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第5章 世界大戦
第215話 フタ
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「卑怯だとは思わないのかい? 1人相手に3人で来るなんて」
「戦いは数が多い方が有利だよ? その数を揃える事も戦なんだよ?」
空を飛び回る男に大声で挑発するが、そんな安い挑発に乗る相手ではないようだ。
暗くてよく見えないが、風を体にまとって空を飛んでいるらしい。
「良く見えないのではね……都市内の灯りという灯りを全て点けるんだ! こう暗くてはかなわないからね」
都市内のあちこちに明かりが点き、夜とは思えない明るさになる。
そして空を飛び回る男の姿がうっすらと見えてきた。
特に翼のようなものは無く、風の影響を受けやすいようにか随分と大きなダブついた服装をしている。
歳は30前後だろうか。
「いいんだよ? 今なら降参しても誰も責めないし、むしろウェルカムだよ?」
「折角のお誘いだけどお断りするよ。僕の主はシュウト様ただ1人だからね」
「そっか~それは仕方ないんだよ。じゃあ大人しく死んでほしいんだよ!」
上空の風が吹き荒れ、その風は防壁の上にまで及び始める。
あちこちで竜巻が発生し、兵士たちは飛ばされないように必死に何かにしがみ付く。
「はっはっはー! 無駄なんだよ! 力尽きたら飛んで行くんだよ!」
何とか土の壁を沢山作りだして防風壁を形成するのだが、なにぶん範囲が広くて全てをカバーできない。
そして1人に気を取られていると……。
「俺の事を忘れてんじゃーねぇー!」
いつの間にか防壁を駆け上がってきたマホーラガが、フローレンス都市開発長に襲い掛かる。
足音がしないため気が付かなかったのだろう。
「……っ! レディーに言い寄るのなら順番は守って欲しいのだけどね!」
「誰がレディーじゃ! クッソガキがぁ!」
「君の方が年下だと思うのだけどね!」
防風壁の1つを操り、マホーラガに向けてハエ叩きのように叩きつける。
のだが、土の防風壁は一瞬で崩壊してしまう。
「口げんかはやめなーや。男なら力で勝負しな―や」
はるか遠方より、キンナラが音で全ての防風壁を崩壊させてしまう。
防壁を包んでいた土壁も剥がれ落ち、元の防壁だけになってしまった。
「うるせーってんだ! 相手がガキだろうと手柄は俺の物だぜ!」
「ふぅ、子供相手なんだから余裕を持たなくてはいけないんだよ。戦いは楽しむものなんだよ?」
「そんな子供相手に遊ぶのはやめなーや。煌々と照らされた街並みが、自分の不安の影を消そうと必死なんだなーや」
「子供ではないと言っている!!!」
子供を連呼され、流石に頭に来たようだ。
土の塊を無数に撃ち出し迎撃しようとするも、空のアニラはヒラヒラとかわし、防壁上のマホーラガは音もなくよけている。
遠方のキンナラにも攻撃しているようだが届いていない。
「ギャハハハハハ! いくら数を撃ったところで当たらなきゃ意味がねぇなぁ!」
「これが9人の悪夢の騎士とは……残念なんだよ」
「我らにかかればその程度なーや」
フローレンス都市開発長の攻撃をかわしながら、カマイタチの様な真空波を飛ばし、音もなく背後からナイフを振るい、遠方から音で鼓膜を破る。
すでに全身は血まみれで、鼓膜や三半規管がやられているため立っている事もままならない。
「僕は……9人の悪夢の騎士だ……こんな奴らは力づくで……倒せるはずだ……」
大量の土砂が地面から噴き出し、そこから四方八方に土の玉が放たれる。
しかし……当たらない。
すでに冷静な判断が出来ていないのか、狙いを定めるという事が出来なくなっていた。
「力づくってーなぁこうやるんだぜ! オン・アニラ・ソワカ!」
アニラが呪文を唱えると、その体は10体近くにも増殖しフローレンス都市開発長を囲む。
ナイフを振りかざし、全てのナイフがフローレンス都市開発長の体に……突き刺さった。
「ギャハハハハハ! 俺の勝ち―! 手柄は俺一人の……あや?」
ナイフを突き刺した体がまるで泥人形のように崩れ落ちる。
「やはり力技になってしまったよ。そして力技とは……こういう物さ」
少しはなれた所で、フローレンス都市開発長は空を指差していた。
釣られて空を見るとそこには……巨大な土のフタが落下してきている。
巨大というしかない大きさで、都市はおろか周辺の森も覆いつくす大きさのフタだった。
「ば、バカな! なんだよ! だって星や月明かりが……騙されたんだよ!!!」
都市の灯りが強すぎて、星や月の灯りはかき消されていたのだ。
その上で無駄撃ちとも思える土攻撃で、上空にフタを作っていたのだろう。
「あ、あり得ねぇ……ガキにこんな事が……」
「キ! キンナラの所まで届いてるんだなーや!?」
「3人がかりで子供に負けるなんてね、12神将は幼児の集まりかい?」
「ふ、ふざけるななんだ……よーー!?!?」
逃げ場のないフタに押され、アニラは土に捕らえられる。
マホーラガも逃げようとしているのだが、一体どこへ逃げれば逃げられるのか……やはり逃げ場がないと諦めた様だ。
「チッ、しくったぜ」
「なーーー!!!」
12神将の3人は、土のフタに押されて意識を失ってしまった。
「戦いは数が多い方が有利だよ? その数を揃える事も戦なんだよ?」
空を飛び回る男に大声で挑発するが、そんな安い挑発に乗る相手ではないようだ。
暗くてよく見えないが、風を体にまとって空を飛んでいるらしい。
「良く見えないのではね……都市内の灯りという灯りを全て点けるんだ! こう暗くてはかなわないからね」
都市内のあちこちに明かりが点き、夜とは思えない明るさになる。
そして空を飛び回る男の姿がうっすらと見えてきた。
特に翼のようなものは無く、風の影響を受けやすいようにか随分と大きなダブついた服装をしている。
歳は30前後だろうか。
「いいんだよ? 今なら降参しても誰も責めないし、むしろウェルカムだよ?」
「折角のお誘いだけどお断りするよ。僕の主はシュウト様ただ1人だからね」
「そっか~それは仕方ないんだよ。じゃあ大人しく死んでほしいんだよ!」
上空の風が吹き荒れ、その風は防壁の上にまで及び始める。
あちこちで竜巻が発生し、兵士たちは飛ばされないように必死に何かにしがみ付く。
「はっはっはー! 無駄なんだよ! 力尽きたら飛んで行くんだよ!」
何とか土の壁を沢山作りだして防風壁を形成するのだが、なにぶん範囲が広くて全てをカバーできない。
そして1人に気を取られていると……。
「俺の事を忘れてんじゃーねぇー!」
いつの間にか防壁を駆け上がってきたマホーラガが、フローレンス都市開発長に襲い掛かる。
足音がしないため気が付かなかったのだろう。
「……っ! レディーに言い寄るのなら順番は守って欲しいのだけどね!」
「誰がレディーじゃ! クッソガキがぁ!」
「君の方が年下だと思うのだけどね!」
防風壁の1つを操り、マホーラガに向けてハエ叩きのように叩きつける。
のだが、土の防風壁は一瞬で崩壊してしまう。
「口げんかはやめなーや。男なら力で勝負しな―や」
はるか遠方より、キンナラが音で全ての防風壁を崩壊させてしまう。
防壁を包んでいた土壁も剥がれ落ち、元の防壁だけになってしまった。
「うるせーってんだ! 相手がガキだろうと手柄は俺の物だぜ!」
「ふぅ、子供相手なんだから余裕を持たなくてはいけないんだよ。戦いは楽しむものなんだよ?」
「そんな子供相手に遊ぶのはやめなーや。煌々と照らされた街並みが、自分の不安の影を消そうと必死なんだなーや」
「子供ではないと言っている!!!」
子供を連呼され、流石に頭に来たようだ。
土の塊を無数に撃ち出し迎撃しようとするも、空のアニラはヒラヒラとかわし、防壁上のマホーラガは音もなくよけている。
遠方のキンナラにも攻撃しているようだが届いていない。
「ギャハハハハハ! いくら数を撃ったところで当たらなきゃ意味がねぇなぁ!」
「これが9人の悪夢の騎士とは……残念なんだよ」
「我らにかかればその程度なーや」
フローレンス都市開発長の攻撃をかわしながら、カマイタチの様な真空波を飛ばし、音もなく背後からナイフを振るい、遠方から音で鼓膜を破る。
すでに全身は血まみれで、鼓膜や三半規管がやられているため立っている事もままならない。
「僕は……9人の悪夢の騎士だ……こんな奴らは力づくで……倒せるはずだ……」
大量の土砂が地面から噴き出し、そこから四方八方に土の玉が放たれる。
しかし……当たらない。
すでに冷静な判断が出来ていないのか、狙いを定めるという事が出来なくなっていた。
「力づくってーなぁこうやるんだぜ! オン・アニラ・ソワカ!」
アニラが呪文を唱えると、その体は10体近くにも増殖しフローレンス都市開発長を囲む。
ナイフを振りかざし、全てのナイフがフローレンス都市開発長の体に……突き刺さった。
「ギャハハハハハ! 俺の勝ち―! 手柄は俺一人の……あや?」
ナイフを突き刺した体がまるで泥人形のように崩れ落ちる。
「やはり力技になってしまったよ。そして力技とは……こういう物さ」
少しはなれた所で、フローレンス都市開発長は空を指差していた。
釣られて空を見るとそこには……巨大な土のフタが落下してきている。
巨大というしかない大きさで、都市はおろか周辺の森も覆いつくす大きさのフタだった。
「ば、バカな! なんだよ! だって星や月明かりが……騙されたんだよ!!!」
都市の灯りが強すぎて、星や月の灯りはかき消されていたのだ。
その上で無駄撃ちとも思える土攻撃で、上空にフタを作っていたのだろう。
「あ、あり得ねぇ……ガキにこんな事が……」
「キ! キンナラの所まで届いてるんだなーや!?」
「3人がかりで子供に負けるなんてね、12神将は幼児の集まりかい?」
「ふ、ふざけるななんだ……よーー!?!?」
逃げ場のないフタに押され、アニラは土に捕らえられる。
マホーラガも逃げようとしているのだが、一体どこへ逃げれば逃げられるのか……やはり逃げ場がないと諦めた様だ。
「チッ、しくったぜ」
「なーーー!!!」
12神将の3人は、土のフタに押されて意識を失ってしまった。
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