ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第6章 ダンジョンから始まる世界交流

第252話 それはどこの言葉ですか?

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「ヒャッハー! 死ね死ね死ね死ねぇ!」

 すでに死んでいるバイソン・ラティフロンを、モーニングスターで殴りまくるインテリ世紀末女コレット。
 ヘルメット男ジュドニは剣でバイソン・ラティフロンの腹を切り裂き、ドレス女リリアータは素手で頭をかち割り、黒ローブ男ジェロームは魔法で溶かしていた。
 剣や魔法は良いとして、ドレス女は女性なのに素手で殴り殺すとは……意外な戦い方だ。

「なんでぇ、こいつら普通にツエー奴らじゃん」

「これは意外でしたね。Aランクとは言え、かなりの実力者のようです」

「で、でもなんか……こ、怖いです」

 6頭のバイソン・ラティフロンがあっという間に倒され、当たり前のように解体を始めていた。
 これも手慣れていて、やはりAランク冒険者としての経験は間違いなく積んでいるようだ。

「うっし終わった。じゃあ行こうぜ」

 ヘルメット男ジュドニが必要な分だけを持ち、3人の側に行く。
 ヘルメット男はまだいいが、ドレス女リリアータは酷かった。
 ドレスが真っ赤に染まり、まるで猟奇殺人犯のように見える。

 気を取り直して前進を開始する。
 しばらく進むと、今度は直径30センチほどの黒い球体が4つ、間隔を空けて床から2メートルほどの高さで浮いているのが見えた。
 フロートボマーだ。
 厄介な相手で、一定の範囲に入るとゆっくりと近づき、更に一定の間合いになると大爆発を起こす。
 しかも外殻が硬く、矢や魔法では倒しにくい。
 
 まだ通路の先の方なので範囲に入っていないが、このまま進めば間違いなく近づいて来るだろう。

「これは面倒な奴がいる。迂回するか?」

「おおっと待ちなじーちゃん、遠回りは嫌だかんな、ワタシに任せてもらおうか」

 黒ローブ男ジェロームは迂回を提案するが、ガッコウが前に出る。
 ちなみに黒ローブはジジーではない。
 そういえばこの7人でパーティーを組んでから、ヤクシは戦っていたが、ガッコウ・シャンディラは戦っていなかった。
 なのでヘルメット男達4人は興味深そうに見ている。

 ガッコウは腰から回転式リボルバーハンドガンを抜くと、腰のあたりで構えている。
 何度か撃鉄ハンマーを触ったかと思うと、銃声が1回鳴り響く。
 なのだが、フロートボマーは4個とも地面に落ち、空いた穴からドロリと茶色の液体が流れ出ていた。

「な、なんなんですか? それは。凄い音がしましたが、魔法なのですか?」

「まぁ魔法みたいなもんだな。簡単に言うと魔法を効率よく撃ちだす装置だ。ちなみに一瞬で4回攻撃したんだぜ」

「はぁ!? 爆発音が1回したが、まさかアレで4回も攻撃したのか?」

「おうよ」

 インテリ世紀末女コレットが驚いているが、ひょうひょうと答えるガッコウ。
 他の3人も驚いているようで、かなり中に興味がある様だ。

「そうだよなぁ、これが普通の反応だよなぁ」

「どうしたんですか? ガッコウ」

「いやな、バーバラさんはコレを見切って手で受け止めたんだ」

「……私では予測して弾くか、1発は受けるのを覚悟してかわすしかありませんが」

「バーバラさんはコイツも全弾弾いたり、コレの弾を指で止めたんだ」

 ガトリングガンと対物アンチマテリアルライフルを指差す。

「ガトリングは異様に発射速度が速かったと思いますが、今のよりも早いのでしょうか?」

「最大で毎秒60発だな」

「まいびょう? また知らない言葉を使いますねガッコウは」

「ああすまねぇ。4発同時撃ちよりもズッとはえーよ」

 ヤクシとガッコウの会話だが、時々ガッコウはヤクシの知らない言葉、いや、この世界では使われない言葉を使う。
 そしてボソリと一言呟いた。

「対物ライフルは最大魔力で城を破壊するんだぜ? それをなんでバーバラさんは……」

「ガッコウ? 小さくて聞えません」

「なんでもねーよ。ワタシのチートはチートじゃないのかなってね」

「また知らない言葉を」

「さ、いこーぜ!」

 その後はそれぞれが役割を果たしながら、宝箱や金目の物を回収しながらも70階まで到達した。
 いくつか未確認のアイテムがあるため、それらは町の簡易ギルドで鑑定するしかないだろう。
 しかしそれ以上に金貨の出がよかった。

「うっひょっひょっひょっひょ! すげーぜ! こんなに金が出るなんて思わなかった!」

「はしたないですよジュドニ。これらはわた……復興支援に回すのですから」

 ヘルメット男のジュドニが中々に下品な笑いをするなか、ドレス女リリアータは何かを言い直した。
 私の物です、と思わず本音を言おうとしたのだが、慌てて言い直したのだ。
 そして74階に来た時問、問題が発生する。

「あれは……クレイジーデスポートですね」

 体長は4メートルほどある人型だが、皮膚は黒ずみ、顔が異様に大きく2メートル以上ある。
 目玉の親父の目が顔になったような姿だが、更に顔の半分以上を口が占めている。
 その口には犬歯が並んでおり、相手を噛み殺す事しか考えていない作りだ。

 それが3体いる。

「どうする? ヤるか?」

「き、気持ち悪い……か、帰りたい」

「シャンディラ落ち着いてください。迂回しましょう」

「おおっと待ちな」

 気持ち悪くて戦う気が起きない3人を、インテリ世紀末女コレットが止める。

「あれは私が倒す。おいジュドニ行くぞ」

「え~やるのかよ。まあいいけどよ」

 2人が前に出ると剣とモーニングスターを構える。
 今までの戦いぶりから見て、恐らく危険は無いだろう。
 しかし戦いたい理由は何だろうか。

 無謀ともいえる勢いで突っ込み、まずは1体を2人で倒すと、残りの2体はそれぞれで戦うようだ。
 だが……2対1では勝てても、1対1では分が悪いようだ。

「ひや、ひゃー! た、助けてくれ!」

 ヘルメット男ジュドニの剣がクレイジーデスポートの歯で弾き飛ばされると、頭突きを食らって地面を転がされてしまう。
 何とか起き上がろうとしているが、頭を打ったのか中々起き上がれない。

「いけない!」

 ヤクシが慌てて助けに入り、手を握って起き上がらせる、すると……。

「あ、ありがとう、よっ!」

 勢いよく手を引っ張り、クレイジーデスポートに向けて投げ出されてしまった。
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