ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

文字の大きさ
156 / 373
第4章 学園支配

第155話 始動・世界征服

しおりを挟む
 従属国から約束の金品が届き、処刑となった貴族のリストが添付されていた。
 どうやら思ったよりも大掛かりな犯罪だったようだ。

「シュウト様、随分と国が大きくなってきましたので、一度人員を整理してはいかがでございますですか?」

 学園生活を平和に過ごしていたある日、雑用係のじいさんビリーがそんな事を言ってきた。
 確かにザナドゥ王国に攻めて来た国は全て返り討ちにし、大国とはいかないまでも、国の規模は随分と大きくなっている。
 命令系統は統一されているが、やはりツギハギという感がいなめない。

「そうだな、確かに大きくなったし、国の形も随分といびつになってきたな」

 以前は『コ』を左右逆にした様な形だったが、今では『つ』を逆にしたように、上だけが長くなりかぎづめの様に先端が広がっている。

「しかし友好を宣言している以上、中にある国には手を出さない約束だ。さてどうするか」

 ビリーとしては、占領した国の国境や街道の整理、総督府の設置などのつもりで話たのだが、どうやら修斗、真ん中が他国であることを面倒と感じていたようだ。

 今日は珍しく学園の女達は城に呼ばず、放課後は城で仕事をしていたのだが、そのビリーの提案によって一気に物騒な話になってくる。

「……真ん中が欲しいのであれば、反逆をさせるという手もございますですが、これはあまりお勧めできません。どこから情報が洩れるか分かりませんし、特に真ん中にある3国はザナドゥ王国にとても従順。いくつか思いつきますので、お任せいただけるならば、1年ほどでザナドゥ王国の領地にしてご覧に入れますですが……?」

「そうか。だが急ぐ必要は無いから、他の同盟国が不安に思わない方法でやれ。世界を征服するにしても、実質的に支配できればいいんだからな」

 ここで初めて修斗の口から『世界征服』という言葉が出てきた。
 修斗は特に世界征服に興味があるわけでもないが、その方が便利ならばその方がいいと思っている。
 しかしその労力が大変だし、反乱に常に目を光らせないといけないのが面倒だったのだ。

 だから資金でも武力でも、ザナドゥ王国の言う事に全ての国が従えばいいのだ。
 いくつかの国はすでにそうだが、統治はやらせて実権があればいい。

 実権を取れればいい、その言葉にビリーは少し安堵していた。
 ビリーはあまり争い事を好まないタイプで、修斗の命令でもない限り、出来るだけ平和に解決をしたいタイプなのだ。

「かしこまりました。それではこちらの言う事に逆らえないようにして、実権を手にしてまいりますです、ハイ」

 


「というお話が出てきたのでございますです、ハイ」

 修斗が学園に行っている時間帯、重鎮たちを呼びよせて緊急会議を始めていた。
 議題はもちろん『世界征服』についてだ。

「アタイはてっきり、シュウトは世界征服に興味が無いと思ってたんだがねぇ……心変わりでもしたのかもしれないね」

「しかし今の話ですと、いきなり世界が欲しいという訳ではなく、まずは真ん中にある3つの国をどうにかしたい、という事ですよね?」

「そうですね、確かにザナドゥ王国に来る商人達も、両脇がザナドゥなのに他国経由をするのが大変だと報告が来ています」

 パメラ、バーバラ、キャロラインが最初に意見を述べる。
 それについて小柄な男装の麗人・フローレンス都市開発長も口を開いた。

「今のザナドゥ王国の形は確かに不便ではあるのです。先端から先端への移動には国を跨がなくてはなりませんし、迂回したら日数も予算も跳ね上がってしまうのですから」

「それはアタシも思っていたよ。出兵して最短ルートで帰ろうとしたら、他国を通って行かなきゃいけないからね。不便だった」

「それは俺も感じていた。友好国とはいえ大軍で通っては、民への不安をあおる事になるからな」

「それデハ、ナカの3つの国を、おカネをハラワず通れて、タイグンで動いても構わないようにシタラ、いいのデスね?」

「その通りでございますですな」

 レベッカ魔法兵長、ウィリアム騎士団長、キャロル内政・人事担当の考えに、ビリー雑用係が答える。

「その条件に合う状態と言ったら従属化させる事だが、それでは諸外国を不安にさせてしまうぞ?」

「表面上は友好国でありながら、中身は従属状態、というのが理想じゃな。してビリーよ、お主には考えがあるのかのぅ?」

 ハイエルフ・カーリンと大魔王エルノヴァがビリーを見る。
 いやその場にいる14人全員がビリーを見た。

「そうでございますですね……いくつかの手を組み合わせれば、可能かと思われますですな、ハイ」

 その手とやらの説明を受け、いくつかの修正案がまとめ上がった。
 この案は外部に漏らす事は厳禁とされ、ここにいる15名のみが知る事となる。
 後はそれぞれが計画に乗っ取り行動を開始するのだった。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

処理中です...