ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第5章 世界大戦

第197話 前倒しの会談

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 反ザナドゥ組織『ベフラウィング』に加担する国の数は71国。
 残る国は7国で、1つは聖キルリアン教会、3つはザナドゥの中にある3つの国、残り3国は国王が高齢のため身動きが取れず、参加を見送ったらしい。

 ベフラウィングの総兵力は100万を超え、ザナドゥ王国の5万人を大幅に超える人数となっている。
 いくらザナドゥの兵士が強いと言っても、20倍の敵が相手では分が悪いだろう。

 だがベフラウィングは攻めてこなかった。
 常に情報を入手していたエルノヴァだったが、ここにきて情報が止まってしまう。

「お前様、あ奴らの動きが見えなくなってしまったのじゃが、探りを入れた方がいいか?」

「いらんだろ。この状態で動かないなんて玉無しもいい所だな。まだ怖がってるのか?」

「どうじゃろうなぁ。怖がるのならこんな事はせんと思うのじゃが……」

 流石に攻めてくると思っていたのに攻めてこないため、戦後に予定していた会談を先に行う事にした。
 そう、聖キルリアン教会のキリアム法王との面会だ。

 事前にアイカには聖キルリアン教会に行きやすいよう、聖都の近くに座標となる物を設置させてあり、移動は一瞬で終わる。
 なのでまずはアイカが面会を取り付けてからになる。

 アイカが教会に向かうと大歓迎で受け入れられ、簡単にキリアム法王との面会となる。
 だがそこで少々問題が発生した。

「いまから、ですか?」

「はい。我がシュウト陛下はキリアム法王と面会を望んでおります。近くに居るのでお呼びしてもよろしいでしょうか?」

 白いカーテンの向こうで法王は焦っている。
 それもそうだろう、今の状態は1国の王を待たせている事になるのだから。

「シュウト国王がいらっしゃるならすぐにでもお呼び下さい! その様な場合ならばそのまま来られても良いのですよ?」

「えっと、その、何といいますか……まだ城に居るのですが……」

「アイカ殿? からかっているのか?」

 ゴールドナイト・オードが眉をしかめる。
 向こうからしたらからかわれている様に思われ、アイカからしたら説明がしにくい。
 この場にはゴールド・シルバー・ブロンズの3騎士もそろっているのだが、見事に眉をしかめている。
 なので百聞は一見に如かず。

「で、では来てもらいますね。シュウト君聞いてる? いいって」

 アイカの横の空間が歪む。
 歪んだ空間は人が通れる大きさになり、スっと何かを映し出す。
 玉座に座った修斗が映し出され、修斗が立ち上がるとそこから修斗が足を出し、教会に入ってきた。

「説明しにくくて済まないな。空間魔法の説明をしても理解してもらえないから、許可が出たのでそのまま来させてもらった」

 城同士がつながった空間は無くなり、そこにはいつも通りの風景になっていた。

「空間を……ですか?」

「法皇様下がってください! そんな魔法は聞いた事ない! 魔法をつかさどるブロンズの私が知らないなんて、そんな魔法あるはずない!」

「アイカ君、君は魔性の物と繋がりがあるのかな?」

 警戒を強めるシルバーとブロンズに、アイカは慌てて釈明をする。

「ああ! まって、待ってください! ほらシュウト君! もっと丁寧に説明しないと分からないじゃない!」

「む、しかしな、空間を繋げたのを見せるのが一番早いだろう?」

「だから空間魔法の説明!」

「説明か……ブロンズとか言ったな、お前は空間魔法をどうとらえている?」

 カーテンの前で修斗から法王を護る様に立ちはだかる少女・ブロンズナイト・ソルト。
 青銅の鎧をまとった少女は金属製の杖を構えたまま、修斗の質問に答える。

「空間魔法は遠くを見る遠見の魔法。慣れれば山の向こうが見えるようになるけど、そこまでやっても大して役に立たない」

「よし、じゃあどうして山の向こうが見えると思う?」

「それは……空間を曲げて……あ!」

「近くまで来たな。曲げたら次はどうしたい?」

「曲げたら……繋げたい……え? だってそんな事出来るはずが……できるの???」

 修斗は両手を広げて『俺を見ろ』とアピールする。
 繋げた者がここにいるぞ、と。

「どうやったの!? ねぇねぇ教えて!」

 あっという間に修斗の目の前まで走り寄ると、目をキラキラ輝かせて修斗を見ている。
 どうやら魔法を司るだけあり、魔法に興味がある様だ。

「はっはっは、お前はカワイイな。ベッドの上でなら教えてやってもいいぞ?」

「そのくらいお安い御用」

 最短記録を更新する勢いで夜の約束を取り付けてしまった。
 
「オード、ガーバー、幕をどかしてください」

「よろしいの……ですか?」

「1国の主が自ら来てくれたのです、このままでは失礼というモノでしょう」

 カーテンの両脇に2人が立ち、左右に引っ張ると立っている女性がいる。
 
「はじめましてシュウト陛下。私はキリアム、この国の法王です」

 その姿を見て、修斗は少し懐かしい感覚を味わっていた。
 女性の顔は初めて見たが、そのたたずまいや衣装に覚えがあるからだ。

「女神ルデリット……か。似た雰囲気があるもんだな」

「……今の言葉は聞き捨てなりません。まるで女神ルデリットに会ったような口ぶりですね」

「ああ、2回ほどあっているよ」
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