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第5章 世界大戦
第184話 英雄・フランチェスカ
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「フランチェスカさんも無茶するッスよね~。ドラゴン相手に1人で戦いを挑むなんて」
「本当は1人でやるつもりは無かったのだけれど、氷結龍が向かってきたのよ」
フランチェスカはベッドに座り、その正面でラグズがイスに座り、ロウソクが数本立てられた部屋で水を飲んでいた。
2日間も寝ていたため疲れは取れているが、筋肉痛と魔法を酷使したため少し頭痛がしているようだ。
「それにしても凄かったッスよ、魔法であんな戦い方をするのは初めて見たッスからね」
「あの国の人達は凄すぎて、単発魔法でほとんど終わってしまうものね」
「それもそうッスね。あ、そういえばお腹空いてるんスよね? 下で食事を用意するッスけど、きちんと着替えてきた方がいいッスよ」
「え? ん~、この服はラグズが着替えさせてくれたのかしら?」
「そッス。服を着替えてお化粧をして、髪も整えたから降りた方がいいッスよ」
フランチェスカはシンプルなワンピースを着ているのだが、着替えるのは良いとして化粧とはどういう意味だろうか。
「別にお化粧は必要ないのではないかしら?」
「いや~、それがッスね……」
「おおーー! フランチェスカ姉さんがお目覚めだぞー!」
「姉さんおはよー!」
「あねさんお疲れ様っす!」
「救世主のおでましだー!」
などなど、魔物の大行進から2日も経っているというのに、未だに宴会を行っていた。
そしてその主人公こそ、氷結龍を倒したフランチェスカなのだ。
「ラグ? 姉さんとかあねさんとかってどういう事かしら?」
「いや~、みんなフランチェスカさんに惚れちゃってるんスよ。そりゃ氷結龍や他の大型魔物を1人で倒したんスから、仕方がないッスよね」
ラグズの言う通り、着替えと化粧、髪を整えてから部屋を出ると、1階のメシ屋で宴会をする冒険者達がさらに盛り上がる。
いや、どうやら冒険者だけではなく、街の住民も多数いるようだ。
「ささ、姉さんはこちらへどうぞ」
「ま、待ちたたえ、フランチェスカ君のエスコートは私がだね……あ」
ベルゴットが慌ててエスコートしようとするも、すでに他の冒険者がフランチェスカの手を取っていた。
丁寧に丁寧に階段を降り、真ん中のテーブルに案内される。
どうやらギルドマスターも真ん中のテーブルにいるようだ。
「おはようフランチェスカ君。怪我はもういいのかね?」
「は、はい、もう大丈夫です。チョットだけ頭痛がしますが」
「そうか、では無理をしない程度に楽しんでくれ」
そう言って木製のカップに飲み物が注がれる。
一口飲んで、並んでいる食事を味わっていると、ギルドマスターが咳ばらいをした。
「それでだねフランチェスカ君。キミ、Sランクに成るつもりは無いかね?」
食事の手が止まり、ギルドマスターの言葉を反芻する。
Sランク冒険者になる。
言われて気が付いたが、フランチェスカはSランクになる気など全くなかったのだ。
最初に冒険者になったのは興味からだったし、メナストーン国でダンジョン攻略をしたのだって、修斗と一緒に居たいための言い訳だった。
それがいつの頃か楽しくなり、Aランクになり、今はSランクにならないかと言われている。
「Sランク、ですか。SランクとAランクでは何か違うのですか?」
「単純に冒険者としての信頼度は違うな。Sランク冒険者だと、国王がパーティーに呼びたいほどの人物になる。ほかにはそうだな、報酬も上がるし、冒険者ギルド内での影響力も大きい」
信頼度が上がり、ギルド内での影響力もでてくる。
それを聞いてフランチェスカは都合がいいなと思いもしたが、別の理由でSランクには成りたくないと感じている。
Sランクになると修斗よりも上のランクになるため、機嫌を損ねるのではないか、という不安だ。
恐らくその心配は必要ないだろうと思いはするのだが、一抹の不安はぬぐえない。
Sランクになれば、国からの依頼が多くなり、軍隊の教官や高ランクモンスターの討伐など、それこそ楽な物から命がけのモノが多くなるだろう。
もちろん他のランクの冒険者も命の危険はあるのだが、その危険性が違いすぎるのだ。
だがふと考えてみる。
ドラゴンを倒したのは事実だが、実力で勝ったわけではなく、装備品の能力が素晴らしかったから勝てただけなのだと。
そんな自分はSランクに相応しくない。
「残念ですが、Sランクは辞退させてください。私はまだまだ弱いので付け上がってしまいます」
「なんと! そう言わずに頼むよ、高ランク冒険者は数が少ないから、1人でも多く必要なんだ。今すぐじゃなくてもいいから、もう一度考えてくれないか?」
「……分かりました、少しだけ時間をください」
「おい、あの小娘をSランクに推薦したいと来ておるぞ」
「ふん! 生きていやがったのかよ、アイツ」
「まさかドラゴンを倒してしまうとは思いませんでした」
「しかも周囲の大型モンスターも倒しているからな、Sランクの条件を見事に達成している」
真っ暗な部屋の中央に水晶が置かれ、それを囲むように鏡が置かれている。
鏡の中には壱から漆までの数字が書かれた黒い頭巾をかぶった者が映っており、何やら相談をしているようだ。
「Sランクなど必要ない。断ればいいだけだろう」
「そうもいかんさ。なにせドラゴンから街を守ったのだ、我々の策が裏目に出てしまった」
「これを断れば、冒険者ギルドが疑われるほどの成果じゃのぅ」
「なに難しく考える事は無い。Sランクになりたいのならしてやればいい。してやった上で難易度の高い依頼を回して殺せばいいだけよ」
「本当は1人でやるつもりは無かったのだけれど、氷結龍が向かってきたのよ」
フランチェスカはベッドに座り、その正面でラグズがイスに座り、ロウソクが数本立てられた部屋で水を飲んでいた。
2日間も寝ていたため疲れは取れているが、筋肉痛と魔法を酷使したため少し頭痛がしているようだ。
「それにしても凄かったッスよ、魔法であんな戦い方をするのは初めて見たッスからね」
「あの国の人達は凄すぎて、単発魔法でほとんど終わってしまうものね」
「それもそうッスね。あ、そういえばお腹空いてるんスよね? 下で食事を用意するッスけど、きちんと着替えてきた方がいいッスよ」
「え? ん~、この服はラグズが着替えさせてくれたのかしら?」
「そッス。服を着替えてお化粧をして、髪も整えたから降りた方がいいッスよ」
フランチェスカはシンプルなワンピースを着ているのだが、着替えるのは良いとして化粧とはどういう意味だろうか。
「別にお化粧は必要ないのではないかしら?」
「いや~、それがッスね……」
「おおーー! フランチェスカ姉さんがお目覚めだぞー!」
「姉さんおはよー!」
「あねさんお疲れ様っす!」
「救世主のおでましだー!」
などなど、魔物の大行進から2日も経っているというのに、未だに宴会を行っていた。
そしてその主人公こそ、氷結龍を倒したフランチェスカなのだ。
「ラグ? 姉さんとかあねさんとかってどういう事かしら?」
「いや~、みんなフランチェスカさんに惚れちゃってるんスよ。そりゃ氷結龍や他の大型魔物を1人で倒したんスから、仕方がないッスよね」
ラグズの言う通り、着替えと化粧、髪を整えてから部屋を出ると、1階のメシ屋で宴会をする冒険者達がさらに盛り上がる。
いや、どうやら冒険者だけではなく、街の住民も多数いるようだ。
「ささ、姉さんはこちらへどうぞ」
「ま、待ちたたえ、フランチェスカ君のエスコートは私がだね……あ」
ベルゴットが慌ててエスコートしようとするも、すでに他の冒険者がフランチェスカの手を取っていた。
丁寧に丁寧に階段を降り、真ん中のテーブルに案内される。
どうやらギルドマスターも真ん中のテーブルにいるようだ。
「おはようフランチェスカ君。怪我はもういいのかね?」
「は、はい、もう大丈夫です。チョットだけ頭痛がしますが」
「そうか、では無理をしない程度に楽しんでくれ」
そう言って木製のカップに飲み物が注がれる。
一口飲んで、並んでいる食事を味わっていると、ギルドマスターが咳ばらいをした。
「それでだねフランチェスカ君。キミ、Sランクに成るつもりは無いかね?」
食事の手が止まり、ギルドマスターの言葉を反芻する。
Sランク冒険者になる。
言われて気が付いたが、フランチェスカはSランクになる気など全くなかったのだ。
最初に冒険者になったのは興味からだったし、メナストーン国でダンジョン攻略をしたのだって、修斗と一緒に居たいための言い訳だった。
それがいつの頃か楽しくなり、Aランクになり、今はSランクにならないかと言われている。
「Sランク、ですか。SランクとAランクでは何か違うのですか?」
「単純に冒険者としての信頼度は違うな。Sランク冒険者だと、国王がパーティーに呼びたいほどの人物になる。ほかにはそうだな、報酬も上がるし、冒険者ギルド内での影響力も大きい」
信頼度が上がり、ギルド内での影響力もでてくる。
それを聞いてフランチェスカは都合がいいなと思いもしたが、別の理由でSランクには成りたくないと感じている。
Sランクになると修斗よりも上のランクになるため、機嫌を損ねるのではないか、という不安だ。
恐らくその心配は必要ないだろうと思いはするのだが、一抹の不安はぬぐえない。
Sランクになれば、国からの依頼が多くなり、軍隊の教官や高ランクモンスターの討伐など、それこそ楽な物から命がけのモノが多くなるだろう。
もちろん他のランクの冒険者も命の危険はあるのだが、その危険性が違いすぎるのだ。
だがふと考えてみる。
ドラゴンを倒したのは事実だが、実力で勝ったわけではなく、装備品の能力が素晴らしかったから勝てただけなのだと。
そんな自分はSランクに相応しくない。
「残念ですが、Sランクは辞退させてください。私はまだまだ弱いので付け上がってしまいます」
「なんと! そう言わずに頼むよ、高ランク冒険者は数が少ないから、1人でも多く必要なんだ。今すぐじゃなくてもいいから、もう一度考えてくれないか?」
「……分かりました、少しだけ時間をください」
「おい、あの小娘をSランクに推薦したいと来ておるぞ」
「ふん! 生きていやがったのかよ、アイツ」
「まさかドラゴンを倒してしまうとは思いませんでした」
「しかも周囲の大型モンスターも倒しているからな、Sランクの条件を見事に達成している」
真っ暗な部屋の中央に水晶が置かれ、それを囲むように鏡が置かれている。
鏡の中には壱から漆までの数字が書かれた黒い頭巾をかぶった者が映っており、何やら相談をしているようだ。
「Sランクなど必要ない。断ればいいだけだろう」
「そうもいかんさ。なにせドラゴンから街を守ったのだ、我々の策が裏目に出てしまった」
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