも、国の規模は随分と大きくなっている。
命令系統は統一されているが、やはりツギハギという感がいなめない。
「そうだな、確かに大きくなったし、国の形も随分といびつになってきたな」
以前は『コ』を左右逆にした様な形だったが、今では『つ』を逆にしたように、上だけが長くなりかぎづめの様に先端が広がっている。
「しかし友好を宣言している以上、中にある国には手を出さない約束だ。さてどうするか」
ビリーとしては、占領した国の国境や街道の整理、総督府の設置などのつもりで話たのだが、どうやら修斗、真ん中が他国であることを面倒と感じていたようだ。
今日は珍しく学園の女達は城に呼ばず、放課後は城で仕事をしていたのだが、そのビリーの提案によって一気に物騒な話になってくる。
「……真ん中が欲しいのであれば、反逆をさせるという手もございますですが、これはあまりお勧めできません。どこから情報が洩れるか分かりませんし、特に真ん中にある3国はザナドゥ王国にとても従順。いくつか思いつきますので、お任せいただけるならば、1年ほどでザナドゥ王国の領地にしてご覧に入れますですが……?」
「そうか。だが急ぐ必要は無いから、他の同盟国が不安に思わない方法でやれ。世界を征服するにしても、実質的に支配できればいいんだからな」
ここで初めて修斗の口から『世界征服』という言葉が出てきた。
修斗は特に世界征服に興味があるわけでもないが、その方が便利ならばその方がいいと思っている。
しかしその労力が大変だし、反乱に常に目を光らせないといけないのが面倒だったのだ。
だから資金でも武力でも、ザナドゥ王国の言う事に全ての国が従えばいいのだ。
いくつかの国はすでにそうだが、統治はやらせて実権があればいい。
実権を取れればいい、その言葉にビリーは少し安堵していた。
ビリーはあまり争い事を好まないタイプで、修斗の命令でもない限り、出来るだけ平和に解決をしたいタイプなのだ。
「かしこまりました。それではこちらの言う事に逆らえないようにして、実権を手にしてまいりますです、ハイ」
「というお話が出てきたのでございますです、ハイ」
修斗が学園に行っている時間帯、重鎮たちを呼びよせて緊急会議を始めていた。
議題はもちろん『世界征服』についてだ。
「アタイはてっきり、シュウトは世界征服に興味が無いと思ってたんだがねぇ……心変わりでもしたのかもしれないね」
「しかし今の話ですと、いきなり世界が欲しいという訳ではなく、まずは真ん中にある3つの国をどうにかしたい、という事ですよね?」
「そうですね、確かにザナドゥ王国に来る商人達も、両脇がザナドゥなのに他国経由をするのが大変だと報告が来ています」
パメラ、バーバラ、キャロラインが最初に意見を述べる。
それについて小柄な男装の麗人・フローレンス都市開発長も口を開いた。
「今のザナドゥ王国の形は確かに不便ではあるのです。先端から先端への移動には国を跨がなくてはなりませんし、迂回したら日数も予算も跳ね上がってしまうのですから」
「それはアタシも思っていたよ。出兵して最短ルートで帰ろうとしたら、他国を通って行かなきゃいけないからね。不便だった」
「それは俺も感じていた。友好国とはいえ大軍で通っては、民への不安をあおる事になるからな」
「それデハ、ナカの3つの国を、おカネをハラワず通れて、タイグンで動いても構わないようにシタラ、いいのデスね?」
「その通りでございますですな」
レベッカ魔法兵長、ウィリアム騎士団長、キャロル内政・人事担当の考えに、ビリー雑用係が答える。
「その条件に合う状態と言ったら従属化させる事だが、それでは諸外国を不安にさせてしまうぞ?」
「表面上は友好国でありながら、中身は従属状態、というのが理想じゃな。してビリーよ、お主には考えがあるのかのぅ?」
ハイエルフ・カーリンと大魔王エルノヴァがビリーを見る。
いやその場にいる14人全員がビリーを見た。
「そうでございますですね……いくつかの手を組み合わせれば、可能かと思われますですな、ハイ」
その手とやらの説明を受け、いくつかの修正案がまとめ上がった。
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