ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

文字の大きさ
246 / 373
第6章 ダンジョンから始まる世界交流

第245話 Sランクのアイテムと冒険者

しおりを挟む
 ビービレ国のヨーゼフ第31王子が宿の1階でメンバーと夕食を取っていると、沢山の冒険者が話かけてくる。

「いようアンタ! あんないいアイテムどこで見つけたんだ?」
「スゲーの見つけたんだって? ちょっと見せてくれよ」
「たんまり稼いだんだろ? おごってくれよ」

 などなど、悪い事を考えている者はいるかもしれないが、おおむね羨ましいだけのようだ。
 Aランク防具とBランクアクセサリーがアンプルゾン・タワーから見つかり、ウワサは街中に広がっている。
 今までもCランクアイテムはたくさん見つかっているが、Bは極少数、Aは初めて見つかった。
 なので冒険者達ががぜんやる気を出したのだ。

「Aランクの防具なんて国宝級だからね、僕たちが見つけられたのは運が良かった」

「しかし取り上げられてしまったな。勿体ない! 現場で使ってこその道具だぞ!」

「ルノー飲み過ぎよ、それと声がうるさいわ」

 鎧を脱いだ騎士風の男ルノーは、酒の入った木製ジョッキをテーブルに乱暴に置き、大声を上げている。
 折角見つけた良いアイテムを、監視していた者に持って行かれたのが不服のようだ。
 魔法使いのリザがこぼれた酒を拭いている。

「仕方がないよ、元々国に持ち帰るためにダンジョン探索を命じられたんだし。Sランクアイテムか国家予算並みの金銀財宝を見つけるまで帰ってくるなって……実質除籍だね!」

「何笑ってるんだよヨーゼフ様。俺は悔しいんだ! ヨーゼフ様はバカでお調子者で女にもモテないが、臣下には人気があるんだ! 国の要職に就ければ必ず成果を出せるんだ!」

 相変わらず声が大きいが、周りも負けずにうるさい為目立たない。
 確かにヨーゼフは臣下には人気があるが、それは誰に対しても振る舞いが変わらない為、王族らしくないというのが一因だ。
 現に騎士風の男ルノーがタメ口なのを咎めないのだから。

「ぼ、僕ってバカでお調子者だったのか……女の子にはモテない自覚はあったけど……」

 思わぬフレンドリファイヤにより、ヨーゼフは落ち込んでいた。

「よ、ヨーゼフ様大丈夫ですよ、私はヨーゼフ様の事好きですよ?」

「じゃあ付き合ってくれる?」

「それとこれとは話が別です」

「やっぱり僕はモテないんだ~!」

 などといつもの漫才をして楽しんでいるが、アイテムを持って行かれた気分を紛らわせているのだ。
 紛らわせているのだが、その会話に耳を傾ける者たちがいた。
 ビービレ国の命令でヨーゼフ達を監視する者と、大陸外の国から来ている間者スパイだ。

 ビービレ国と同じで、大戦後に大陸に進攻しようとしたがスキがなく断念し、ダンジョンフィーバーに乗っかろうとしている国々だ。
 大陸内の国からは当然冒険者が派遣されているが、海を渡った国々も調査に乗り出している。
 新しいダンジョンは危険でありながらも、手つかずの資源が残っているため、各国がいち早く情報を仕入れたがっている。

 だがそれを理解しているため、ヨーゼフ達は肝心なところは全く話ていない。
 
 数日間50階前後の探索を中心に動いていると、あるウワサが流れて来た。
 100階まで到達したパーティーがいる、と。
 そして遂に見つかったのだ、Sランクの武器が。

 急いで冒険者ギルドへ行くと、そこには3人の女性が冒険者に囲まれており、話題の中心となっていた。
 ヨーゼフ達は3人を見て納得してしまった。
 ヤクシ・ガッコウ・シャンディラの3人だったのだ。
 護衛をかって出たものの、相手の方が実力が上で袖にされた面々だ。

 見つかったSランクの武器は『澄み渡るやいば』という剣で、刀身が半透明で向こうが透けて見える片手剣だ。
 まるでガラスの様でもろそうだが、耐久力は脅威の100万(通常は高くても数万)、攻撃力も切断・打撃・刺突を会わせて30万を超えており、恐らく一般的な国宝ではなく神具としてまつられるレベルだろう。

 100階までの情報の真偽を確かめるべく、数多くの冒険者が調査に名乗り出る。
 だが悲しい事に、80階よりも上に行ける実力者がいないのだ。
 そこでようやく姿を現したのだ、Sランク冒険者が。

 だが名乗りを上げたのは大陸のSランクだけではなく、海を渡った先のSランク冒険者も手を上げた。
 あまり大陸とは交流の無い連中だが、冒険者ギルド間ではやり取りがあるため、どこの国へ行ってもランクはそのままで通用する。
 
 海を渡った先の冒険者、その中には良く知っている姿が混じっている。
 侍が居たのだ。
 兜こそかぶっていないが、胴丸、籠手、すね当て、刀など、よく知っている姿が数名居た。
 残念だがチョンマゲではなく、長い髪を後頭部で縛っている。

「お前達が海の向こうの冒険者か。奇怪な姿をしているが、そんな恰好で大丈夫なのか?」

「お主らこそ珍妙な姿をしておる。大陸の冒険者は臆病者と見えるな」

 受付嬢が気迫に押されて固まる中、それぞれのプライドをかけた調査が始まる。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...