252 / 373
第6章 ダンジョンから始まる世界交流
第251話 意外な実力
しおりを挟む
「ヤクシさんもどうぞ。甘いお菓子だ」
黒いローブの男ジェロームに渡され、飴の様な物を口に入れる。
ガッコウとシャンディラも甘くて気に入ったようだ。
「確かに甘いですね。……ああ、それではこちらもどうぞ。私も甘いものを常備しています」
ヤクシはクッキーの様な物を取り出して、4人に配る。
そしてガッコウとシャンディラには少しだけ色の違うクッキーを渡す。
大好物だったのか、ガッコウとシャンディラは急いで食べてしまった。
「ほほぅ、これは済まんな、頂くとしよう」
黒ローブの男が警戒心もなくクッキーを口にする。
他のメンバーは少し警戒しているようだが、逆に食べないと不自然に見えてしまうため、飲み物と一緒に胃の中に流し込む。
「あら、このクッキー美味しいですね」
「ええ、私の手作りです」
「へぇ、料理もできるのか。冒険者にしては……めずら……しい、な」
ヘルメット男のジュドニの目が半開きになり、トロンとしている。
他の3人も同様で、寝てはいないが意識がハッキリしていない様だ。
「この飴はなんですか?」
「自白……作用のある……薬が……入っている」
黒ローブのジェロームが上半身を少し揺らしながらしゃべりだす。
他の連中も上半身がゆらゆらしている。
「やっべ、ワタシらもああなる所だったのか!」
「や、ヤクシさん……よ、よく気が付きましたね」
「私は薬師ですからね。味と自分の状態の変化ですぐに分かりました」
どうやらヤクシ、口に入れた時には直ぐに作用を理解していたようで、その解毒作用のあるクッキーを2人に渡したようだ。
そしてヤクシの質問は続く。
「それで皆さんは、どうして私達に近づいたのですか?」
「しゅち……にくりん」
「ひざま……ずけ」
「けつ……あな」
「かいぼう……じっけん」
全員がバラバラだ。
なので質問内容を変える。
「私達パーティーに何をさせるつもりでしたか?」
「「「「うえまで……あんないさせて……かねを……まきあげる」」」」
同じ答えが返ってきた。
「なんでぇ、こいつ等も他の連中とおんなじかよ。薬を使ったんだから、もっとあくどい事考えてると思ったぜ」
「じゅ、十分……あくどいですけど」
その後は色々な質問をして、この連中にはこれ以上情報を渡さない事で意見が一致した。
幸いにも大した情報を与える前でよかった。
「……あれ? なんで俺は寝てたんだ?」
「あら? おかしいですね、確かお話をしていたはずですが」
「なんだ? ボーっとしてたな」
「ん……ん? なんだ、俺は寝ていたのか?」
4人が目を覚ますと、ヤクシ達は楽しそうに話をしていた。
「お、起きたか。疲れてんならさっさと宿で寝ろよ~」
「み、皆さんお疲れ様です……しょ、食事はど、どうしますか?」
どうやらすっかり日が沈み、外は暗くなっていた。
それにしても、どうしてヤクシ達は残っていたのだろうか。
「丁度ディナーの時間に入るようですし、そのまま食事を頂きましょう」
翌朝、ヤクシ達は塔の前で人を待っていた。
少し待っていると、昨日の4人が現れる。
「いよっ! おはよーさん。早いね」
ヘルメット男のジュドニが片手をあげて挨拶をすると、他の3人も順番に挨拶をする。
「おはようございます皆さん。今日はどのあたりまで登りましょうか」
ヤクシ達もペコリと頭を下げる。
なぜかガッコウはとても楽しそうだ。
「そうですね、可能なら100階近くまで行きたいですね」
「おお100階か、いいぜいいぜ! お前らは何階まで行った事があるんだ?」
ドレス女リリアータは100階までという、まだ最終確認が出来ていないフロアを指定する。
もちろん本来ならばあり得ない要望だ。
なのにガッコウは喜んで引き受ける。
「私達は60階のテレポーターステーションには触った。だから60階からのスタートになるな」
「オッケーオッケー! うっし、じゃあさっさと行くとすっか!」
塔の1階から60階まで飛び、早速探索を開始する。
先を歩くのはなんとヘルメット男たち4人だった。
「ここはAランク冒険者として先を進ませてもらおう」
黒ローブのジェロームが率先して前を進み、それに3人が続く形だ。
まぁヤクシ達はマップを記憶しているため、罠にかかる事は無いし魔物が出てもあくびをしながら倒せる。
それはヘルメット男たちも同じで、ヤクシ達が完成させた地図を覚えている。
だがそれだけでは対処できないものがある。
それが魔物たちだ。
「うおっ!? マジでデカいなこいつ!」
出てきたのはバイソン・ラティフロン。
巨大な2本の角が弧を描いて前に突き出し、全長は4~5メートル、全高は2~3メートルもある巨大なバイソンだ。
それが群れで6頭も出てきたのだ。
「やっとお出ましか。こいつ等はな――」
「まぁ待ちたまえ。私達はAランク、このような場面は何度も経験済みだ」
ガッコウが戦い方を教えようとすると、黒ローブのジェロームが遮る。
Aランクとしての戦いを見せようというのだろうか。
「私達の戦い方を見てな!」
インテリ世紀末女がリュックからモーニングスターを取り出す。
短めの棒に鎖が繋がれ、その先にはトゲのある鉄球が付いている。
バイソン・ラティフロンが頭を低くして、横一列になって突進してくる。
1頭で2トン近くあるため、直撃を受けたらただでは済まない。
だが。
「ひゃっはー! 脳天にブチかましてやるぜェ!」
インテリ世紀末女は真正面からモーニングスターを振り下ろすではないか!
バイソンの頭は縄張り争いでぶつけ合うため、特に頭の骨が分厚くなっているので、モーニングスターを力いっぱい叩きつけたところで……!
1頭が地面にたたきつけられ、インテリ世紀末女コレットは意識を失ったバイソン・ラティフロンの頭に片足を乗せる。
「ヒーハー! 滾らねぇぜ! もっともっと私を熱くさせろー!」
どうやらAランク冒険者としての実力は、間違いなくあるようだ。
黒いローブの男ジェロームに渡され、飴の様な物を口に入れる。
ガッコウとシャンディラも甘くて気に入ったようだ。
「確かに甘いですね。……ああ、それではこちらもどうぞ。私も甘いものを常備しています」
ヤクシはクッキーの様な物を取り出して、4人に配る。
そしてガッコウとシャンディラには少しだけ色の違うクッキーを渡す。
大好物だったのか、ガッコウとシャンディラは急いで食べてしまった。
「ほほぅ、これは済まんな、頂くとしよう」
黒ローブの男が警戒心もなくクッキーを口にする。
他のメンバーは少し警戒しているようだが、逆に食べないと不自然に見えてしまうため、飲み物と一緒に胃の中に流し込む。
「あら、このクッキー美味しいですね」
「ええ、私の手作りです」
「へぇ、料理もできるのか。冒険者にしては……めずら……しい、な」
ヘルメット男のジュドニの目が半開きになり、トロンとしている。
他の3人も同様で、寝てはいないが意識がハッキリしていない様だ。
「この飴はなんですか?」
「自白……作用のある……薬が……入っている」
黒ローブのジェロームが上半身を少し揺らしながらしゃべりだす。
他の連中も上半身がゆらゆらしている。
「やっべ、ワタシらもああなる所だったのか!」
「や、ヤクシさん……よ、よく気が付きましたね」
「私は薬師ですからね。味と自分の状態の変化ですぐに分かりました」
どうやらヤクシ、口に入れた時には直ぐに作用を理解していたようで、その解毒作用のあるクッキーを2人に渡したようだ。
そしてヤクシの質問は続く。
「それで皆さんは、どうして私達に近づいたのですか?」
「しゅち……にくりん」
「ひざま……ずけ」
「けつ……あな」
「かいぼう……じっけん」
全員がバラバラだ。
なので質問内容を変える。
「私達パーティーに何をさせるつもりでしたか?」
「「「「うえまで……あんないさせて……かねを……まきあげる」」」」
同じ答えが返ってきた。
「なんでぇ、こいつ等も他の連中とおんなじかよ。薬を使ったんだから、もっとあくどい事考えてると思ったぜ」
「じゅ、十分……あくどいですけど」
その後は色々な質問をして、この連中にはこれ以上情報を渡さない事で意見が一致した。
幸いにも大した情報を与える前でよかった。
「……あれ? なんで俺は寝てたんだ?」
「あら? おかしいですね、確かお話をしていたはずですが」
「なんだ? ボーっとしてたな」
「ん……ん? なんだ、俺は寝ていたのか?」
4人が目を覚ますと、ヤクシ達は楽しそうに話をしていた。
「お、起きたか。疲れてんならさっさと宿で寝ろよ~」
「み、皆さんお疲れ様です……しょ、食事はど、どうしますか?」
どうやらすっかり日が沈み、外は暗くなっていた。
それにしても、どうしてヤクシ達は残っていたのだろうか。
「丁度ディナーの時間に入るようですし、そのまま食事を頂きましょう」
翌朝、ヤクシ達は塔の前で人を待っていた。
少し待っていると、昨日の4人が現れる。
「いよっ! おはよーさん。早いね」
ヘルメット男のジュドニが片手をあげて挨拶をすると、他の3人も順番に挨拶をする。
「おはようございます皆さん。今日はどのあたりまで登りましょうか」
ヤクシ達もペコリと頭を下げる。
なぜかガッコウはとても楽しそうだ。
「そうですね、可能なら100階近くまで行きたいですね」
「おお100階か、いいぜいいぜ! お前らは何階まで行った事があるんだ?」
ドレス女リリアータは100階までという、まだ最終確認が出来ていないフロアを指定する。
もちろん本来ならばあり得ない要望だ。
なのにガッコウは喜んで引き受ける。
「私達は60階のテレポーターステーションには触った。だから60階からのスタートになるな」
「オッケーオッケー! うっし、じゃあさっさと行くとすっか!」
塔の1階から60階まで飛び、早速探索を開始する。
先を歩くのはなんとヘルメット男たち4人だった。
「ここはAランク冒険者として先を進ませてもらおう」
黒ローブのジェロームが率先して前を進み、それに3人が続く形だ。
まぁヤクシ達はマップを記憶しているため、罠にかかる事は無いし魔物が出てもあくびをしながら倒せる。
それはヘルメット男たちも同じで、ヤクシ達が完成させた地図を覚えている。
だがそれだけでは対処できないものがある。
それが魔物たちだ。
「うおっ!? マジでデカいなこいつ!」
出てきたのはバイソン・ラティフロン。
巨大な2本の角が弧を描いて前に突き出し、全長は4~5メートル、全高は2~3メートルもある巨大なバイソンだ。
それが群れで6頭も出てきたのだ。
「やっとお出ましか。こいつ等はな――」
「まぁ待ちたまえ。私達はAランク、このような場面は何度も経験済みだ」
ガッコウが戦い方を教えようとすると、黒ローブのジェロームが遮る。
Aランクとしての戦いを見せようというのだろうか。
「私達の戦い方を見てな!」
インテリ世紀末女がリュックからモーニングスターを取り出す。
短めの棒に鎖が繋がれ、その先にはトゲのある鉄球が付いている。
バイソン・ラティフロンが頭を低くして、横一列になって突進してくる。
1頭で2トン近くあるため、直撃を受けたらただでは済まない。
だが。
「ひゃっはー! 脳天にブチかましてやるぜェ!」
インテリ世紀末女は真正面からモーニングスターを振り下ろすではないか!
バイソンの頭は縄張り争いでぶつけ合うため、特に頭の骨が分厚くなっているので、モーニングスターを力いっぱい叩きつけたところで……!
1頭が地面にたたきつけられ、インテリ世紀末女コレットは意識を失ったバイソン・ラティフロンの頭に片足を乗せる。
「ヒーハー! 滾らねぇぜ! もっともっと私を熱くさせろー!」
どうやらAランク冒険者としての実力は、間違いなくあるようだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる